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年鑑バスラマ2000→2001

2020年のGWは外出を自粛するステイホーム週間ということで、住まいの大掃除を行った方も多かったとか。小生の大掃除はHDDに眠っていた画像を掘り起こすこと、というわけで「バス雑誌感想アーカイブス」シリーズ。
雑誌や書籍刊行時点でのバスに関する話題や取り巻く状況・環境を知ることで現在が見えてくる!という建前(小生の勝手な思い込みとも言う)のもと、小生所有のバス雑誌等々の感想っぽいものを書いていく戯言集。今回は前回の続きということで、2000年12月刊行の『年鑑バスラマ2000→2001』をプレイバック。

構成は、巻頭カラー頁の2000年国内バスハイライト、バスラマ賞発表、特集、国内バスカタログ、そして歴史編に巻末の資料編というラインナップです。現在の『年鑑バスラマ』と基本的な構成は同じとなっていますが、バスラマ賞の発表と特集記事もあわせて掲載していたのが当時の年鑑の特長です。
   
バスラマ賞は「京都市交通局のポケロケ」と「山梨交通の非抵触ICカード」、2事業者のサービスが受賞。「京都市交通局のポケロケ」とは携帯電話でバスの時刻表や接近情報が分かるサービスです。携帯電話でバスの時刻表が調べられるサービスや、ICカードで運賃を支払うことが出来ることは今では当たり前となったサービスですが、当時はまだ先進的かつ画期的なサービスでした。
「京都市交通局のポケロケ」はバージョンアップを重ね現在も続くサービスとなっています。「山梨交通の非抵触ICカード」は当時まだ少数の事業者でサービスを開始したばかりのICカード乗車券で、いちはやく乗り継ぎ割引や、関連会社を含めたポイントサービスなどを展開しました。しかし独自基準でつくられたため、のちに誕生したスイカ・パスモといった交通系共通ICカードへの参入が遅れるという、なんとも言いがたいことになってしまいました。

特集は当時自動車技術アナリストとして活躍していた方による「路線バスは変わったか」と題した意見記事。内容は、まあ・・・という感じです。
年鑑の核となるのが「国内バスカタログ」。掲載対象は「2000年11月現在、日本で販売される国産バス(ボデーのみ国産のものを含む)および輸入車の一部 」となっており、本作では「国産46車種(OEM販売車4車種ならびに、ボデーのみ国産のもの2車種を含む) 」に加え「“ファンタスティックバス”3車種と輸入車2車種」を紹介しています。前年の「国産64種類(OEM販売車4車種ならびに、シャーシーあるいはボデーのみ国産のもの4車種を含む) 」から比べると掲載種類が大幅減少していますが、これは本作から「メーカーの商品構成の変化などを踏まえ、大型路線車・同ノンステップバス・9m路線車と大型スーパーハイデッカー・大型ハイデッカーは各々ひとつの項目に統一した 」ためで、実際に販売を終了したモデルは日産ディーゼルのユーロツアーやヨンケーレ2階建てバスなど僅かしかありません。

さて、2000年の一番の動きといえるのが、「平成11年排出ガス規制・中期安全ブレーキ規制への適合を機に、フルモデルチェンジやマイナーチェンジを図った大型バスが相次いで登場した 」ことでしょう。
 
なかでも注目すべきは6月にフルモデルチェンジした、いすゞエルガです。
 

社番:1685.KL-LV280N1(00年車)。2012年1月記録。
ボデーは1999年に登場した中型路線バス・エルガミオと共通の、縦置き4灯ヘッドランプを備えるボクシーなデザインに一新 」しました。淡路交通に登場したワンステップ車が市販車の第一陣とのこと。10年も経たないうちに神姫バスへ移籍し、淡路交通の代替サイクルはさすが早いなぁなどと思ったものです。 
  

社番:3034.KL-LV834L1(00年車)。2012年4月記録。
ノンステップバスは「価格の低減や定員の拡大 」のため、新たに「前中扉間ノンステップの“typeーA”を追加 」し、「従来の床面フルフラット型は“typeーB” 」となりました。
画像の国際興業バスではキュービック時代からの流れで“typeーB”を導入しましたが、のちに“type-A”の採用となりました。フルフラットがノンステップバスの理想ですが、高額な販売価格に加え、高額なATのメンテナンス費用がネックとなった模様。早期代替となった車両も少なくありません。
  
日野の大型バスはフロントデザインを中心にリニューアル。新たにブルーリボンシティの愛称となった大型路線・自家用バスは「フロントが視野拡大窓と日常点検用の開閉式フロントリッドを備えた、曲面を用いたデザイン 」となりました。 

 
社番:426.KL-HT2PMEA(00年車)。2011年7月記録。
ブルーリボンシティ販売開始当初はツーステップ車のみリーフサスのHTもラインナップしていました。画像の阪神バス在籍のブルーリボンシティは、交通バリアフリー法の施行ぎりぎり前に導入した車両で、ツーステップ・前後扉・板バネと少数仕様をそろえたレア車でした。


車号:0-3710.2013年11月記録。


車号:0-3718.2012年6月記録。
ノンステップバスは引き続きフルフラットのAT車のみをラインナップ。

 
熊本200か270.2014年10月記録。
また、オプションの観光タイプのフロントマスクが、旧来のブルーリボンからセレガに変更となりました。00年導入車ではありませんが、九州産交バスに在籍するセレガマスクなブルーリボンシティ。


社番:20046.2012年5月記録。
大型観光バスはセレガRにリニューアル。「開閉式ヘッドランプベゼルを備えた新しいフロントマスク 」が外観上もっとも目立つ変更点といえそうです。画像は当時のアルピコハイランドバス在籍のセレガRでフロント上下2枚ガラスのスーパーハイデッカーGD。


社番:A20015.KL-HR1JNEE(00年車)。2012年10月記録。
日産ディーゼルの独壇場であった中型幅10.5mサイズの低床車の市場に日野も参入。昨年販売を開始したHRは、既に10.5mサイズのラインナップをアナウンスしていましたが、2000年から正式に販売を開始しました。10.5mサイズのHRの市販第一陣となったのが京王電鉄とのこと。
ブルーリボンシティのノンステップバスがフルフラットAT車のみだったこともあり、当時の日野ユーザーの事業者は大型サイズのノンステップバスをHR10.5mサイズメインに採用したところも少なくありませんでした。



鳥取200か88.KK-MJ26HF改(00年車)。2014年9月記録。
中型ノンステップ車のラインナップが無かった三菱ふそうですが、7mサイズのエアロミディMJで採用している「横置きエンジン+三菱T-ドライブ(アングルドライブ) 」を活用し7mサイズと9mサイズの「エアロノーステップミディ」の販売をようやく開始。「ショートリヤオーバーハングとロングホイールベースのレイアウトを組み合わせることで、7mクラス・9mクラスとも同一全長では最大のノンステップフロア 」を確保しました。販売開始を急いだためか、どちらのサイズもMJ26HF改となるのが初期製造車のポイント。画像の車両は9mサイズの市販第一陣となった日本交通(鳥取)在籍車。

バスボデー製造の富士重工は、「大型観光ボデーをフルモデルチェンジし、併せて大型路線バスのリニューアル 」をしました。


社番:677-01152R5.2009年6月記録。 
大型観光ボデーは、「ボデー全高を問わず共通のデザインでフルモデルチェンジし、スーパーハイデッカーを1S、ハイデッカーが1M 」と呼ばれるタイプになりました。画像は東京空港交通在籍の1M架装なRA。東京空港交通ではまとまった台数導入し、フロントマスク部の塗りわけにバリエーションが見られました。  
 

熊本200か1021.2019年6月記録。
大型路線バスボデーは、「構造の見直しによる軽量化、側面外板のフルフラット化、使い勝手や耐久性の向上などを図った 」新7Eへリニューアルしました。画像は九州産交バスに在籍する新7EボディのUAワンステップ車で相鉄バスからの移籍車。   
    
歴史編は「“まぼろしの”ヤナセボデーのバス」。今ではベンツなどの輸入車ディーラーとして知られるヤナセですが、かつてはバスボデーも製造していました。今回はヤナセ所蔵の写真資料から、1950年代に製造した観光バスを中心に紹介しています。資料的価値の高さから、バスラマでは別冊を出版するとのこと。歴史編はいわば別冊の予告編といったところでしょうか。
 
年によって当たり・ハズレがあるように感じるのが『年鑑バスラマ』の醍醐味です。もちろん、これは私感ですのであしからず。

なお、本文中の「斜字 」部分は同誌からの引用部分、画像の型式は掲載の「国内バスカタログ」と「ノンステップバス導入状況」を参照しました。
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