不可解な監督交代などから、ネットでは「忖度JAPAN」という蔑称もあったW杯サッカー日本代表。それがコロンビアに勝利したことで評価一転。予選リーグは最後色々ありましたが、首の皮一枚で決勝トーナメント進出。というわけで、バス雑誌の感想という名の半端ないって。偶数月はバスラマこと、『バスラマインターナショナル 168号』です。
今号のバスラマは特集と銘打ったものはなく、6月刊行号恒例となった「バステク」記事をはじめとしたバラエティに富んだレポート・トピックス記事に、事業者訪問がメインとなっています。海外記事からは中国上海の揚州亜星バス工場訪問記事を中心に上海のバス事情、BRTの話題などを紹介しています。
事業者訪問は「
本州最大規模のバス事業者 」で、2001年刊行68号以来17年ぶりの登場となる「神奈川中央交通グループ」。グループという括りですが、 掲載範囲は神奈川中央交通・神奈川中央交通東・神奈川中央交通西の3社で、貸切専業の神奈中観光は今回対象外となっています。
社番:も112.PJ-MP35JM(04年車)。2018年6月に記録。
記事では、2017年1月のグループ再編についてや連接バス「ツインライナー」運行など、近年の施策を中心に取り上げています。グループ再編は1995年以降に設立した分離子会社の神奈交5社と神奈川中央交通本体を人口や乗車人員をふまえた「
エリア特性 」から営業所を神奈川中央交通・神奈川中央交通東・神奈川中央交通西の3社に分けました。区分けにより複数のグループ会社、たとえば相模原市の橋本駅では神奈川中央交通の多摩営業所、神奈川中央交通東の橋本営業所、神奈川中央交通西の津久井営業所の車両がやってくるというところも見られるようになりました。あくまでも、「
現在は再編途中の段階で、最終的な形になるのはもうしばらく時間が必要 」とのこと。「
最終的な形 」とはどのようなものなのか?気になるところです。
このほか、2010年掲載の事業者訪問では、賃金抑制・コスト削減などに言及がありましたが、今号では運転士不足への取り組みやサポートについて書かれるようになるのは皮肉な話です。このほか、近年グループの商事会社により積極的展開が見られるグッズ販売についても取り上げられています。
ここからは、いつものように手持ちの神奈川中央交通グループの画像を並べながら、本文中の感想めいたものを書いていきます。神奈川中央交通は1980年代頃かなり早いサイクルで車両代替を行っていたこともありましたが、徐々に使用年数が長くなっていきました。ツーステップ車を交通バリアフリー法施行前まで導入していたこともあり、少し前まで新ステップなツーステップ車がバンバン走っていた印象。現在の「
平均的な使用年数は一般乗合車で約14年 」となっており、全車バリアフリー対応の低床車による運行となっています。
社番:つ27.PJ-MP35JM(05年車)。2018年5月に記録。
神奈川中央交通は「
グループ会社に神奈川三菱ふそう自動車販売を擁することから、三菱ふそうを主力に、いすゞ、日野、日産ディーゼル 」の4メーカー在籍しています。
自動車NOx・PM法の施行で車検を継続することが出来なくなった古参のP・U規制車を一気に置き換えるため、PJ規制車のMPワンステップ車が「
2004~2007年に大量導入され、一般路線で436台、特定車で10台が稼動する 」大所帯となっています。既に初期導入車の代替が始まっていますが、まだまだ神奈川中央交通を代表する車種といえます。また画像の車両のように「
行先表示器は現在、営業所単位で従来のアンバー色LEDから白色LEDへの更新を進めており、これと併せて側面表示器の位置を従来の側窓上側から、視認性の改善を目的に下側に移動 」する改造を行っています。
神奈川中央交通は内外装に特別仕様を採用しており、正面の「
運賃支払い方法を示す小窓 」や側面の出入口表示幕は長らく外観の大きな特徴となっていました。
社番:も124.QKG-MP38FK(17年車)。2018年6月に記録。
PJ規制車のMPワンステップ車を代替し神奈川中央交通の代表車種となりつつあるのが、「
2014年にメジャーチェンジし、異形2灯式ヘッドランプを採用したエアロスターノンステップ 」。以前は補助金があればノンステップ車を導入するような感じでしたが、導入を「
2015年からホイールベース4,995mの短尺ノンステップバス(MP38FK)に統一 」したことで、QKG規制車は「
2014年7月から2017年8月まで、都市型と都市型ラッシュの各仕様を合わせて349台 」、後継の2PG規制車が「
2017年暮に15台、2018年は5月までに39台 」登場しています。
社番:も103.QKG-MP35FM(15年車)。2018年6月に記録。
導入をノンステップ車にしたため、「
現行のフロントスタイルを持つエアロスターワンステップ 」は9台のみの在籍。
ちなみに「
わかりやすいバスへの施策 」により、神奈川中央交通で多数派だった前乗り・前降り運賃後払いの乗降方式を「
利便性を最優先に、均一運賃の横浜市内は前払いの前乗り・中降り、その他の多区間運賃の路線は後払いの中乗り・前降りに統一 」しました。このため外観の特徴だった正面の運賃小窓の採用は2013年までとなり、以降は「
本来の視野確認窓 」を装備しています。
社番:た91.PJ-MP37JM(06年車)。2018年5月に記録。
ノンステップバスは短尺をメインに導入していますが、多摩営業所や戸塚営業所には長いM尺車を導入していました。ノンステップ車は側面出入口表示を早い段階で板式に変更しています。
また、東京オリンピック・パラリンピック記念の特別ナンバーへの交換も行っているようです。
社番:た13.QKG-MP37FM(13年車)。2018年5月に記録。
M尺ノンステップ車の導入は今のところモデルチェンジ前の2014年までとなっています。このあたりから三菱純正ボディ車もデンソークーラーをメイン採用するようになりました。
社番:も609.KL-MP35JM(04年車)。2018年6月に記録。
正面に金属製の社紋プレートを取り付けた車両は04年導入のKL規制車まで。気付けば最古参格となっており、まもなく見納めとなりそうです。
社番:も608.PKG-MP35UM(09年車)。2018年6月に記録。
こちらは2017年のグループ再編で姿を消した相模神奈交バス生え抜き車両だったMPワンステップ車。神奈交バス生え抜き車両はオリジナル塗装を採用していましたが、比較的年式の新しい車両は神奈川中央交通標準デザインの全面ラッピング車となりました。とはいえ、違和感のある地色やオリジナルカラー(この車両は緑色)がところどころに見えています。
社番:も155.SDG-LR290J1(15年車)。2018年6月に記録。
「
中型車は狭隘路線や、比較的乗客の少ない路線に使用 」しています。現在の中型車の主力となるのが、いすゞLR。「
メーカーがノンステップに集約する2016年までは、路線環境に応じてノンステップとワンステップが並行採用 」していました。画像は15年導入のワンステップ車。運賃支払い小窓はなくなりましたが、髣髴とさせるステッカーが貼られています。
社番:ひ850.LKG-MS96VP(12年車)。2018年6月に記録。
高速路線は長距離夜行路線から撤退し、羽田・成田への空港路線を中心に「
比較的短距離の昼行便を2路線運行 」しています。羽田空港への路線にはスタンダードデッカーのエアロバスが主力となっていましたが、設定がなくなったこともあり現在はハイデッカーなエアロエースが主力となっています。
連載は、「新 バスドライバーのひとりごと」と海外記事、短期連載の「ここまで来たバスのAMT化」ではいすゞを取り上げています。
次号予告は、バス事業者訪問が60周年を迎えた四国交通、台湾新型バス事情2018、トヨタ新型コースター、新大型観光バス試乗 ほかとなっています。
事業者訪問は四交ですか・・・、手持ち画像が全く無い。夏休みは阿波池田に行くことになるのでしょうか。ただ規模から考えると、次号の事業者訪問は複数取り上げられる可能性大と予想しますがはたして。
なお、本文中の「
斜字 」部分は同誌からの引用部分、掲載画像の型式・年式は掲載の車両一覧を参照しています。
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