プロ野球の交流戦も終わり、結局今年も福岡ソフトバンクホークスが優勝。パリーグが勝ち越しましたが、そんなパリーグで負け越しているチームを応援する身としてはなんとも微妙な状況でした。というわけで、バス雑誌の感想という名の千葉への足が遠のく日々。偶数月はバスラマこと、『バスラマインターナショナル 174号』です。
特集と銘打ったものはない今号のバスラマ。巻頭は新型車速報として「
いすゞ&日野からハイブリッド連接バスが発売開始」記事を掲載。「
今回の市販車はいすゞエルガ/日野ブルーリボン(LV290/KV290)をベースに開発 」しており、「
外観はベース車とは異なる連接バス専用のフロントマスクが特徴 」となっています。最初の導入事例はどこになるのか気になるところです。
6月刊行号恒例となった「バステク」記事のほか、「ドリーム号50年にみる旅客サービス」と題し、ドリーム号の利用者サービスについてを長年の愛用利用者がまとめるというバスラマでは珍しい記事も掲載。バラエティに富んだレポート・トピックス記事では毎号掲載の「各地の新車から」とは別に「走り出した三菱ふそうエアロクィーン&エアロエース2019年モデル」と題し、読者投稿写真を基に各地で登場したMS06を紹介。
松本200か1335.2TG-MS06GP(19年車)。2019年5月記録。
画像は信南交通に登場したエアロクィーン貸切車。さすが信南交通、エアロクィーンの導入が早いです。
事業者訪問は2018年4月の大阪市交通局の民営化により、バス事業を引き継いだ「大阪シティバス」。
1988年に大阪市交通局などの出資により設立された大阪運輸振興を前身とし、「
1998年から大阪市営バスのバスターミナル管理業務や定期観光バスの案内業務、バス営業所の運行受託、自社バス路線も運行を開始するなど事業を拡大 」してきました。
大阪市交通局を事業者訪問で取り上げた2003年刊行81号では、管理の委託先として紹介されただけの大阪運輸振興。まさか市営バスが民営化し、その受け皿になろうとは当時のバスラマから想像も出来ません。
記事では民営化にあたっての移行作業や新たに導入したハイデッカーを用いた貸切事業など今後の取り組みのほか、8台の教習車を擁する研修センターについても取り上げています。教習車は横浜市交通局などからの移籍車となっていますが、これはマニュアル車を「大阪市営バス在籍車では調達できなかった 」ため。教習車として導入した横浜市交通局移籍車のうち2台は青ナンバーの貸切車となっているのも面白いです。
車番:99-8012.2SG-HL2ANBP(19年車)。2019年5月記録。
今年4月から運行を開始した「いまざとライナー」については、大阪メトロ側担当者へのインタビューと実際に乗車してみたレポートを掲載。
「いまざとライナー」は社会実験という位置づけでスタートしたことから、「
バス車両はOsaka Metroが所有 」し、大阪シティバスは「
バスの運行を受託 」する形となっています。
専用車の日野ブルーリボンハイブリッドは14台在籍していますが、シートモケットなど内装の装飾はそれぞれの車両ごとに異なるテーマでまとめられています。
在籍車両の大部分は大阪市交通局からの引継ぎ車となっており、コーポレートマークと社名表記が変わったくらい。かつて大阪市交通局で「
標準仕様だった2ステップ・前後2扉車 」は自動車NOx・PM法による代替で姿を消し、一般乗合車は全車ノンステップバスとなっています。
全車ノンステップバスとなっていますが、「
市営バスの民営化の議論が展開された2013~2018年には新車購入が途絶えていた 」こともあり、「
2006~2010年の購入車両で全体の約70%に達する 」いびつな年式構成。「
経年車両の計画的な更新は今後の大きな課題 」であることは間違いありません。
ここからは5月に記録した手持ち画像を並べながら、本文中の感想めいたものを書いていきます。
車番:15-0644.KL-LV280L1改(05年車)。2019年5月記録。
大阪市交通局時代の車番を継続採用しており、ハイフン前の2桁数字が車種と年式を表しています。頭数字「1」と「2」はいすゞの乗合車。画像は「
いすゞ大型車では最も古い年式だが、17台が第一線で活躍を続けているV8エンジン搭載車 」です。
車番:20-1444.PDG-LV234L2(10年車)。2019年5月記録。
こちらは「
市営交通110周年記念で2014年から走り出した通称“ゼブラバス” 」カラーの復刻デザインラッピング車。大阪シティバスのコーポレートマークに変わりましたが、継続運行中です。
車番:29-2364.2DG-LV290N2(19年車)。2019年5月記録。
2019年に久しぶりとなる新車7台が登場。「
その中の6台は社内公募とメーカー関係者が提案した3タイプの新デザイン 」となっており、画像の車両は社内公募で採用となったデザインです。
新デザインについては、前号掲載の「2019 春のオムニバス」特集のなかで紹介しています。前号の記事から引用となりますが、この社内公募から採用となったデザインは「
上から見下ろされる機会も多いシティバスなので、立体と捉えてシンボルマークの「O」を背負って市内をかけるイメージ 」とのこと。なるほど、屋根まで塗り分けたなかなか手の込んだデザインであることが分かります。
なお、「
今後の外装色が変わるのか、どのデザインに決まるのかは、次期の新車発注までには決まる模様 」とのこと。
車番:57-1034.KL-MP37JK改(07年車)。2019年5月記録。
車番の頭数字「5」と「6」は三菱ふそう乗合車をあらわします。水色帯の塗装デザインは「低公害車」で採用。「
全国的に退潮が目立つCNG車 」ですが大阪シティバスも状況は同じ。「
三菱ふそうのCNGノンステップバスは現在20台在籍。日常的な活躍は全国的にも希少価値 」とのこと。
車番:39-1333.BJG-HU8JLFP(09年車)。2019年5月記録。
車番頭数字「3」と「4」は日野乗合車。ハイブリッド車も低公害車に位置づけられており、現在のところ在籍車両は日野車のみとなっています。画像の09年導入車は鶴町営業所に「
10台が集中的に配置 」されています。
車番:74-0524.KL-UA272KAM改(04年車)。2019年5月記録。
車番頭数字「7」と「8」は日産ディーゼル乗合車。画像の04年導入車は「
現役の乗合車から、日デの最古参グループで同年式18台が在籍するフルフラット型ノンステップバス・Nタイプ 」です。車内は前中扉間両側ともロングシートの「
最初期のノンステップバスの仕様 」となっています。
車番:77-0969.PB-RM360GAN(07年車)。2019年5月記録。
路線環境にあわせ、中型車・小型車も在籍しています。RMノンステップ車は07年に導入した21台が在籍。
車番:77-2361.PDG-RA273KAN(07年車)。2019年5月記録。
07年は大型のRAも導入しています。どちらも日産シビリアンと共通のテールランプを装備しています。
車番:91-1900.KL-HR1JNEE(01年車)。2019年5月記録。
「
大阪運輸振興株式会社だった時代に運行を開始した「IKEA鶴浜行きバス」 」。今後どうなるか予想できない新規路線のためか、東京都交通局からの移籍車がまさかの登場。ちなみに画像の日野HRを
2015年10月に記録したエントリがありますので、よろしければ。
需要を見事につかみ、大阪駅へ路線延伸だけでなく難波駅路線も開業。「
土休日ともなると満員になることもあり、セール期間には乗り切れないほどのご利用がある 」とのことで、2019年には新車も1台投入されました。
連載は、編集長自らが筆をとった「私の知っているバス達」や「新 バスドライバーのひとりごと」、前号からスタートしていた「ちょこっと定観」、海外記事となっています。
短期連載の「バリアフリー対応バスの系譜をたどる」第3回はシティバスの乗降性改善3として、90年代末頃から登場した中型ノンステップバスや当初は「簡易型ノンステップバス」として誕生した前中扉間ノンステップバスが標準仕様ノンステップバスとなる2000年代前半までをまとめています。
福井200か116.2019年5月記録。
日野の中型ノンステップバスとして1999年12月から販売を開始したHR。「
7m車はクラス初のノンステップバスとして注目され 」、「
当時各地で開業が続いたコミュニティバスを含め、小規模需要路線のノンステップ化に貢献 」。採用事例は少ないですが、画像の車両のような観光マスクも選ぶことが出来ました。
次号予告は、岩手県北バスで2階建てバス運行復活!バス事業者訪問、UITPグローバルエクスポ会場から ほかとなっています。
久しぶりに次回の事業者訪問が秘密となっています。夏刊行号の事業者訪問は降雪地帯が多い印象ですが、どこになるのでしょうか。
なお、本文中の「
斜字 」部分は同誌からの引用部分、掲載画像の型式・年式は掲載の車両一覧を参照しています。
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