福岡ソフトバンクホークスが負け無しの4連勝で終わった今年のプロ野球日本シリーズ。これで3年連続の日本一ということですが、パシフィックリーグでは2年連続の2位という謎。パシフィックリーグは本当にめちゃくちゃなパワーバランスで成り立っていることを実感しました。というわけで、バス雑誌の感想という名の埼玉西武ライオンズが2年連続1位。偶数月はバスラマこと、『バスラマインターナショナル 176号』です。
今号の特集は、10月刊行号恒例となった「最新バス機器・用品ガイド」。レポート記事は自動運転バスの話題が中心となっており、このほかバラエティに富んだ情報をまとめたトピックス記事、そして事業者訪問となります。
その中から小生的に気になったのが、「「第5回 バステクin首都圏」に本邦初公開の電気バスが登場 」するという記事。中国製の電気バスで、「導入に当たっては某大手バス事業者が重要な役割を担っている 」という大型ノンステップバスです。某大手バス事業者がどこなのか?など気になるところだらけですが、まだ発表できる情報が限られている模様。次号以降要注目です。
今号の事業者訪問は「川崎市交通局」。事業者訪問では1997年12月に刊行した45号以来ですから、久々の登場です。前回の1997年当時の川崎市バスは、ちょうど川崎と木更津を結ぶ都市間高速バス運行に参入した頃で、バブル経済崩壊後のいわゆる失われた10年真っ只中。京浜工業地帯の工場閉鎖や大規模なリストラ等々で利用者は右肩下がり、輸送人員4000万人割れという状況でした。そんな状況だったのが、いまや4900万人を越えるほどまでに回復したというのだから驚きです。記事では近年の取り組みを中心に、営業所の民間委託についてなど、現在の川崎市交通局の考え方を知ることが出来ます。
ここからは小生手持ち画像を並べながら、本文中の感想めいたものを書いていきます。
局番:H-1821.PKG-LV234L2(08年車)。2019年10月記録。
「
2019年9月現在、乗合車344台・貸切車5台の計349台を5つの営業所に配置 」している川崎市交通局。現在の主力となっているのは大型サイズで短尺ノンステップバスです。
「
ルーフの前後に配したライン型の換気扇、左側の前面行先表示確認用の増設ミラーは市バスの特徴的な装備 」とのこと。
ちなみに局番のアルファベットは営業所を、4桁の頭数字はメーカーをあらわします。頭数字「1」はいすゞ車をあらわし、画像の車両はLVの短尺ノンステップバス。
局番:A-2790.KL-MP37JK(03年車)。2019年10月記録。
頭数字「2」は三菱ふそう車。川崎市交通局は市内に工場があることから、長らくいすゞ車と三菱ふそう車を中心に導入していました。2000年代に「
新車の車種選択は基本的に競争入札 」となってからは、リコール問題などもあり三菱ふそう車の導入台数は激減。「
現在は2002~2019年式の大型ノンステップバスが計34台と少数派 」となってしまいました。
画像は古参格となる03年式のMPノンステップ車。なお、川崎市交通局では「
車両の使用年限をこれまで12年としてきましたが、平均18年へと延長 」しています。また、「
車両ライフの中盤にはシート表皮の張替えや床の補修などの車体更生 」を行っていることから、2006年まで採用していた「
市内の施設(川崎マリエン、市民ミュージアム)などを織り込んだオリジナルのシート表皮 」は「
現存しない 」とのこと。
局番:M-2805.LKG-MP37FK(11年車)。2019年10月記録。
三菱ふそう車は03年からしばらくの間導入が無く、久々に入札を勝ち抜いて登場したのが11年導入のMPノンステップ車。「
ちなみに市バスの車体前面のマークは、1995年度の新車から丸い黒地に赤・黄・青・緑を配した市制70周年記念のシンボルマーク 」を採用しています。
局番:H-2815.2PG-MP28FK(19年車)。2019年10月記録。
車両の使用年限を延長したことから近年の新車導入台数は多くありませんが、ここ数年は三菱ふそう車の落札が増えている状況。「
現行スタイルのエアロスターノンステップは鷲ヶ峰を主体に菅生・平間・井田に2016~2019年式計11台が配置 」となっています。
なお、正面のマークは「
2016年12月の新車からはシンボルマーク以前の市章に戻されて 」います。
局番:H-3378.PKG-KV234L2(09年車)。2019年10月記録。
頭数字「3」は日野車。「
1991年に日野HIMRを採用 」したことを契機に本格的な導入が再開し、まとまった台数の入札を落札していった結果「
現在142台と市バスの主力 」となっています。
局番:W-3374.PKG-KV234N2(08年車)。2019年10月記録。
短尺がメインとなっている大型ノンステップ車ですが、多客路線向けに中間尺や長尺車も在籍しています。画像は鷲ヶ峰配置の中間尺ノンステップ車。
局番:W-3425.PKG-KV234L2(10年車)。2019年10月記録。
KL規制車以降はノンステップバスの導入がメインとなりましたが、2009~2011年にかけてワンステップバスも並行して導入しました。ワンステップ車は「
日野KVが14台 」と最も多く在籍しています。
局番:M-3405.PKG-KV234L2(10年車)。2019年10月記録。
「かわさきノルフィン×ハローキティコラボラッピングバス」は「
デザインは4種類で10台 」在籍。「
フロントにはハローキティのリボンを掲げている 」など遊び心満点です。
「
2016年3月に、人気キャラクターのハローキティが市バスナビゲーターに就任 」し、2007年に登場していた市バスマスコットキャラクターの「かわさきノルフィン」と「
一緒になって、市バスのPRやイメージアップに活躍 」しています。
局番:H-4432.KL-UA452KAN改(03年車)。2019年6月記録。
頭数字「4」はUD車で、「
2008年まで採用 」。03年車が最古参となっており、画像の西工ボディ車のほか、富士ボディ車も最後の1台が在籍しています。
局番:H-4470.PKG-RA274KAN(07年車)。2019年10月記録。
RAは画像の短尺車をはじめ、中間尺車や長尺車も導入しています。
長尺車は臨海工業地帯の塩浜と大規模住宅地の鷲ヶ峰に配置されましたが「
転属し、現在は全車塩浜で稼動 」しています。
局番:S-1004.PJ-LV234L1改(06年車)。2019年6月記録。
「
川崎市はかつて公害に苦しんだことから、公営事業者として環境に優しい車両の積極導入を進め 」ており、その中でCNG車は1994年から導入を開始。台数の増加にあわせて「
1999年には塩浜営業所に充填所を設置 」するなど設備の拡充も行いましたが、「
CNGバスはメーカーの生産中止に伴い台数が徐々に減少しており、現在は2006~2008年式のいすゞ車6台が稼動するのみ 」。「
2021年度以降はハイブリッドバスのみになる計画 」とのことで、これまでの高額な投資はなんだったのかという気もします。
車号:H-1014.QSG-LV234L3(16年車)。2019年6月記録。
ハイブリッド車の導入はCNG車よりも早く、「
1991年に日野HIMRを採用 」。その後、蓄圧式ハイブリッド車の三菱ふそうMBECSや、いすゞシャッセも導入しました。
「
現在は日野といすゞ計36台を全営業所に配置 」しており、画像のいすゞエルガハイブリッドは6台在籍しています。
車号:M-3037.2SG-HL2ANBP(17年車)。2019年10月記録。
日野のハイブリッド車は2009~2012年に導入したブルーリボンシティハイブリッドのほか、画像の現行ブルーリボンハイブリッドが在籍。川崎市バスのハイブリッド車はメーカーオリジナルのロゴをいたるところに貼り付けています。
車号:A-1862.PDG-LR234J2(10年車)。2019年10月記録。
「
主に狭隘路線や閑散路線に使用 」している中型車。「
現在は経年の日野2台を除いていすゞとなっており、2009~2018年式のエルガミオ計43台(うち貸切1台)が在籍 」しています。
車号:W-1890.SKG-LR290J1(16年車)。2019年10月記録。
登戸駅と「藤子・F・不二雄ミュージアム」を結ぶ路線には、「
同氏の作品を1台ごとに異なるデザインでラッピングした大型車1台・中型車3台 」 の専用車が在籍。開館日は4台のうち「
毎日3台が約10分間隔で運行 」しています。画像は中型車の1台で白地ベースのラッピングデザインの車両。「
ちなみに登録番号の「2112」はドラえもんの誕生年を示しており、4台全車がこの番号で登録されている 」とのこと。
連載は、編集長自らの筆による「私の知っているバス達」ではバス車両の保存活動に携わった経験を中心とした話。このほか「新 バスドライバーのひとりごと」や、海外記事の掲載はありますが、短期連載の「バリアフリー対応バスの系譜をたどる」は休載のようです。
次号予告は、第5回バステクin首都圏会場レポート、東京モーターショー2019の会場から、バスワールドヨーロッパの出品バス、バス事業者訪問は宮城交通/ミヤコーバス、バリアフリー対応バスの系譜をたどる⑤、ほかとなっています。これから冬になるのに宮城ですか・・・。
なお、本文中の「
斜字 」部分は同誌からの引用部分、掲載画像の型式・年式は掲載の車両一覧を参照しています。
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