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バスラマ 177号

年末の道路渋滞に辟易している今日この頃。来年のオリンピック期間中はどうなることやら。考えるだけで憂鬱になります。というわけで、月末恒例バス雑誌の感想という名の、令和最初の年末風景。偶数月はバスラマこと、『バスラマインターナショナル177号』です。
  
今号に特集と銘打ったものはありませんが、都内で初開催となった「第5回バステクin首都圏」や、ベルギーの首都ブリュッセルで行われたバスワールド2019の展示車両からシティバスを中心に紹介した記事がメイン級の扱い。175号から掲載中の海外レポートが2本立てとなっていることから海外のバス記事が目に付く1冊となっています。

もちろん日本全国各地のバスの話題を取り上げたレポート・トピックス記事も多数掲載しており、小生的に気になったのが、シンクトゥギャザーが製造・販売を行う小型電気バス「eCOMモビリティ」を紹介したレポート記事です。小さいタイヤがずらりと並ぶ独特な構造のeCOMモビリティは「全国で約30台が稼動 」しているとのこと。記事を読んで初めて知ったのが、eCOMモビリティが「道路運送車両法の保安基準に免除となる項目が多い 」ことから「最高速度20km/h未満 」となっていること。低速すぎて実用性に疑問を持ちますが、市街地の運行なら「信号待ちなどにより、所要時間は変わらない 」とのこと。
レポート記事とあわせて、eCOMモビリティの新たな運行事例となった池袋の「IKEBUS」を、不定期連載の「ちょこっと定観」で紹介しています。IKEBUSは「池袋駅周辺をぐるぐる回る巡回バス 」で、2ルートを設定。ウィラーが運行を担当し、車両内外装のデザインを水戸岡鋭治氏が監修となかなか力の入ったものとなっています。「後部には車椅子乗降用のリフトを装備してバリアフリーに適合 」していますが、このため「後面の窓は無く雨天時にはロールカーテンがあるが、通常はオープンで走行する 」とのこと。IKEBUSは実用性よりも変わったものが走っているということに重きを置いた巡回バスなのかもしれません。

事業者訪問は95年刊行31号以来、2度目の訪問となる宮城交通とその地域子会社のミヤコーバス。「宮城県全域に路線網を広げるバス事業者 」の宮城交通は、1970年に「将来的に地方民営バスを県ごとに一元化させていくモデルケースとして、関係行政機関の指導のもとに行われた 」3社合併で誕生しました。1975年から名鉄グループ入りし、現在一般路線は大まかに「仙台市内を中心に隣接する富谷市などの仙台圏 」を宮城交通、仙台圏「以外の市町村や郡部 」をミヤコーバスにより運行しています。記事では宮城交通の概況やICカード導入や安全教育など近年の取り組みのほか、2011年に発生した東日本大震災発生後のやりとりなどをまとめています。

在籍車両は「ここ数年で計画的に新車への更新を行い、平均車齢の若返り 」が進んでいる状況。
 


宮城200か2823.2DG-LV290N2(18年車)。2019年11月記録。
一般路線車は「近年の車種選択基準は競争入札 」とのこと。私企業で競争入札という言葉に多少引っかかるところがありますが、要はしがらみなく安い金額を出したメーカーから購入しているということなんでしょう。
2015年以降の新車はいすゞエルガ(LV290)のホイールベース5.3m・トルコンAT車が導入されており、2018年式まで計78台が宮城交通を主体に在籍 」していることから、仙台圏ではかなり見かける存在となっています。新車は「グループの名鉄バスと共通の仕様・装備も盛り込んで 」おり、「名鉄バスに準じて戸袋窓内装式の側面行先表示器などを採用 」しています。

 

宮城200か2826.KL-MP35JM(05年車)。2019年11月記録。
新車と並行して移籍車も導入していますが、グループの名鉄バスからの移籍車が主流となったことで90~00年代前半頃のなんでもあり感は無くなりつつあります。「名鉄バスからの移籍車には塗装を変更せずに使用される車両が少なくない 」ため、主要バスターミナルにやってくる車両は旧来の宮城交通塗装、現行の岐阜塗りデザイン、名鉄バス塗装とバラエティに富んでいます。

ということで、ここからは小生手持ちの宮城交通・ミヤコーバスの車両画像を並べていきます。本エントリで画像を並べるため、11月に仙台へ出かけました。仙台を訪れたのは2016年以来でしたが、このときは福島県相馬市へ高速バスで行くための乗り換え。宮城交通の路線バスはもちろん、市営地下鉄にも乗ったりしたのは本当に久々でした。
 
 

宮城200か739.KL-LV280N1(03年車)。2019年11月記録。
まずは宮城交通の車両から。近年の新車導入で台数が増えているいすゞ車ですが、かつてはそこまで台数が多いという印象ではありませんでした。仙台圏では古参格となるV8エンジンを搭載したKL規制のLVワンステップ車。



仙台200か625.QDG-LV290N2(16年車)。2019年11月記録。
モデルチェンジした現行ボディのLV。ちなみに塗装デザインは「2008年から名鉄バスと共通化 」しているとのこと。

 

仙台200か780.KL-HU2PMEA(01年車)。2019年11月記録。
日野の一般路線車はミヤコーバスに在籍する中型車をはじめとした移籍車が中心となっており、自社発注車は少数派。自社発注車の古参格となるのがブルーリボンシティのワンステップ車ですから、車両代替が進んだことを実感します。




宮城200か1262.PJ-KV234N1(06年車)。2019年11月記録。
06年に8台導入したKVワンステップ車。PJ規制車のため「マスクはいすゞエルガと共通 」です。



仙台200か418.QKG-MP35FM(13年車)。2019年11月記録。
いつの間にか「車種別比率では宮交グループの約45%を占める 」状態となった三菱ふそう車。「一般路線用の新規登録車は名鉄バスからの移籍車が中心 」というカラクリがありますが、まとまった台数を導入した13年車は仙台圏で見かける存在です。



宮城200か2262.QKG-MP35FM(13年車)。2019年11月記録。
13年導入のMPワンステップ車画像をもう1台。宮城交通では「登録番号をそのまま車番としている 」のですが、ご当地ナンバーの「仙台」が誕生したため転属により登録番号が変わる事例がだんだんと増えてきています。

 

宮城200か2355.QKG-MP37FM(13年車)。2019年11月記録。
13年はワンステップ車だけでなくノンステップ車も導入しています。

 

宮城200か767.KL-UA452MAN(03年車)。2019年11月記録。
かつては西武バスからの移籍車など、多数在籍していたUD車。現在は数えるほどまで減少しましたが、富士ボディお名残発注案件のUAワンステップ車は健在です。

 

仙台200か707.KL-MP37JM(04年車)。2019年11月記録。
ここから移籍車の画像を何台か並べていきます。見たままそのままな名鉄バスから移籍したMPノンステップ車。名鉄バスは2000年代に何度か塗装デザインを変更しているため、十数年の時を経て宮城交通に複数の塗装デザインが混在する状態となっています。いま最も多いと思われるのが、正面の赤帯がMをデザインしたといえば見えないことも無い塗装の車両。



仙台200か762.KL-MP37JM(05年車)。2019年11月記録。
正面にLEDデイライトを装備した05年式MPノンステップ車。名鉄バスの05年導入車は名鉄バス発足記念の帯塗装デザインでしたが、宮城交通移籍時にいわゆる岐阜塗りデザインに塗り替えられたようです。



仙台200か291.KC-HU2MMCA(99年車)。2019年11月記録。
もちろん名鉄バス以外の移籍車も在籍しています。画像の日野HUツーステップ車は名古屋市交通局からの移籍車。名古屋市交通局移籍車は2011年前後の短い間に全国各地に移籍事例が見られました。



宮城200か2053.KC-MP747K(99年車)。2019年11月記録。
都市間高速バスの共同運行事業者つながりということなのか、京王電鉄バスグループからの移籍車も少ないながらコンスタントに導入しています。画像は三菱ふそうMPノンステップ車。



宮城200か2133.QPG-RU1ESBA(12年車)。2019年11月記録。
都市間高速バスは「アイボリー/緑系の独自デザイン 」を採用。宮城交通は仙台と東北各県を中心とした県外路線を担当しています。画像の車両は前スイング扉仕様の日野セレガ。

 

宮城200か2697.QDG-LV290N2(17年車)。2019年11月記録。
ミヤコーバスは郡部エリアに複数存在した地域分社を2007年に統合した事業者。路線エリア的に中型車が多く在籍していますが、利用者の多い路線向けに大型車も在籍しています。画像の車両はミヤコーバス吉岡所属のいすゞLVで、泉中央駅発着路線の運用に入っていました。

 

宮城200か2802.2TG-RU1ASDA(18年車)。2019年11月記録。
仙台発着の県内高速路線はミヤコーバスによる運行となっています。画像は自社発注で前扉折戸・トイレ無し仕様の日野セレガ。県内高速車は新車導入だけでなく、名鉄バスをはじめとした移籍車も在籍しています。

連載は、「新 バスドライバーのひとりごと」や海外記事などおなじみの長期連載を掲載。「私の知っているバス達」と短期連載の「バリアフリー対応バスの系譜をたどる」は休載となっています。
 
次号予告は、バス事業者訪問が京都市交通局、2019バスラマ賞決定、アルファバスはこんなバス、さらに新型電気バス登場!、バスワールド会場レポート《後編》、中央技術委員会業務報告から、ほかとのこと。冬の京都はきついなぁという心の声。

なお、本文中の「斜字 」部分は同誌からの引用部分、掲載画像の型式・年式は掲載の車両一覧を参照しています。
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