都道府県をまたぐ外出自粛が解除となり、呑気に街角でバスを撮影していてもとりあえず問題にならなくなったことは朗報です。まあ自粛関係なく、周囲から白い眼で見られることには変わりありませんが。COVID-19のワクチンが無い以上、日々の生活で感染防止に努めるしかありません。というわけで、月末恒例バス雑誌の感想という名の、withコロナ。偶数月はバスラマこと、『バスラマインターナショナル180号』です。
創刊30周年記念号となった今号ですが、いわゆるコロナ禍によってバス業界はおそらく30年の中で最も深刻な状況といえそうです。今号では緊急特集として「新型コロナウイルスCOVID-19のバスへの影響」と題し、2020年2月中旬から5月中旬にかけての状況を事業者を対象に行ったアンケート調査の回答を基にまとめています。
やはり4月の緊急事態宣言の影響は大きく、都道府県をまたぐ移動の自粛要請から高速路線の減便や運行休止など相次ぎました。記事では需要回復の予測やメーカーの取り組みなどについても紹介しています。
創刊30周年記念インタビュー第2弾は両備グループ代表兼CEOにインタビューし、「
近年の取り組みに加え、新型コロナウイルス感染拡大によるバス事業の環境変化という直近の話題 」についてまとめています。
バラエティに富んだレポート記事では、JRバス関東に登場した連接バスなどの話題や、オノエンスターが販売を開始した電気バスの試乗レポートなどを掲載しています。
トピックス記事では西武バスの新塗装「S-tory」デザイン登場の話題も掲載。
社番:A0-187.2020年8月記録。
乗合車の笹カラーを「
67年ぶりにデザイン一新 」。「都心から多摩・埼玉を東西に結ぶ鉄道線と、南北に結ぶバスの特徴をイメージ 」した「
クロスデザイン」となっています。
従来カラーから大幅に変わった「S-tory」デザインですが、「ルーフサイドの塗り分けが新旧デザインを橋渡しする
“変わらない部分”で、隠れたこだわり 」があるとのこと。小生はまだ新デザインの現車を見ていませんが、「
2020年度中に約40台が採用される予定 」ということなので、見ることが出来次第画像を並べます。※2020年8月18日に画像を追加しました。
例年6月刊行号では近畿地方で開催した「バステク」の模様を伝えていますが、今年の開催は7月に延期。今号では出品・展示予定の商品や技術を「バス用品カタログ」フォーマットで紹介した記事を掲載しています。
事業者訪問は北海道・道東地方から初登場となる「北海道北見バス」と「網走バス」の2事業者を掲載。札幌への都市間高速バス「ドリーミントオホーツク号」の共同運行事業者というだけでなく、いわゆる戦時統合により誕生した北見バスと、戦後北見バスから分離独立した網走バスと由縁のある両事業者。近年は大手鉄道会社のグループを離れ、ともに地元資本による経営体制となったことも共通しています。
北海道北見バスの記事では、東急グループ時代の北見バスから、地元資本による現在の北海道北見バスへの流れを簡単にまとめているほか、北見市内線・郊外線・都市間線それぞれの概況や取り組みを紹介しています。
現在の北海道北見バスは「
売上ベースでは市内線が19.2%、郊外線が23.9%、空港線が6.3%、都市間線が42.5%、貸切が7.9% 」となっており、「
都市間線、特に札幌線と貸切の利益で一般路線の赤字を内部補填している状況 」とのこと。都市間線がCOVID-19拡大の影響で4月以降減便しており、「
稼ぎ頭の路線の減便は辛い 」状況です。
北見230あ2112.QRG-MS96VP(17年車)。2018年10月に記録したものを再掲。
札幌線は「ドリーミントオホーツク号」の愛称で運行中。独立3列シートのスーパーハイデッカーの三菱ふそうエアロクイーンが運用のメインとなっています。都市間線の塗装デザインは「
2008年、札幌線へのMS9系エアロクィーンの初導入に際し、メーカーデモ車のデザインをアレンジして採用されたもの 」で、既に登場から10年以上経過しています。側面には「ドリーミントオホーツク号」の愛称を表記していましたが、「
ほかの都市間線への柔軟な運用を図るため、近年の新車や車体更生された車両は“Kitami Bus”に表記を改めている 」とのこと。
貸切部門は北海道北見バス発足時に規模を縮小し、現在は10台で「
地元の学生団体や企業の送迎などを主体 」としています。「
もともとインバウンド旅客は受注しておらず、外国観光客の入国がストップする辞退でもその影響はありません 」としながらも、「
COVID-19の影響で受注は95%がキャンセルとなり影響は深刻 」とのことです。
在籍車両は5月現在で三菱ふそう56台・日野31台・いすゞ18台にトヨタの小型車1台の計107台。かつてはUD車も在籍していましたが先ごろ全車引退しましたが、富士7Eボディの1台が「
旧デザインの記念車として保存されている 」とは知りませんでした。
北見230あ2034.2019年1月記録。
いつもなら手持ちの画像を何枚も並べていくところですが、北見・網走は未訪問の小生。昨年釧路で記録した画像の日野セレガRのGDは「在籍車両一覧」に掲載が無いため、どうやら代替となった模様。今回は既に並べている2018年に札幌で記録した画像を再掲ということで失礼させていただきます。
つづいては網走バス。長らく名鉄グループに属していましたが、2012年に道内でカラオケ・アミューズメントを展開する地元企業のタカハシグループへ株式を売却し、地元資本による事業者となっています。記事は、タカハシグループ入りしてからの話題が中心となっており、異業種から見たバス事業の違いや苦労したところ・していることの話なども多く、北海道北見バスの記事とはだいぶ違う切り口の事業者訪問という印象。「新しい経営者の意志と現場の経験のギャップが解消するには年単位で時間がかかりました。近年ようやく信頼関係が醸成されてきたと思います 」とわざわざ書いているくらいですから、いろいろと大変な状態だったのかもしれません。多少なりともうまくいっていれば良いのでしょうが、掲載の「輸送人員の推移」から、タカハシグループ入り後も輸送人員の減少に歯止めがかからない状況で、「
市の人口減少よりも速いスピードで減っています 」というのですから深刻です。
在籍車両は4月現在で「
三菱ふそう59台、日野4台、トヨタ1台 」となっています。一般路線車と空港路線車の塗装デザインは、名鉄バスに準じた白に赤帯。都市間路線車・貸切車・コミュニティ路線向けの小型車は「
アイボリーをベースに朱色の曲線を描いた独自デザイン 」を採用しています。
北見230あ1141.QRG-MS96VP(14年車)。2018年10月に記録したものを再掲。
ということで札幌と網走を結ぶ都市間高速バス「ドリーミントオホーツク号」専用車となっている三菱ふそうエアロクィーン。
都市間路線車と貸切車(経年車除く)は希望番号を採用しており、網走営業所の都市間路線車・貸切車は1100~1200番台となっています。付番に法則があるようで、掲載の「在籍車両一覧」を見る限り、頭3桁を連番としているようですが、下1桁は謎です。
連載は、「新 バスドライバーのひとりごと」や海外記事などおなじみの長期連載。海外記事では、ドイツでバスドライバーとなった韓国の方の連載もスタートしています。
次号予告は、創刊30周年記念号:記念インタビュー③みちのりホールディングス・松本代表、置戸町のボンネットバス再訪、バス事業者訪問は阪急バス、2020バステクフォーラム ほかとのこと。たしかBJハンドブックシリーズの新刊も阪急バスだったような・・・、大阪・神戸へ行きますかね。
なお、本文中の「
斜字 」部分は同誌からの引用部分、掲載画像の型式・年式は掲載の車両一覧を参照しています。
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