2020年は新型コロナウィルスに振り回された1年。感染者数は一向に減らないなか、新たなウィルス変異種も・・・という報道を見ると暗澹たる気分になります。というわけで、月末恒例バス雑誌の感想という名の、不要不急の外出自粛をお願いされる年末年始。偶数月はバスラマこと、『バスラマインターナショナル183号』です。
特集と銘打ったものはない今号、巻頭は「電気バス&FCバス最新情報」と題し各地で運行を開始した電気バスやFCバスの話題をまとめています。また、10月に開催した「第6回バステクin首都圏」についても、出展企業の展示車両や商品を中心に紹介しています。
事業者訪問は「芸陽バス」と「鯱バス」、どちらも初登場となる2事業者を掲載。
芸陽バスは2021年に創立90周年をむかえる老舗バス専業事業者で、現在は広島電鉄の連結子会社となっています。事業エリアは広島県の東広島市を中心に、いわゆる芸備地区に路線網を展開しています。記事では芸陽バスの様々な話題を取り上げており、車両と関連技術の話題では近年導入が続くAMTの中型車について「
自動変速では上り坂で失速するケースもあり、当初、現場では戸惑いもありました 」というナマの意見がポロっと出てくるところにバスラマらしさを感じました。
いつもなら手持ち画像を確保する名目で遠出をするのですが、刊行間近まで事業者訪問が不明だったことに加え、遠出の自粛が叫ばれている状況を鑑み断念。というわけで昨年に記録したなかから1枚。
広島200か1687.QKG-KV234L3(13年車)。2019年10月記録。
在籍車両の大部分を日野車が占める芸陽バス。画像の車両は日野KVの短尺ワンステップ車で、「
広島では幹線の広島バスセンター-中野東間などで活躍する主力車 」とのこと。
一般乗合車の現行塗装デザインは2004年から採用を開始しました。薄い水色帯の旧塗装車は代替やボディ更新時の塗り替えで姿を消しましたが、先ごろ創立90周年を記念し1960年代の先々代にあたる復刻塗装車が登場。かなりマニアックな装飾も施されており、ぜひ現車を見たいものです。
続いては「鯱バス」。 名古屋をメインとした中京エリアの貸切専業事業者で、旧社名は東急鯱バス。2009年まで東急グループの一員でしたが、グループ再編の過程で鯱バスをはじめ草軽交通など複数事業者がジェイ・ウィル・パートナーズに売却されました。2013年にジェイ・ウィル・パートナーズから現在の経営陣に引き継がれ、記事では経営陣の貸切バス事業にかける思いやコロナ禍における貸切バス事業についてまとめています。
鯱バスはいわゆる貸切バスだけでなく、企業送迎バスも古くから営業しており、特定免許による企業送迎バスも行っています。企業送迎バスは路線バスタイプの前中扉仕様の中型車で行っているため、路線バス事業者に鯱バスの移籍車が見られるのはこのためです。
掲載の車両アルバムでは、「
1台ごとに太閤ゆかりの戦国武将や関連する人物の名前が付けられている 」観光貸切車はもちろん、企業送迎専門の中型車も掲載しています。
貸切車はなかなか撮る機会が無いので、鯱バスの手持ち画像は見当たらず。企業送迎車もあまり表立って撮るわけにもいかないので、今回は省略ということで。
連載は、「新 バスドライバーのひとりごと」や海外記事などおなじみの長期連載を掲載。
久々の掲載となったのが、短期連載の「バリアフリー対応バスの系譜をたどる」。今回の第7回では、「スクールバスと観光車のバリアフリー化」と題し、大型リフト付バスを中心に取り上げています。
社番:970-81042M06.2TG-MS06GP改(18年車)。2020年6月に記録したものを再掲。
観光車のバリアフリー化に新たな動きといえるのが、エレベーター付バス。「
三菱ふそうでは2018年秋、ハイデッカーのエアロエースにエレベーター付仕様車を設定 」し、画像の東京空港交通在籍車両が市販第1号車とのこと。「
ホイールベース間の中扉部にエレベーターが設置されている 」ので、「
従来のリフトに対しては迅速性のほか、車内で昇降することで安全性・快適性に優れると謳う 」とのこと。
次号予告は、バス事業者訪問が大島旅客自動車ほか、沖縄のバスの話題、ほかとのこと。随分とあっさりした予告です。まあ、いわゆるコロナ禍ですから予告のたてようが無いといったほうが正しいのかもしれません。それにしても次号の事業者訪問は伊豆大島ですか・・・。「ほか」が伊豆諸島の町営・村営バスになるのか、まったく別の地域の事業者になるのか早く明らかにしてほしいと勝手にお願いしておきます。
なお、本文中の「
斜字 」部分は同誌からの引用部分、掲載画像の型式・年式は掲載の車両一覧を参照しています。
PR