バス会社潜入レポートは、今年創立９０周年となる東京の「関東バス」。旧編集体制だった２００６年刊行１８号以来、２度目の登場となります。執筆担当はＢＪエディターズの加藤氏で、ＢＪハンドブックシリーズの直近作は２０１３年に『ＢＪハンドブックシリーズＲ８０ 関東バス』となります。
記事は２０２０年１０月３１日現在の在籍車両をもとに編集しています。カラー頁は沿線風景と車両紹介をメインにまとめた、いつもの構成となっています。
社番：Ｅ１１４４．ＫＬ－ＵＡ４５２ＫＡＮ改（０５年車）。２０２０年８月記録。
関東バスは富士重工ボディを愛用してきた事業者で、ＵＤ車を多く導入してきました。「
９９年から短尺ノンステップバスを導入し、メーカー標準ボディを架装 」していることから、西工ボディのＵＡが登場。登場から１５年以上経過していることから、新車代替で姿をけしつつあります。
ちなみに、関東バスの一般路線車の塗装デザインは「１９５０年、アメリカの模したデザインを採用 」したというもの。塗装デザインは７０年の間に何度か修正・変更を行っており、「
１９９９年に登場したノンステップバスで窓上がドットに、裾部がストライプにアレンジ 」を加えたものが現行タイプとなっています。
社番：Ｃ２１２４．ＰＪ－ＭＰ３７ＪＫ（０６年車）。２０２０年８月記録。
国内バス４メーカーが在籍する関東バス。現在は三菱ふそう車を最も多く保有していますが、ＵＤ車の導入がメインだった００年代までは社番の頭アルファベット「Ｃ」の青梅街道営業所を中心とした導入にとどまっていました。画像はＰＪ規制車のＭＰノンステップバスで、記事によれば「
すでに廃車が進められている 」とのこと。
社番：Ｂ１９６５．２ＲＧ－ＬＶ２９０Ｑ３（２０年車）。２０２０年１２月記録。
社番：Ｂ１９６４．２ＲＧ－ＬＶ２９０Ｑ３（２０年車）。２０２０年１２月記録。
ＥＤＳＳを装備した２０年導入のいすゞＬＶの長尺ノンステップ車。
いすゞ車はかつて社番頭アルファベット「Ａ」の阿佐谷営業所を中心に導入してきましたが、「
近年は阿佐谷・五日市街道が三菱、武蔵野がいすゞ中心に変化 」しています。
社番：Ｂ１４１４．ＬＫＧ－ＭＰ３５ＦＭ（１１年車）。２０２０年８月記録。
関東バスは収容力など様々な要因から３扉車を延命してきましたが、「
０９年から中間尺のワンステップバスを並行して増備 」することで３扉車の代替を進めました。画像は１１年導入の三菱ふそうＭＰワンステップ車。
社番：Ｄ８０１３．２ＳＧ－ＨＬ２ＡＮＢＰ（１８年車）。２０２０年６月記録。
日野車は社番頭アルファベット「Ｄ」の丸山を中心に導入しています。画像の車両は「
２０年ぶりに登場したハイブリッドバス 」となる日野ＨＬ３台のうちの１台で、「
夜行高速バスをＰＲするため 」高速・貸切車塗装デザインで登場しました。
社番：Ｅ３６２．ＰＤＧ－ＲＭ８２０ＧＡＮ（０９年車）。２０２０年１２月記録。
「
狭隘路線用の中型車も配置営業所に合わせて４メーカーを採用 」しています。まずは西工ボディ架装したＲＭノンステップ車。
社番：Ｅ８１４．ＰＤＧ－ＡＲ８２０ＧＡＮ（０８年車）。２０２０年１２月記録。
全くの同型車ですが、こちらは三菱ふそうのＡＲノンステップ車。三菱ふそうとＵＤが国内の新車バス製造・販売に協力関係にあった頃を今に伝える１台です。もともとは当時存在した分離子会社のケービーバス籍で登場しましたが、現在は社番頭アルファベット「Ｅ」の五日市街道営業所に転属しています。
社番：０３１．ＳＤＧ－ＨＸ９ＪＬＢＥ（１６年車）。２０２０年８月記録。
「
コミュニティバスの火付け役 」となった武蔵野市の「ムーバス」。車両の代替が進み、現在は日野ＨＸで運行しています。
社番：１３１．ＫＣ－ＲＵ３ＦＳＣＢ（９９年車）。２０２０年１２月記録。
貸切・高速車は「
白地にカラフルなリングを配したデザイン 」を採用しています。画像の車両は今は無き「
ＭＢＣラインから２台移籍したセレガＦＤ。折戸仕様でトイレなし６０人乗りの空港路線車 」です。現在は吉祥寺駅とお台場地区を結ぶ路線の専用車的な使われ方をしている模様。
「おじゃまします！！バス会社体験・見学レポート」は、小学６年生の超バス好きのキッズレポーターが大好きな事業者という『日立自動車交通』を紹介しています。小学生で日立自動車交通が大好きとは、どんなバスマニアになるのか伸びしろに期待が持てる小学生です。
在籍車両を紹介した記事で、エアロスターを「
晴海ライナー開業時に、５台導入 」とありますが、厳密に言えば２０１２年５月に初の独自路線として開業した秋葉原駅と東京スカイツリータウン前を直行する「ＡＫＩＢＡ ｗｉｔｈ ６３４」から運用を開始しています。小学生相手にわざわざこういうことを書くから小生はクソ老害呼ばわりされるのでしょう。画像は２０１２年６月に記録したものです。
「帰ってきた 路線バス全方位レポート」は「福井県」。前シリーズでは、２００５年刊行の９号で取り上げられています。２００５年以降の事業者の動きで大きな変化といえるのが、福井鉄道が２００８年に名鉄グループを離れ地元資本の事業者となったことでしょうか。福井県全体で路線バスを見ると、福井鉄道と京福バスという二大事業者が路線網を展開している嶺北地域に対し、嶺南地域は福井鉄道がわずかな路線を運行しているほかは「
目立って大きな事業者はなく、小規模な事業者が各地域内の路線を運行や、コミュニティバスの受託をしているという状況 」となっています。ちなみに前シリーズでは小浜駅に乗り入れているということで西日本ジェイアールバスも事業者の項目として取り上げられていましたが、今号では掲載対象外となっているようです。
注目事業者の車両一覧表は、「福井鉄道」と「京福バス」の２社掲載。京福バスの一覧表には車台番号も掲載されていたりと、掲載項目の基準の無さは相変わらずですが、福井県を代表する２大バス事業者の一覧表をどちらも掲載したことに意味があります。たまにはバスマガジンもやりますね。
福井２００か９８２．２ＤＧ－ＨＸ９ＪＬＣＥ（１９年車）。２０１９年５月に記録したものを再掲。
福井２００か９７６．２ＫＧ－ＫＲ２９０Ｊ３（１９年車）。２０１９年５月に記録したものを再掲。
ということで、２０１９年に福井を訪ねた際に記録できた当時の新車の型式をようやく記載することが出来ました。
「鈴木文彦が斬る、バスのいま」は連節バスは拡充するのかと題し、日野・いすゞが販売する国産連節バスの導入事例を中心にまとめています。
「～各地へ旅立ったバスたち～移籍バスの行方を追跡」は第３回国際興業その２と題し、かつての国際興業グループ外の事業者に移籍した事例を中心に、グループ傘下だった山梨交通に移籍した一般乗合車両を紹介しています。
沖縄２００か４５０．Ｕ－ＬＶ３２４Ｌ改（９３年車）。２０１０年４月に記録した画像を再掲。
記事では那覇交通に移籍したＰ規制車のＬＶの写真を掲載していますが、ここではキャプションで解説がある那覇バスに移籍したＵ規制車の画像を。
那覇バスに移籍した４台は中扉４枚折戸仕様の車両で、移籍したばかりの頃は６番那覇おもろまち線のメイン車両として活躍していました。
そのほかの連載は今後調べることが無さそうなので割愛。
次号予告は、「 おじゃまします！！バス会社潜入レポート ｖｏｌ．１０５『那覇バス』」、「帰ってきた！都道府県別地域別路線バス全方位レポート『岡山県』」、「スカニア、ＢＹＤ、ベンツ・・・輸入のバスが目立ってきたけど やっぱり外車はイイの？」、「個室、爆睡シート、プライベートシート、パウダールーム・・・ 乗合の豪華バス、全方位対決！！」、「バス用品探訪 バスの自動ドアメーカー [泰平電機]」、ほかとなっています。
前号の予告でバス会社潜入レポートの通番が間違っていましたが今号も単純にプラスするダメさ加減・・・、次号予告の担当者はさすがですね。
なお、本文中の「
斜字 」部分は同誌からの引用部分、掲載画像の型式・年式は掲載の車両一覧を参照しています。
