バスに関する書籍を買ったら、感想めいたものをブログに書くシリーズ。
今回は2月2日刊行の『年鑑バスラマ 2020→2021』についてです。
構成は、巻頭カラー頁に国内バスハイライト、メインとなる「国内バスカタログ」、そして「海外バスカタログ」、歴史編、巻末の資料編というおなじみのラインナップとなっています。また、本作では「地球環境保全に対して自動車ができること」と題した特別寄稿も掲載しています。この特別寄稿は2000年12月刊行の『年鑑バスラマ2000→2001』の特集で「路線バスは変わったか」と題した意見記事をお書きになった方によるものです。
本作の国内バスカタログ掲載モデルは昨年と変わらず「
国産バス15シリーズ、輸入車12車型 」となっています。輸入車は12車種ということですが、諸元表を掲載しているのは11車種。おそらく本文にあるだけのオノエンスターEVの9mサイズも含めるということなんでしょう。
さて、「
2019年に平成28年排出ガス規制への対応が一段落したことで、国産バスは動きが少なかった 」2020年。一部車種に改良やグレード追加が見られた程度でした。また、新型コロナウィルス感染拡大の影響でバス業界も大きな打撃を受け、「
事業者における新車発注に大きな影響が生じているのも事実 」という状況。2020年全体の新車台数をあらわすデータは来年の年鑑に掲載されることになりますが、相当酷いことになりそうです。
車号:866.2KG-LR290J4(20年車)。2020年10月記録。
もちろん全く新車導入が無いというわけではありません。2020年登録の新車から、佐賀市営バスが導入したいすゞLR。
輸入車では電気バスにモデル拡充があった一方、スカニア/ボルグレンの連節バスとフルフラットバスが「ベースシャーシーの中止に伴い販売ラインアップから外れた 」ため掲載が無くなりました。
社番:0107.2020年11月記録。
スカニア/ボルグレンの連節バスは画像の西鉄バスをはじめ、新潟市のBRT、奈良交通で導入しました。販売中止にともない、部品供給面などどうなるのかが気になるところです。そして、フルフラットバスは東京都交通局が鳴り物入りで導入しました。国内型式も取得しましたが、結局採用事例が増えることなく終了となりました。高い買い物をした車両ですから、同年式の国産車よりも早い代替なんてことにならないよう祈るばかりです。
「海外バスカタログ」は海外の最新鋭バスモデルの一部を国内バスカタログのフォーマットで紹介。今号は燃料電池車やEV車を中心にチョイスし、「
シティバス9モデルと、観光車2モデル 」を紹介しています。
歴史編は「1990~1993 バスラマが出会ったバス達」。
露骨に手抜きと分かるような年もあれば、編集側の思い入れが強すぎる年もありと、振れ幅の大きいことでおなじみの『年鑑バスラマ』歴史編。2020年に創刊30周年を迎えたことから、本作では「
創刊から約3年間に撮影した中から約30点 」を厳選。「
未掲載シーンや、これまでモノクロでしか紹介してこなかったバスなど 」をまとめています。
社番:12683.U-HT2MLAA(92年車)。2020年8月記録。
1990~1993年製造のバスで考えると、P規制車の最末期からU規制車にかけてという時期。青ナンバーの現役車両はさすがに少なくなりました。画像は大分バスが92年に導入した富士ボディ架装の日野HT。 なお、この車両の型式・年式は「大分バスグループ在籍車両一覧」『バスラマインターナショナル121 号』(2010),ぽると出版 を参照しました。
資料編では、2019年11月から2021年2月まで自動運転バスの実証実験などをまとめた「自動運転バスの動向」を新たに掲載した一方、20年以上続けてきた「ノンステップバスの全国各地の採用状況」が掲載中止となりました。編集後記によれば「役目を終えた 」ということですが、三菱ふそう車の集計が昨年からうまくいっていなかったので、掲載中止は時間の問題だったのかもしれません。とはいえ、事業者ごとの型式・年式、正確な導入台数を知ることが出来る貴重なデータが無くなってしまったのは残念でなりません。
毎年書いていますが、年によって当たり・ハズレがあるように感じるのが『年鑑バスラマ』の醍醐味です。もちろんこれは私感ですのであしからず。
なお、本文中の「
斜字 」部分は同誌からの引用部分、画像の型式は掲載の「国内バスカタログ」を参照しました。
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