バスに関する書籍を買ったら感想めいたものをブログに書くシリーズ。
今回は1月下旬に刊行となった『BJハンドブックシリーズV105 岩手県交通』です。
盛岡200か392.KL-KV280L1(04年車)。2020年11月記録。
BJハンドブックスシリーズでは2冊目となる岩手県交通。前作は初代ハンドブックス時代ですから20年以上前、だいぶ間が開いた2作目となります。
掲載事業者はタイトルとなっている岩手県交通のみとなっています。かつては廃止代替バスの運行を目的に設立した早池峰バスがありましたが、2017年に岩手県交通に事業を統合、翌年解散しています。本作は、2020年10月1日現在の岩手県交通の在籍車両をもとに紹介しています。
内容は、安定の車両編・歴史編・紀行編というおなじみの3部構成。「終点の構図」は岩手県大船渡市の「碁石海岸」。紀行編は「遠野物語とイーハトーブ」と題し、遠野物語と宮沢賢治にゆかりのあるスポットを1泊2日で巡る乗り歩きルポとなっています。
車両編では、大型4メーカーに電気バスのBYDが加わる現在の岩手県交通の現有車両を紹介しています。在籍車両で最も多いメーカーとなるのが「
およそ8割を占めている 」いすゞ車ですが、「
国際興業傘下だった13年までいすゞ車にほぼ統一 」されていた頃から比べれば随分陣容が変わったといえます。乗合車のほとんどが移籍車となっており、国際興業バスをはじめ「
首都圏出身のものが多い 」状況。冒頭に並べた画像は、西東京バスからの日野KVノンステップ移籍車です。
歴史編は戦前・戦後部で岩手県交通設立までの経緯と労使対立など苦難の歴史をまとめ、近年部では2000年以降の動きをまとめています。近年部はでは、東日本大震災をはじめ、国際興業グループを離れ、国際東北グループの誕生など興味深い記述がもりだくさんとなっています。
感想めいたものはこのくらいにして、昨年11月に盛岡市内へ出かけて記録した岩手県交通の車両画像を並べていきます。。
なお、本文中の「
斜字 」部分は本作からの引用部分、型式・年式は掲載の現有車両一覧表を参照しました。
岩手200か935.U-LV324K(93年車)。2020年11月記録。
大型乗合車は「
長期にわたり中古購入のみで賄ってきた 」岩手県交通。なかでも親会社だった「
国際興業からの移籍組が一大勢力 」となっており、塗装デザインも「
一般路線車は02年から国際興業カラーを採用 」しました。画像のように外観は社名表記を変更したくらいで、国際興業時代と変わらぬ姿で運行しています。画像の車両は岩手県交通で古参格となるバス協テールを装備した93年車のいすゞLV。正面に岩手県交通の社章がありませんが、ボディは融雪剤の影響による腐食を何度も補修していることが分かります。
岩手200か1077.U-LV324K(94年車)。2020年11月記録。
こちらはテールライトが大型化した94年車。正面の岩手県交通の社章は退色気味・・・。
岩手200か1910.KC-LV380L(96年車)。2020年11月記録。
岩手200か1935.KC-LV380L(96年車)。2020年11月記録。
国際興業バスは90年代末頃から明るい緑色カラーを採用しましたが、岩手県交通に伝わるのは少々時間がかかった模様。しかし伝わったら、国際興業バス時代は渋めの緑色カラーだった車両も塗装デザインは変えず明るい緑色カラーに塗り替えています。しかし明るい緑色は塗り替えを行った工場や時期でだいぶ異なっており、なかにはキツい蛍光色となっている車両も。
盛岡200か226.PJ-LV234L1(05年車)。2020年11月記録。
国際東北グループとなってからも国際興業バスからの移籍車導入は継続しており、現在はPJ規制車のいすゞLVワンステップ車が中心となっています。
岩手200か1783.KL-UA452KAN(02年車)。2020年11月記録。
「
13年以降はいすゞ以外の車種も購入するようになった 」岩手県交通。UD車も登場し、画像の車両は東急バスから移籍したUAノンステップ車。
岩手200か1863.KC-LV380L(00年車)。2020年11月記録。
こちらは立川バスから移籍したいすゞLVツーステップ車。ツーステップ車の移籍事例が珍しくなっていた頃なので、少々意外な導入という感じでした。
盛岡200か198.KL-MP37JK(02年車)。2020年11月記録。
近年導入台数が増加している神奈川中央交通からの移籍車。いすゞ車だけでなく、三菱ふそう車も結構な台数が移籍しています。画像は三菱ふそうMPノンステップ車で、神奈中の特徴的な仕様といえる前面運賃小窓もしっかり活用しています。
盛岡200か381.PJ-MP35JM(05年車)。2020年11月記録。
2019年に濃緑色部を銀色にし、側面を直線的な帯に変更した塗装デザインが登場。国際興業バスのテイストは残りますが、久方ぶりに岩手県交通オリジナルの塗装デザインが登場しました。画像は神奈川中央交通からのMPワンステップ移籍車。
盛岡200か393.PJ-LV234N1(05年車)。2020年11月記録。
神奈川中央交通からのいすゞLVワンステップ移籍車。運賃小窓だけでなく、側面出入口表示幕も活用しています。
盛岡200か405.PJ-MP35JM(05年車)。2020年11月記録。
画像では分かりにくいですが、最近登場した車両から銀色部をグレー色に変更しています。
盛岡200か106.KL-HR1JNEE(03年車)。2020年11月記録。
「
盛岡市は1999年度にオムニバスタウンの指定を受け、バスを活用したまちづくり 」をスタート。その施策のひとつが、盛岡都心循環バス「でんでんむし」の開設。市街地中心部と盛岡駅を循環する路線で、現在は「
一般公募で決定したデザインの車両9台で運行 」しているとのこと。「でんでんむし」専用車は日野HRの10.5mサイズの移籍車が中心となっています。画像の車両は記事では東京都交通局からの移籍車となっていますが、どう見ても違うような・・・。
盛岡200か133.KL-HR1JNEE(03年車)。2020年11月記録。
後面側からの画像だけですが、こちらは東京都交通局からの移籍車。
岩手200か414.KK-LR233J1(02年車)。2020年11月記録。
続いて9mサイズの中型車。自社発注のエルガミオないすゞLRワンステップ車。国際興業カラーを採用した02年導入車ですが、渋めの緑色カラーを採用したため、本家国際興業バスでは見られない旧カラーのエルガミオとなっています。
岩手200か636.KK-LR233J1(03年車)。2020年11月記録。
中型乗合車への新車導入は03年まで。03年導入のエルガミオは屋根上の冷房機器が前側に設置となっています。画像の車両は2000年代頃に採用していた「IKK」ロゴが残っています。個人的には復活してほしいロゴナンバーワンです。
岩手200か1490.KC-LR333J(97年車)。2020年11月記録。
こちらは国際興業バスからの、いすゞLRワンステップ移籍車。
盛岡200か180.KK-MK25HJ(02年車)。2020年11月記録。
神奈川中央交通からの三菱ふそうMKワンステップ移籍車。
盛岡200か288.K9(18年車)。2020年11月記録。
「
国のグリーン化事業を活用して中国BYD製電気バス 」を1台導入し、2019年から盛岡駅とイオンモール盛岡南を結ぶ路線で運行を開始しました。屋根上にもバッテリーを搭載したタイプで、なかなかの長尺車です。後面側からの画像のみで失礼します。
盛岡200か360.K9(19年車)。2020年11月記録。
「
実用性に問題がなく、逆に充電装置の効率的利用が望まれることから、2020年には2台めを追加 」しています。どちらも緑色1色の塗装ですが、「
0-EMISSIONマークは1台ずつ異なっている 」のがポイント。
盛岡200か225.2TG-RU1ASDJ(18年車)。2020年11月記録。
貸切・高速車の塗装は「
80年代から国際興業グループカラーを採用 」しています。画像は自社発注のいすゞガーラでトイレ無しの高速車です。
岩手200か1755.KL-MS86MP(01年車)。2020年11月記録。
高速・長距離路線車にも移籍車導入を行っています。画像の折戸仕様の三菱ふそうMSは京浜急行バスからの移籍車。側面には旧タイプの岩手県交通のアルファベット表記。
岩手200か1938.KL-MS86MP(01年車)。2020年11月記録。
同じく京浜急行バスからのMS移籍車ですが、こちらの側面には現行のアルファベット表記。
次回刊行は「神奈川中央交通」と記載されていますが、公式HPによれば「西日本ジェイアールバス・中国ジェイアールバス」に変更となったようです。本作同様、初代ハンドブックスシリーズ以来の登場となる事業者です。緊急事態宣言が終われば手持ち画像確保のために出かけたいものです。
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