2021年のプロ野球公式戦の優勝チームは、パシフィックリーグがオリックスバファローズ、セントラルリーグが東京ヤクルトスワローズとなりました。両リーグとも前年(前々年も)最下位のチームが優勝するのは初というのだから驚きです。また、ここ数年は1位チームが抜けて、2位3位もしくは3位4位が接戦ということが多かったので、シーズン最終盤まで優勝チームが決まらない大接戦ということも印象的でした。というわけで、月末恒例バス雑誌の感想という名の、下克上はあるのか。偶数月はバスラマこと、『バスラマインターナショナル188号』です。
今号の特集は2つ。まずは「東京2020大会 バス輸送はこうして完了した」。東京2020オリンピック・パラリンピック大会の選手・関係者のバス輸送がどのように行われたのかを、大会組織委員会の担当者へのインタビューをもとに構成しています。大会に向けてどのようにしてバスを確保していったのか?、1年延期したことでの対応、大会開催中の運用についてなど、後の資料となるようまとめているのは、さすがバスラマといえます。
社番:647-9969.2021年7月記録。
大会期間中は選手・関係者輸送につく様々な事業者の貸切バスを見ることが出来ました。小生が記録した中で東京から最も遠方の事業者だったのが画像の中国ジェイアールバスで日野セレガのリフト装備車。大会関係車はトランクなど開閉可能なところをテープで封緘しており、いろいろな安全対策を行っているのだなと思いました。
もう1つの特集は、10月刊行号恒例の「最新バス機器・用品ガイド」。初掲載の企業があったので昨年よりも掲載点数が増加しています。この企業は昨年と同じ商品・文面だな、などと見比べるのがバスラマ長期購読者の嗜みといえます。
事業者訪問は岩手県交通と名古屋ガイドウエィバスの2事業者。前号では京福バスが予告されていましたが、次号に延期となったようです。
まずは99年に刊行した54号以来、2度目の訪問となる「岩手県交通」。記事は2011年3月に発生した東日本大震災以降、近年の動きや取り組みを中心にまとめています。岩手県交通もコロナ禍の輸送減・収入減少の影響は大きく、「
高速バスの利益で過疎路線を維持してきた事業者としては、自治体への支援を求めるだけでは済まない状況 」と、かなり厳しい立場におかれていることが分かりました。
岩手県交通をバスラマの事業者訪問で取り上げたのは約20年ぶりでしたが、今年1月にBJハンドブックシリーズが刊行したばかりなので、新鮮味がそこまで無かったというのが正直な感想です。手持ち画像もBJハンドブックシリーズの感想めいたものを書いたときに並べたものを再掲で失礼します。
盛岡200か393.PJ-LV234N1(05年車)。2020年11月記録。
在籍車両のほとんどが移籍車という岩手県交通。長らく国際興業バスからのグループ間移籍車がほとんどだったことから、銀色地に青帯のオリジナル塗装デザインを塗り替えコスト削減のため国際興業バスの塗装デザインに変更しました。しかし「中古バスの仕入先も多岐にわたるようになり、わざわざ塗り替えるならより塗装の容易なデザインにしてはどうかということになり、緑をベースにした直線主体の新デザインを採用 」したとのこと。新デザインは「最初のものに若干手直しを加えてシルバー帯の現行デザイン 」となったようで、画像の車両の塗装は手直し前のデザインで、現行デザインは掲載写真から判断すると正面の銀色逆三角形が無い、より簡素化したものとなったようです。
ちなみに画像のいすゞLVワンステップ車は神奈川中央交通からの移籍車で、運賃小窓だけでなく、側面出入口表示幕も活用しています。
つづいて、愛知県名古屋市郊外部の志段味地区への足「ゆとりーとライン」を運営する「名古屋ガイドウェイバス」。ガイドウェイバスは市街地部を高架の専用軌道、郊外部は道路を通常のバスとして運行する日本国内唯一の存在です。「運行に当たっては既存の法規への適応が求められた結果、ガイドウェイ区間は路面電車と同等の軌道法が適用され、平面区間の走行は道路運送法に基づくことが定められた 」ため、法律的には「バス事業者ではなく軌道事業者という位置づけ 」となります。実際、名古屋ガイドウェイバスは車両を保有しているものの、運行に関しては名古屋市交通局に委託しており、ガイドウェイバス独自部品やシステムの整備や「高架区間の運行にかかわる経費のほか、高架区間の施設の維持管理 」を業務としています。記事ではガイドウェイバスの様々な「特殊性」について紹介し、メリットや徐々に見過ごせなくなってきたデメリットなところなど分かりやすくまとめています。
社番Gー01.LJG-HU8JLG(13年車)。2023年7月記録。
記事の車両アルバムにあたる部分は、現在「
稼動中の導入時期にわずかな差があるものの同一型式・同一仕様 」の日野ブルーリボンシティハイブリッドをベースに大改造した車両だけなので「車両詳解」として特徴的な機器・設備・仕様など掲載写真をふんだんに載せて紹介しています。
社番Gー35.LJG-HU8JLG(13年車)。2023年7月記録。
ガイドウェイバスの最も重要な装備といえるのが、前後に装備した「ガイド輪」です。平面区間では「ガイド輪」を収納しなければなりませんが、ノンステップバスでは収納スペースを確保できず。このため「
床面を2ステップ車と同等にかさ上げしたガイドウェイバス専用の特注車 」となっています。
名古屋ガイドウェイバスの手持ち画像は、確保次第並べたいと考えています、と書いてから2年以上経過。やっと画像を追加することが出来ました(※2023年7月画像追加および追記)。
連載の「あの頃のバス 渡邊嘉也さんの写真帖から」は、1970年代後半に撮影した四国交通と奈良交通のボンネットバスの写真を掲載。もちろん「新 バスドライバーのひとりごと」や海外記事などの長期連載も掲載しています。
次号予告は、第7回バステクin首都圏会場レポート、バス事業者訪問:京福バス、100年に一度のエネルギー変革は商用EVから始まる!(後編)ほか、となっています。新型コロナウィルスの感染状況が落ち着いているうちに福井へ行かないとと思いますが、冬になるし、高速バスは動いてないし、どうしようかと。
なお、本文中の「斜字 」部分は同誌からの引用部分、掲載画像の型式・年式は掲載の車両一覧を参照しています。
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