バスに関する書籍を買ったら、感想めいたものをブログに書くシリーズ。
今回は2月4日刊行の『年鑑バスラマ 2021→2022』についてです。
構成は、巻頭カラー頁に国内バスハイライト、メインとなる「国内バスカタログ」、そして「海外バスカタログ」、歴史編、巻末の資料編というおなじみのラインナップに加え、貸切バス事業者の現在置かれている厳しい状況を伝える「コロナ禍と貸切バス」と題した緊急提言も掲載しています。
さて、本作の「国内バスカタログ」掲載モデルは「国産バス14シリーズ、輸入車13車型 」となっています。「国産バスは車種追加や仕様追加に留まった 」だけだった2021年、日産シビリアンの製造中止により国産バス掲載モデルは昨年に比べ1つ減りました。一方、輸入車は新たにEVモーターズ・ジャパンの小型電気バスが掲載となりました。
本作で注目すべきは、やはり資料編に掲載されている「ブランド別国内バス販売台数」のリストでしょう。コロナ禍で大打撃を受けた2020年と2021年の2年分が掲載されていますが、販売台数の落ち込み方に目も当たられません。2019年に大型・小型バスを合わせた国内販売台数は13586台でしたが、2020年は9334台、2021年は6880台、2年で半分になってしまいました。特に大型バスの落ち込みが大きく、メーカー別では小型バス販売台数が10台未満のいすゞ自動車を例にあげると、2019年に1789台だったのが、2020年は昨年比70%の1252台、2021年はさらに減って668台という状況です。バス業界全体がコロナ禍の2年で厳しい状況にあることを実感します。
社番:S22113.2SG-HL2ANBP(21年車)。2022年1月記録。
新車販売台数が大きく減少しているなかで、比較的近場で2021年登録車を見られるのは有難いものです。画像は京王バス在籍の日野ブルーリボンハイブリッド。
「海外バスカタログ」は海外の最新鋭バスモデルの一部を国内バスカタログのフォーマットで紹介。今号もバッテリー式EV車を中心に燃料電池車もチョイスしています。
露骨に手抜きと分かるような年もあれば、編集側の思い入れが強すぎる年もありと、振れ幅の大きいことでおなじみの『年鑑バスラマ』歴史編。今年は「トヨタ燃料電池バスの20年」と題し、トヨタ自動車が日野自動車と共同開発してきた燃料電池バスを2001年の開発発表から20年の動きをまとめるとともに、メーカー担当者へ現行モデル「SORA」を中心に取材しています。それにしても、21世紀に誕生したバスで歴史編をまとめることが出来るようになるとは。
メーカー担当者によれば、トヨタ燃料電池バスは「SORAに至るまでに大きく4つの世代 」に分けられるとのこと。第1世代は2001年6月に発表したものとありますが、実車公開はありませんでした。実車が公開されたのは日野ブルーリボンシティノンステップバスをベースにした第2世代からで、2002年の東京モーターショーで一般公開されました。2003年8月から東京都交通局で初の営業路線での実証運行を行ったのも第2世代となります。
第3世代となるのが、2005年の愛知県で開催された万博「愛・地球博」のシャトルバスとして登場した8台。第2世代の改良バスで、「愛・地球博」終了後は中部国際空港のランプバスや関西空港のシャトルバス、羽田空港へのリムジンバスなどで試験運行を続けました。
社番:952.FCHV-BUS(05年車)。2011年2月記録。
小生手持ちのトヨタ燃料電池バス画像は第3世代の羽田空港へのリムジンバスとなった車両から。羽田空港リムジンバスでの運行にあたり、内外装を大改造しました。ベース車のブルーリボンシティ顔はセレガ風に改められ、前扉はスイング扉へ改造。車内は「
ワンステップに嵩上げし前向きシート6列25席を配置 」し、前方にはトランク置場を設置しました。
第4世代は、「2015年1月に発表したトヨタFC BUS以降、先行市販車TFCBを経て、現行市販車のSORAまでが該当 」するとのこと。ベース車がブルーリボンシティハイブリッドに変更するとともに、「FC機器の屋根上移設に伴いリヤオーバーハング短縮・ホイールベース延長を図り定員77人を確保 」しました。
社番:7901.TFCB(17年車)。2020年1月記録したものを再掲。
先行市販車TFCBは2017年から2年の間、東京都交通局で活躍しました。トヨタ返却後は、画像のように名鉄バス籍の「とよたおいでんバス」へ活躍の場を移しています。
車号:9-6301.ZBC-MUM1NAE(19年度)。2020年8月記録したものを再掲。
十数年に渡る実証運行などを経て、2018年3月に販売を開始したのが「型式認定を得た量産型FCバス「トヨタSORA」 」となります。画像は横浜市交通局が試験的に1台導入したSORA。
記事では約1億円の販売価格や6年リースを基本としている販売方式についてメーカー担当者が語っているところもきちんと掲載しており、さすがバスラマという感じです。
毎年書いていますが、年によって当たり・ハズレがあるように感じるのが『年鑑バスラマ』の醍醐味です。もちろんこれは私感ですのであしからず。
なお、本文中の「斜字 」部分は同誌からの引用部分、画像の型式は掲載の「国内バスカタログ」を参照しました。
PR