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バスラマ 199号

日本のプロ野球は両リーグとも8月中に優勝マジックが点灯しました。セントラルリーグ・阪神タイガースのマジックは消えてしまいましたが、パシフィックリーグのオリックスバファローズは一気に他チームを突き放していきました。磐石の投手陣に加えて内野・外野の層の暑さ、西武ライオンズが黄金時代だった頃はこんな感じだったなと思い出しました。というわけで、月末恒例バス雑誌の感想という名の、残る見所は2・3位争い。偶数月はバスラマこと、『バスラマインターナショナル199号』です。

特集と銘打ったものはない今号のバスラマですが、電気バスに関する話題を特集的なボリュームで紹介しています。
北九州市交通局に登場したEVモーターズ・ジャパン製電気バスの話題では、「電気バス再登場」のタイトルで取り上げています。


車号:zero-02.2014年5月に記録したものを再掲。
わざわざ再登場と書いているのは、北九州市交通局は2014年春に韓国HFG製の大型電気バスを2台導入していたから。韓国HFG製電気バスを導入~運行開始1年目の間の苦労話はバスラマ148号に掲載していますが、「の後も様々なトラブルが出て2019年3月に早々と引退 」してしまいました。今回導入したEVモーターズ・ジャパンの7m車は、「性能やコストの評価はエアコン使用も含めて通年の運行実績を見た上でとしている 」とのことですが、さすがにHFG製電気バスのようなことにはならないはず・・・。

また、西日本鉄道が進めるレトロフィット電気バスに関するこれまでの動きについて、今号でしっかりとまとめています。2020年2月に登場したレトロフィット電気バス1号車から、台湾で電気バス改造を行った2号車、2号車の経験を生かして台湾の技術者を西鉄車体技術の工場に呼んで改造を行った3号車・4号車について、そして気になるレトロフィットバスのコストやメリットなども言及しており、実に興味深い内容です。

 
ちなみに台湾で改造したレトロフィット電気バス2号車の社番9725は西鉄バス北九州の小倉営業所に在籍しています。砂津の停留所からすぐ見えるところに電気バスの充電設備があるので、こうして画像を記録することが出来ました(充電していたので、走行している画像は記録出来なかったとも言えますが)

このほかにも、レポート・トピックスで全国の様々なバスに関する話題を取り上げています。
事業者訪問は2000年刊行の63号以来となる「関東鉄道グループ」。関東鉄道をはじめグループ事業者の関鉄観光バス・関鉄グリーンバス・関鉄パープルバスを取り上げています。
記事は2000年以降、とくにTX(つくばエクスプレス)開業やコロナ禍など関東鉄道のバス事業に大きな影響を与えた事柄についてまとめるとともに、電気バスの導入など近年の施策を紹介しています。

在籍車両は低床化と車種の統一が進みましたが、それでも生え抜き車両と移籍車が揃うバラエティ豊富な陣容となっています。ここからは、久しぶりに関東鉄道バス運行エリアへ出かけて確保した小生手持ち画像をいくつか並べていきます。


社番:2110TC.QKG-LV290N1(16年車)。2023年8月記録。
2023年5月末現在、関東鉄道グループ全体で578台在籍しており、「車種別比率ではいすゞ約53%、日野約25%、三菱ふそう約19%。このほか日産ディーゼル6台、日産自動車3台、BYD3台、スカニア2台、現代1台 」となっています。
保有台数から主力的存在といえる、いすゞ車からLVノンステップ車。関東鉄道では「大型乗合車の新車は2015年以降、ハイブリッド車が主体となったため、現行スタイルのエルガ(ディーゼル車)は2016・2019年式が計10台のみと比較的少ない 」とのこと。


社番:2196TC.2SG-HL2ANBD(19年車)。2023年8月記録。
関東鉄道グループでは「2030年度までに電気バス・ハイブリッドバスを全車両の40%まで高める目標を掲げており、現在ハイブリッドバス27台と電気バス3台が在籍 」しています。画像は「近年の大型乗合車の新車の主力として、2018~2020年に13台が採用されたエルガハイブリッドの短尺車 」のうちの1台です。エルガハイブリッドは「現場からは一般のディーゼル車に対して燃費の良さが評価されているが、ベースの日野車ではなく、いすゞでまとまった台数を保有する例は全国的にも珍しい 」とのこと。


社番:1840TC.KL-LV280L1改(02年車)。2023年8月記録。
生え抜き車両では古参格となる、KL規制車のいすゞLVノンステップ車。今では少なくなった正面に「中のり」のプレートを装備している車両です。
2000年代に導入した低床車は前面にポップな書体で「ノンステップバス」・「ワンステップバス」と表記していました。


社番:2024TK.PDG-LR234J2(11年車)。2023年8月記録。
中型車は自社発注の新車が主体で、関東鉄道の全域に配置されるとともに、関鉄グリーンバス・パープルバスでは主力 」となっています。画像は関東鉄道に在籍するいすゞLRワンステップ車で、この日はつくば市コミュニティバス「つくバス」の運用に入っていました。


社番:1975G.PDG-KR234J2(07年車)。2023年8月記録。
関東鉄道は2000年代初めに「賃金体系の見直しや地域密着型の営業展開により収支を改善するねらい 」で利用者減少が目立つ地域の営業所を地域子会社として分離しました。石岡営業所を分離独立するかたちで2002年に誕生した関鉄グリーンバス。2005年に2001年に鉾田営業所を分離独立させた関鉄メロンバスと合併し、旧鹿島鉄道沿線エリアを中心に展開しています。画像は土浦駅発着路線の運用に入っていた日野KRワンステップ車。
ちなみに「コスト抑制もねらって分社した地域会社は、現在は賃金水準が本体とほぼ変わりません。そうでなければ求人に支障をきたすから 」とのこと。なんだかなあという感じです。


社番:9411P.KL-LV280L1改(02年車)。2023年8月記録。
こちらは2001年に下妻営業所を分離独立した関鉄パープルバスに在籍する三菱ふそうMKワンステップ移籍車。関東鉄道では移籍車の社番を9000番台に割り当てています。地域子会社が独自に導入した車両は、新車・移籍車関わらずそれぞれに割り当てられた番台区分になりますが、「関鉄グループ間の転籍時は改番されない 」というルールを採用しています。
画像のMKは中扉窓のオレンジ色の注意文字表記からお分かりの通り、京成バスからの移籍車です。


社番:9514TK.BJG-HU8JMFP(07年車)。2023年8月記録。
移籍車にはこんな車両も。東京ベイシティ交通から移籍した日野ブルーリボンシティハイブリッドの長尺車です。屋根上のハイブリッドバッテリー積載部は日野ロゴの「Hybrid」を貼っていますが、ボディや側面窓はいすゞの「HYBRID」ロゴというのが興味深いところ。
画像の車両は、車内に2台分の自転車の積み込みが可能な装備を施した「つくば霞ヶ浦りんりんサイクルバス」専用車となっており、土浦駅と筑波山口間を指定ダイヤで運行中です。


社番:9537MR.KL-LV280L1改(05年車)。2023年8月記録。
2022年9月3日の関東鉄道創立100周年(前身の鹿島参宮鉄道の創立から100周年)を記念し、2023年5月から3種類の復刻デザインを纏った乗合車が1台ずつ運行開始 」しました。「鹿島参宮鉄道に合併された常総筑波鉄道のバスが1965年まで採用していたデザイン 」の復刻カラー車は守谷営業所の配置。水戸営業所配置となった同型車は青帯の鹿島参宮鉄道カラーで登場しています。


社番:9542TC.PJ-LV234L1(06年車)。2023年8月記録。
こちらは「1965年の関東鉄道発足後から1970年代まで採用されたデザイン 」の復刻カラー車。「基本を鹿島参宮鉄道のグレー/ブルー系としつつ、常総筑波鉄道の赤系を窓上と裾に採り入れた折衷的なカラーリング 」が特徴です。今回登場した復刻カラー車の「車内はシート表皮に往時をイメージした紺のモケットを採用 」するなど、こまかいところに力が入っています。ここまできたら、「中のり」プレートや車内の「ワンマン」表示の取り付けも行って欲しいところです。


社番:G5083.2KG-LR290J3(18年車)。2023年8月記録。
関東鉄道グループでは「現在14の自治体等でコミュニティバスを受託運行しているほか、複数の自治体が協力する広域連携バスを7つの区間で運行 」しています。広域連携バスは「茨城県の交通行政の特徴の一つ 」で、「市や町の区界にとらわれず、路線としてつながる 」ことで「高校生の通学や高齢者の買い物・通院などのアクセス維持 」を目指しています。画像の車両は関鉄グリーンバスが運行受託する「霞ヶ浦連携バス」専用車となっている、いすゞLRです。「霞ヶ浦連携バス」オリジナルデザインの塗装が目印。


社番:2089IT.QTG-RU1ASCJ(15年車)。2023年7月記録。
高速バスは東京と茨城県内を結ぶ路線を中心に展開しています。関東鉄道のバス事業をささえてきた「つくば号」がTX開業により大打撃を受け、現在「主力は鹿島-東京線で、途中の鹿島臨海工業地帯でビジネス利用があるほか、鹿島サッカースタジアムへのアクセスの役割もあります 」とのこと。画像は鹿島-東京線の運用に入っていたいすゞガーラHD。関東鉄道グループの「高速車・観光貸切車および送迎貸切車の一部は京成グループ共通の白地/赤/青のデザイン 」を採用しています。


社番:1977TC.BKG-MS96JP(09年車)。2023年8月記録。
つくば・土浦と水戸を結ぶ「TMライナー」は関東鉄道と関鉄観光バスの共同運行路線です。「TXから水戸方面への二次交通として開設した路線 」で、「水戸へのアクセス手段として県に改めて注目 」されたことをうけ平日は9往復の運行となっています。画像は関鉄観光バス籍となっている三菱ふそうエアロエース初期導入車。床下に冷房機器を搭載した2本トランク仕様車です。

今号から新たに「メーカーカタログを中心に、当時の代表車を系列ごとに紹介する 」というコンセプトの短期連載「カタログで偲ぶ“平成初期”のバス達」がスタート。第1回目は「いすゞLVキュービック」を取り上げています。平成初期はちょうど平成元年規制車(いわゆるU規制車)の販売がスタートした頃になるので、今回掲載したカタログはU規制車のものを元に解説しています。


岩手200か935.2020年11月に記録したものを再掲。
U規制車のLVは2種類のエンジン、5種類のホイールベース+ショートフロントオーバーハング、サスペンションはリーフサスとエアサス、現在では考えられない「24種類のワイドバリエーションを展開 」したモデルとなりました。画像は岩手県交通に在籍したU規制車のLVで、ショートフロントオーバーハング車です。

今号には「あの頃のバス 渡邊嘉也さんの写真帖から」作者によるエッセイも掲載。
このほか「新 バスドライバーのひとりごと」や海外記事など、おなじみの長期連載も掲載しています。 

次号予告は、創刊200号記念企画、バス事業者訪問、最新電気バス情報 ほか とのこと。秘密主義が過ぎる予告です。10月刊行号は「最新バス機器・用品ガイド」が恒例となってますが、はたして掲載されるのでしょうか。せめてバス事業者訪問掲載事業者くらいは公式ブログあたりで早めに公表して欲しいものです。
 
なお、本文中の「斜字 」部分は同誌からの引用部分、画像の型式・年式は掲載の車両一覧や記事を参照しています。
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