ブログの更新が出来なかった4月から7月の間に発売されたバス関連書籍の感想めいたものも書いておきたい、ということで今回は4月刊行の『バスラマインターナショナル 203号』についてです。
今号の特集は4月刊行号恒例となった「春のオムニバス」。今回も新たに登場した電気バスや運行を開始した新路線のほか、国際興業バスがレストアし再登録したいすゞBU04、興味深いところでは埼玉県の武蔵野交通が導入した67人乗りのジェイ・バス製いすゞガーラなど、様々な話題を掲載しています。
「春のオムニバス」掲載記事から、なにか1つくらいは手持ち画像を並べたい!ということで、まだまだ暑かった9月に目黒駅へ行きました。
社番:M6392.J6 2.0(24年車)。2024年9月記録。
画像は2024年3月26日から運行を開始した目黒区東部地域交通バス「さんまバス」の専用車両。「さんまバス」は目黒駅から目黒区総合庁舎(区役所)を結ぶ路線で、「
目黒区東部、一部は品川と港区にも接するエリアは坂が多く交通不便地区 」、具体的に言うと目黒区の三田一丁目をはじめとした周辺地区を経由すべく開業しました。運行経路となっている「東京共済病院」では「
玄関先に乗り入れ 」るなど、「
ドアtoドアを目指している 」路線となっています。路線の大部分は、けして幅が広いとはいえない住宅地の生活道路を走ります。実際に乗車して思ったのは歩行者・自転車の急な飛び出し、交通ルールを遵守しているとは思えない電動キックボード利用者の予測不能な動きの多さ。運行を担当するドライバーの方の負担は相当なモノではないでしょうか。
「
用意された専用車はBYD製のJ6 2.0が3台、目黒営業所に配属 」となっており、「
江戸紫色の塗装には、よく見ると一面にサンマが泳ぐが、1匹だけカツオが混じっている 」デザインとなっています。
「春のオムニバス」以外にも、いすゞエルガEV開発者へのインタビュー&試乗した模様、各地に登場した電気バス、カルサンe-JESTを実際にハンドルを握ってみてのインプレッションなど様々な記事も掲載しています。
事業者訪問は初登場となる「防長交通」。あわせて貸切バス事業を分社した「防長観光バス」も取り上げています。山口県内をメインに路線網を展開する事業者で近鉄グループに属しています。「防長交通」は趣味誌の『バスマガジン』では既に2度ほど事業者特集(事業者潜入レポート)で取り上げられているので、バスラマ誌の事業者訪問で未訪問だったとは正直意外でした。ちなみに直近の『バスマガジン』誌で防長交通が事業者潜入レポートでとりあげられたのは2021年の108号となります。
記事は防長交通の代表取締役が語る「近年の動向」がメインとなっています。防長交通もドライバー不足という現状ですが、解決策のひとつとして「
外国人の雇用が必要 」と明確に書かれているのが今号の事業者訪問最大の見所だと思います。単なる思い付きではなく、防長交通では既に「
ベトナムから整備実習生を数人受け入れており、成果を出しています 」という実績に基づいての発言です。とはいえ外国人ドライバーが本格的に解禁されたら、どれだけの人数が防長交通で働いてくれるのか?という観点は完全に抜け落ちているような・・・。同業他社と比べてもきっと選ばれるという自信があるからの発言なんでしょう。
在籍車両は防長交通だけで「
266台を保有し、うち一般路線車は中型車と大型車が主体 」となっています。一般路線車の「
新車は補助金を活用して中型車を毎年数台ずつ購入 」、「
移籍車は
近鉄バスの大型車を主体 」としています。車両概要・車両アルバム記事でオリジナル塗装、復刻塗装、近鉄バスの塗装をほんのちょっと手を加えたデザインの車両もいれば見たままそのままな車両もありという現在の防長交通の陣容を見ることが出来ます。
手持ちの防長交通の車両画像は、すでに『バスマガジン』誌で並べているので、新たに記録したら追記します。
短期連載「カタログで偲ぶ“平成初期”のバス達」。第5回目は「日野ブルーリボンHT/HU」を取り上げています。掲載されたカタログは「
1990年6月に発売された平成元年規制(U-)車 」のものとなります。P規制車末期の販売モデルから「
ボデースタイルは基本変えることなく、前面方向幕の左右幕板部分を、方向幕窓を含めて1枚ガラス化することで、クリーンな印象を与えるとともに標準サイズよりも長い方向幕の装着を可能とした 」のが外観の変更点です。むしろ「
エンジン停止時にデコンプを使用しないエンジンワンキーストップ機構の標準装備、ブレーキ・クラッチ板のノンアスベスト化、ABSのオプション設定 」などシャーシ面の変更がメインといえそうです。エンジンワンキーストップ機構など現在では当たり前の装備ですが、当時はデコンプレバーを引いてエンジンを止めていた車がまだまだ在籍していたことを思い出しました。
カタログではトランスミッションシフトも4ページにわたって紹介していますが、最初に機械式ATの「日野EEドライブ」をもってきているのがなんとも。なお、日野EEドライブは「
市場では近鉄、京王帝都、横浜市などが積極的に採用したが、変速タイミングがドライバーの意思と一致しない、またクラッチのメンテナンスの必要性もあるなど評価が得られず、1990年代後半に中止された 」ときちんと補足説明を書けるのは長くバス業界を見続けてきたバスラマならではでしょう。
秋田200か185.2019年4月記録(再掲)。
U規制車初期の日野HTの手持ち画像から、羽後交通に在籍していた東京都交通局からの移籍車。中扉4枚折戸仕様のツーステップ車です。2019年4月に記録した時点で、乗務員教習専用車となっており教習担当者用のミラーを増設していました。
このほか「新 バスドライバーのひとりごと」や海外記事など、おなじみの長期連載も掲載しています。
次号予告は、バス事業者訪問No254:川崎鶴見臨港バス、2024バステクフォーラムから、カタログで偲ぶ“平成初期”のバス達⑥ ほかとのこと。
なお、本文中の「斜字 」部分は同誌からの引用部分、掲載画像の型式・年式は掲載の車両一覧を参照しています。
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