バスに関する書籍を購入したら、感想めいたものをブログに書いておきたいシリーズ。
今回は今年2月刊行の『BJハンドブックシリーズV114 しずてつジャストライン』についてです。刊行から半年以上経った10月下旬に更新するのは拙ブログだけです。
静岡22き2951.KC-HT2MLCA(95年車)。
BJハンドブックスシリーズでは2冊目となる「しずてつジャストライン」。前作はニューハンドブックス時代の2003年に刊行した『バスジャパンニューハンドブックスNo.39 しずてつジャストライン』、静岡鉄道直営だったバス事業を分社してからまだ間もない2003年3月時点の在籍車両をもとに取り上げていました。
BJハンドブックスシリーズでは久々の「しずてつジャストライン」ですが、BJエディターズで執筆を担当している『バスマガジン』の「事業者潜入レポート」では2022年刊行の111号で取り上げています。今回はバスマガジン先行の取材となっているため、現有車両紹介写真の一部はバスマガジンで既に掲載しているものも含まれています。
本作の掲載事業者はタイトルとなっている「しずてつジャストライン」のほか、貸切事業分社の「静鉄ジョイステップバス」、地域分社の「掛川バスサービス」・「秋葉バスサービス」です。静鉄グループのバス事業者4社を網羅し、2023年11月1日現在の在籍車両をもとに編集しています。
本作の内容は、車両編・歴史編・紀行編という安定・おなじみの3部構成。「終点の構図」は静岡市駿河区の「登呂遺跡」です。
車両編では、静鉄グループのバス事業者4社に在籍する国内ディーゼル4社に加え、トヨタのハイエースと燃料電池バス「SORA」、アルファバスの電気バス、新旧バラエティに富んだ現有両を紹介しています。掲載の「現有車両一覧表」を見ると、最古参車は秋葉バスサービスに在籍する92年登録でU規制車のエアロスターKな三菱ふそうMPとキュービックボディと富士ボディ架装のいすゞLVの3台です。ただ、この3台はあえて残している感があります。しずてつジャストライン籍で古参格となるのが93年登録以降のU規制車ですが、のこりわずかという状況。コスト削減・路線縮小・移籍車導入を行っていた関係で元々導入台数が多くなかったKC規制車も数を減らし、KK・KL規制の低床車も状態次第ではツーステップ車より先んじて代替対象となりつつある状況ということが分かりました。
ちなみに前作、2003年3月時点の最古参車両は1980年車のいすゞK-CJM470、次いで1981・1982年車のいすゞ車・三菱ふそう車がそこそこ在籍していました。80~82年車はいわゆるリベット付のモノコックバスだったので古く見えましたが、2003年時点での車齢は20年を多少超える程度。2024年の古参車は車齢30年前後となるのですから、随分と長持ちになったもんだという感じです。このままいくと、どんどん車齢が伸びていきそうな感じもしますが、現在導入している低床車はエンジン付属のコンピューター機器やターボ、AT関連の部品など複雑なもの多いことから、メーカーの部品供給終了時点であっさり廃車になりそうな気もします。はたしてどうなるのでしょうか。
歴史編は前作掲載部分を若干コンパクトにし、近年部分を大幅に加筆しています。バスマガジンの「事業者潜入レポート」掲載の歴史編は本作のレジュメといった感じなので、刊行のタイミングがズレていますがBJハンドブックシリーズ向けに先んじて書いていたものとしか思えません。
紀行編は「静鉄バスで訪ねる駿河の旧跡 天女と家康と次郎長と」と題し、1日目で藤枝から清水への行程で家康ゆかりの観光スポットを巡り、2日目で清水周辺だけで次郎長と天女のスポット巡るという1泊2日の乗り歩きルポです。
感想めいたものはこのくらいにして、ここからは小生手持ちの「しずてつジャストライン」の画像を並べていきます。バスマガジンの感想めいたものを書いたときは新宿で記録した高速車の画像だけでしたので、今回はまだ暑さ厳しい2024年9月に静岡市内へ行き記録した一般路線車の画像メインで並べていきます。
なお、本文中の「斜字 」部分は本作からの引用部分、型式・年式は掲載の「現有車両一覧表」を参照しました。
静岡200か104.KL-HR1JNEE(01年車)。2024年9月記録。
しずてつジャストラインの「
一般路線車はいすゞ・日野・三菱 」が主力となっています。ノンステップバスは98年から導入を開始し、2000年代初めには日野・UDから中型幅10.5mサイズも導入しました。画像は01年に導入した日野HR10.5mサイズ。コーナリングランプを装備した関係で前面ウィンカーライトがヘッドライトよりも上にあるオプション仕様を採用しています。ちなみに明かり窓を中扉に装備しているのは01年車のみです。
しずてつジャストラインの一般路線車は2010年代後半から後部にLEDのブレーキライト(ストップランプ)を増設しています。しずてつジャストラインの特長的な装備ですが、本作で関係するような記述は見当たりませんでした。
静岡200か303.KL-MP35JM(04年車)。2024年9月記録。
「
03~15年にはワンステップバスが並行して増備 」。画像の三菱ふそうMPワンステップ車は03・04年にまとまった台数導入しました。クーラーはデンソー製を採用、もちろんバンパーにはコーナリングライトを装備しています。
ちなみに、静岡県は2002年に広告規制を撤廃しており、しずてつジャストラインは一般路線車への「
全面ラッピング広告を積極的に拡大 」、前面含めたフルラッピング広告バスが多数在籍しています。
静岡200か353.KL-UA452MAN(05年車)。2024年9月記録。
05年は、いすゞ・UD・日野各社からまとまった台数の大型路線車を導入しました。
UD車は扉側のフロントガラスが大きい西工B-Ⅱ型ボディを採用したUAのノンステップ・ワンステップどちらも導入しました。まずはノンステップ車。
静岡200か431.KL-UA452MAN(05年車)。2024年9月記録。
こちらはワンステップ車。クーラーはノンステップ・ワンステップどちらもデンソー製を搭載しています。
静岡200か410.KL-HU2PMEA(05年車)。2024年9月記録。
日野大型路線車はブルーリボンシティなHUワンステップ車のみを導入。フルフラットでATのノンステップ車は98年に導入した1台で懲りた模様。
静岡200か405.KL-LV280N1(05年車)。2024年9月記録。
いすゞ大型路線車は全車ノンステップで導入。クーラーはもちろんデンソー製を搭載しています。
ちなみに扉部(車種によっては周辺)を赤色と青色に塗り分け、赤色と青色の四角を配した塗装は98年に導入したノンステップバスから採用したデザインです。
静岡200か196.KL-LV280N1(02年車)。2024年9月記録。
導入年が前後しますが、こちらのいすゞLVノンステップ車は青色の四角塗装部を藤色にした通称「藤枝カラー」。ごく少数に塗られただけなので希少な存在です。
静岡200か588.PKG-LV234N2(09年車)。2024年9月記録。
いすゞLVはノンステップ車での導入が続きます。PKG規制車の08~10年は並行して日野KVも導入していますが、こちらには1台だけワンステップ車を採用しています。
静岡200か812.QPG-LV234N3(15年車)。2024年9月記録。
しずてつジャストラインの一般路線車は15年導入車から巻き込み防止の後輪カバーを採用(一部車種を除く)しています。ただこのことも本作での記述は見当たらず、ブレーキライトの増設や後輪カバーの設置などの記述が無いことに、もそもそと苦言を呈しておきます。
静岡200か816.QPG-KV234N3(15年車)。2024年9月記録。
2015年から「
2019年にバス事業が90周年を迎えるのを記念した復刻カラーのバス 」が登場しました。
画像の日野KVノンステップ車は「
ダークグリーン+クリームは50~60年代の近距離路線バスに使用されていたデザイン 」です。復刻塗装車は雰囲気を重視したためか、ヘッドライトベゼルもボディ色にあわせて塗っているのが特徴です。
静岡200か838.QRG-LV290Q1(16年車)。2024年9月記録。
しずてつジャストラインは2015年以降も歴代の塗装デザインの復刻車両を導入しました。
モデルチェンジしたいすゞLV/日野KVは長いQ尺車を標準採用しています。
静岡200か839.QRG-LV290Q1(16年車)。2024年9月記録。
同じく16年導入のいすゞLV。「
ローズピンク+クリームは50~60年代の遠距離路線バスと貸切バスに使用されていたカラー 」です。ヘッドライトベゼルはローズピンクに塗られています。
静岡200か931.2PG-MP38FM(18年車)。2024年9月記録。
導入台数が激減していた三菱ふそうMPですが、ヘッドライト周りをモデルチェンジしたあたりから再びまとまった台数の導入が行われています。
画像の「
銀色に紺帯は69年から79年の路線バスカラー 」で、静岡鉄道の標記まで復刻しています。
静岡200か962.2PG-MP38FM(18年車)。2024年9月記録。
復刻塗装車が目立ちますが、もちろん標準カラーデザインの車両も導入しています。
なお標準カラーは「
16年から四角形に縁どりが追加され 」ました。
静岡200か965.2PG-LV290Q2(18年車)。2024年9月記録。
18年も復刻塗装車を導入。いよいよ「
80~97年に使用されていたクリームと赤のデザイン 」の赤バスカラーが復刻塗装車のラインナップに加わりました。ヘッドライトベゼルは赤バスカラーのデザインに合わせて直線的に塗りわけているこだわりようです。
静岡200か1015.2PG-LV290Q3(20年車)。2024年9月記録。
20年に導入した大型路線車は全車標準塗装で登場。復刻塗装車は静岡鉄道のバス事業90周年にむけた取り組みだったことを実感。画像はいすゞLV。
なお側面行先表示は16年後半の導入車から戸袋窓部設置に変わりました。
静岡200か1072.2PG-MP38FM(22年車)。2024年9月記録。
21年導入車から標準塗装デザインが赤バスカラーとなります。複数の復刻塗装車が登場しましたが、結局このデザインがノンステップバス導入時に採用したものよりも親しまれているということなんでしょう。
このほか21年導入車から、しずてつジャストラインも前後に丸型換気機器を装備するようになりました。画像は22年導入の三菱ふそうMPノンステップ車。
静岡200か1108.2024年9月記録。
2023年11月1日以降に導入した車両も見ることが出来ました。赤バスカラーの三菱ふそうMPで、後面側の画像を記録出来たのがこの車両だけだったので並べておきます。
静岡200か1080.ECITY L10(23年車)。2024年9月記録。
「
2023年2月には静岡県内初のEVバスとして、アルファバスの大型を1台導入 」しました。塗装は赤バスカラーをベースに、ゴールド色を加えるなどのアレンジが施され、特別車感がアップしています。巻き込み防止の後輪カバーの取り付けはありませんが、おそらく対応品が無かったからでしょう。
静岡200か1103.ZBC-MUM1NAE(23年車)。2024年9月記録。
2023年にはトヨタの燃料電池バス「SORA」も導入しています。こちらも赤バスカラーにゴールド色を加えたアレンジが見られます。巻き込み防止の後輪カバーの取り付けが無いのもアルファバス製電気バスと同じです。
静岡200か626.BDG-HX6JLAE(10年車)。2024年9月記録。
7mサイズの小型車は自主運行バスやコミュニティバス向けに在籍しています。画像のロングサイズで1扉仕様の日野HXは静岡市駿河区中心市街地を循環する静岡市自主運行バス「駿府浪漫バス」の専用車です。
静岡200か837.QTG-RU1ASCA(16年車)。2024年9月記録。
「
静岡~相良・浜岡・静岡空港間の特急バスにはトイレ無しのハイデッカーを使用 」しています。まずは前扉折戸仕様で60人乗りの日野セレガ。短距離高速バスながら廉価グレードではなく、側面窓までのびたJラインも装備しています。この車両の塗装は特急バスに加え貸切車にも採用していたデザインです。
静岡200か977.2PG-RU1ASDA(19年車)。2024年9月記録。
特急バスに歴代の貸切カラーデザインの復刻塗装車が登場。「
このデザインは53~79年の貸切バスがまとっていたもの 」です。16年車と同じく60人乗りの日野セレガですが、スイング扉になったことや、窓までのびたJラインの中止など細かい仕様変更が行われています。
静岡200か999.2TG-MS06GP(19年車)。2024年9月記録。
県内特急バスは「
生活交通として機能し、朝夕の通勤通学利用が多いことから増便を重ねてきたが、乗り切れないケースを解消すべく、2019年に64人乗り車両、翌年には65人乗り車両を三菱ふそう製で導入 」しました。60人乗りが12列シートのところを、特別製のシートで13列にした意欲的な車両です。「
座席13列配置の特急車は前面にオレンジ色のアクセント 」を施しているほか、今のところ全車「
80~04年に採用された貸切カラー 」の復刻塗装で登場しています。
静岡200か1047.KC-HT2MLCA(95年車)。2024年9月記録。
一般的な貸切バス事業は事業分離会社の静鉄ジョイステップバスが担当していますが、しずてつジャストラインも定期観光バスやスクールバス・シャトルバスむけに貸切登録の車両が在籍しています。
「
経年の特急車・高速車・貸切車が定期観光用・契約輸送用として活躍している 」だけでなく、静岡駅から静岡競輪場への無料バス向けに古参のツーステップ車も在籍しています。
画像は無料バスの運用に入っていた前後扉仕様の日野HTツーステップ車。現在しずてつジャストラインの大型路線車はホイールベース5200~6000mmの中・長尺車を採用していますが、「
95年まで短尺・前後扉を標準仕様 」としていました。赤バスカラーは前後扉部を目立たせたデザインでしたが、まさかこの塗装がふたたび標準となるとは思いもよりませんでした。
次回刊行は「タイトルと収録事業者は決定次第ホームページでご案内します」。編集時点でまさかの未定とは驚きです。既に刊行されているので書きますが、次回は『京浜急行バス』です。正直また京浜急行バスかという感じです。
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