奇数月末は『バスマガジン』誌の感想めいたものを書いてきましたが、季刊誌となってしまったので11月末の刊行は無し。ただ、月末には何かしらの感想めいたものを書いておきたい。ということで、バスに関する書籍を購入したら感想めいたものをブログに書いておくシリーズを更新です。
今回は今年10月に刊行された『BJハンドブックシリーズX115 京浜急行バス』についてです。
社番:2437.2024年11月記録。
本作から全ページカラーとなったXシリーズがスタート。全ページカラーになったということは、車両編の「現有車両のアルバム」掲載写真が全てカラーになったということです。と、進次郎風構文はさておき、カラーになっただけで、ここまで見やすくなるとは思いませんでした。近年は紫外線対策などで濃色ガラスを採用する事業者が増え、白黒だと側面窓のサッシ仕様が真っ黒につぶれて全然分からない掲載写真が少なくありませんでした。これがハッキリ分かるのですから、カラー写真化は大歓迎。資料的価値も上がりました。Vシリーズから本格的な掲載がスタートした沿線風景写真ページは残念ながら無くなってしまいましたが、歴史編の掲載写真もカラーとなった意義の方が大きいです。
さて、BJハンドブックシリーズで京浜急行バスが取り上げられたのは初代ハンドブックから、ニューハンドブックス、Rシリーズ、前作2014年のSシリーズ『BJハンドブックシリーズS84 京浜急行バス』を経て、いよいよ5冊目となります。ちなみにBJエディターズが執筆を担当している『バスマガジン』の「事業者潜入レポート」で京浜急行バスを取り上げたのが2017年の84号です。
本作の掲載事業者はタイトルとなっている「京浜急行バス」のほか、貸切専業の「東洋観光」の2社で、2024年6月1日現在の在籍車両をもとに編集しています。前作では羽田京急バス・横浜京急バス・湘南京急バスの3分離子会社籍の車両も掲載していましたが、各社とも2018年4月に京浜急行バスへの吸収合併により、現在は京浜急行バスに一本化されました。
本作は、車両編・歴史編・紀行編というBJハンドブックシリーズでは安定・おなじみの3部構成となっています。「終点の構図」は東京都大田区の「大森東五丁目」です。
車両編ですが掲載の「現有車両一覧表」を見ると、最古参は2階建てオープントップバスとなっている93年登録の三菱ふそうMUです。これは特別であり特殊な車両ですから例外的な存在で、京浜急行バスの在籍車両で古参格と言えるのは08・09年車あたりです。京浜急行バスの代替サイクルは以前より少し長くなったとはいえ、車齢16年前後で代替しているのはさすがといえます。
在籍車両は、いすゞ車が半数近くを占め、ついで日野車、三菱ふそう車と続きます。国内バス販売・製造から既に撤退しているUD車はギリギリ残っているという感じで、おそらく次回のハンドブックで掲載は無いでしょう。国内ディーゼル4社のほか、少数ですがハイエースと燃料電池バス「SORA」のトヨタ車、BYDの電気バス、スカニアの2階建てバスなども在籍しています。
歴史編は、今回も近年の動き(都市間夜行バスからの撤退や近年の取り組みなど)を中心に加筆・修正してページ数をなんとか抑えています。
紀行編は「京浜急行バスで楽しむ 東京湾岸バス散歩」と題し、横浜から浦賀まで東京湾沿いの史跡を中心に巡る日帰り乗り歩きルポとなっています。
感想めいたものはこのくらいにして、ここからは小生手持ちの「京浜急行バス」の画像を並べていきます。東洋観光の車両画像は今回ありませんのであしからず。
なお、本文中の「斜字 」部分は本作からの引用部分、型式・年式は掲載の「現有車両一覧表」を参照しました。
社番:C1952.PKG-LV234L2(09年車)。2024年11月記録。
まずは一般乗合車の画像から並べていきます。京浜急行バスの一般乗合車は大型ノンステップ車を主力としており、現在は「
短尺が標準仕様 」となっています。画像の車両は京浜急行バスでは古参格といえる09年に導入したPKG規制車のいすゞLVノンステップ車。ナンバープレートは緑ナンバーから東京オリンピック・パラリンピック記念ナンバープレートに交換しています。かつての京浜急行バスはメーカー標準のクーラーを採用していましたが、現在在籍する一般乗合車は各メーカーともデンソー製に統一しています。
いすゞ車は京浜急行バス在籍車両の半数近くを占めていますが、そのほとんどが一般乗合車で高速車は現在1台も在籍していません。
一般乗合車の塗装は「
水色と銀色のメタリックカラーに赤色の帯 」で、採用開始は1958年からという歴史あるデザインです。帯などの塗りわけはボディ形状にあわせ「
次第に直線的 」に変化しています。
社番:C1458.QPG-LV234L3(14年車)。2024年11月記録。
14年に導入したLVノンステップ車。一般乗合車は14年までワンステップ車も並行導入していましたが、15年以降はノンステップ車のみの導入となっています。
社番:Y2754.QKG-LV290N1(17年車)。2024年9月記録。
現行ジェイ・バス製ボディ車は16年から導入を開始しました。画像は杉田営業所配置のいすゞLVで、ナンバープレートは横浜での開催試合もあったラグビーワールドカップ2019特別図柄を装着しています。かわいらしいキャラクターが描かれたラッピングバスですが、これは京浜急行バス営業開始15周年を記念して誕生したマスコットキャラクター「けいまるくん」。「けいまるくん」のラッピングバスは3台のみとレアな存在です。本作では「けいまるくん」ラッピングバスの掲載写真だけでなく、そもそもキャラクターについての記述が歴史編含めて見当たらなかったのが残念です。
社番:C2920.2KG-LV290N2(19年車)。2024年11月記録。
京浜急行バスは東京オリンピック・パラリンピック記念ナンバープレートだけでなく、18年から20年に導入した車両の一部に希望番号「2020」で登録しました。
社番:C2950.2KG-LV290N3(19年車)。2024年11月記録。
19年後期導入車からEDSSを装備し、テールランプ/ストップランプがLEDとなったLV290N3となりました。画像の車両も希望番号2020で登場したうちの1台ですが、後面ナンバープレートは緑色。なんらかの事情でナンバープレートを交換したようです。
社番:C2021.2KG-LV290N3(20年車)。2024年11月記録。
20年に導入したLV。京浜急行バスは現行ジェイ・バス製モデルの大型ノンステップ車をAMT仕様で導入しています。
社番:Y6425.2PG-MP38FK(24年車)。2024年11月記録。
三菱ふそう車は高速車・空港車メインで、一般乗合車は少数在籍するだけ。メーカーで一般乗合車と高速車・空港車の在籍台数に偏りがあるのも京浜急行バスの特徴といえます。
画像は24年に導入したMPノンステップ車で、ヘッドライト周りはバンパー同色となっています。
社番:C1356.SKG-LR290J1(13年車)。2024年11月記録。
「中型車はいすゞエルガミオが中心 」となっています。狭隘路線が運用のメインとなっているので、神奈川県内営業所だけでなく都内の羽田営業所にも配置があります。
社番:C3868.PDG-KR234J2(08年車)。2024年11月記録。
中型車では、「古都鎌倉で観光輸送を行うレトロ調バス「京急りんどう号」 」も在籍しています。画像の車両が2代目「京急りんどう号」として08年に登場した日野KRノンステップ車です。本作の掲載写真は、だいぶ前に撮影したもののようで、緑色ナンバープレートでピンク色の「PASMO」ステッカーが貼られています。本作の「現有車両アルバム」掲載写真には前作掲載写真もいくつかありますが、さすがに10年前の撮影写真を流用するのはいかがなものかと思います。
社番:C3156.BDG-RX6JFBA(11年車)。2024年11月記録。
7mでマイクロバスサイズの「小型車は住宅地域にきめ細かいバスサービスを提供するため、95年から採用 」しています。画像は京浜急行バスでは残り少なくなった日野RXで、塗装は「キャメル号」専用車で採用され、のちに都市間夜行バス共通塗装となった「白地に3色の風を表すデザイン 」です。
鎌倉営業所配置の小型車は正面・側面などに「京急ポニー号」の愛称が書かれています。これは1995年に大船駅と桔梗山の一部区間をデマンド運行する新サービス路線として誕生した際に名付けられました。
社番:C4727.SDG-HX6JLBE(17年車)。2024年11月記録。
小型車の「主力は日野リエッセからポンチョと変わり 」、一般乗合車デザインの塗装で登場する車両も増えてきています。
社番:Y3307.QRG-RU1ASCA(13年車)。2023年7月記録。
羽田空港と首都圏各地を結ぶ空港リムジンバス路線は京浜急行バスの収益の大事な柱となっています。京浜急行バスでは「空港車」と呼ばれる専用車は、日野車と三菱ふそう車で二分しています。塗装は白地に赤帯でカモメのシルエットをデザインした「シーガルカラー」を採用しています。カラー名の由来は1979年から運行を開始した「YCATと成田空港を結ぶ高速バス<シーガル> 」で採用したことにちなんでいます。
空港車は「短距離系統がトイレなし、中距離系統がトイレつき 」仕様で導入しています。まずは現行ジェイ・バス製ボディの日野セレガでトイレ無し仕様車。短距離系統向けの車両でも廉価グレードではなく、「屋根まで続くアクセントライン 」にリヤスポイラーも装備しているのが京浜急行バスのこだわりといえそうです。
社番:J4607.QTG-RU1ASCA(16年車)。2024年11月記録。
「シーガルカラー」の後面側はこんな感じ。こちらもトイレ無し仕様車です。
社番:J6642.QTG-MS96VP(16年車)。2024年11月記録。
こちらは三菱ふそうのエアロエースなMSで、トイレ無し仕様の空港車です。
社番:H3470.LNG-HU8JMGP(14年車)。2024年11月記録。
京浜急行バスは羽田空港ターミナル間無料連絡バスの運行も担当しています。無料連絡バスは環境に配慮していることをアピールすべく、近年はハイブリッド車を導入しています。まずは日野ブルーリボンシティハイブリッドのM尺車。無料連絡バス専用車は「荷物の持ち込みに備え、立席スペースを最大限 」とした車内仕様を採用しています。
社番:H2305.2SG-HL2ASBD(23年車)。2024年11月記録。
羽田空港ターミナル間無料連絡バスの新顔として、いすゞエルガハイブリッドの長尺車が23・24年に登場しています。現在のターミナル間無料連絡バスの外装は黄色に緑色帯の目立つデザインとなっています。
次回刊行は「神戸市交通局 伊丹市交通局」。兵庫県内の公営バス2事業者をセットで取り上げるようです。伊丹市交通局はBJハンドブックシリーズで初登場!いすゞLVノンステップバスが在籍車両の大部分を占めるので趣味的な面白みは少ないですが、BJエディターズによる歴史編を読めるのは楽しみです。
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