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バスラマ 204号

ブログの更新が出来なかった今年4月から7月の間に発売されたバス関連書籍の感想めいたものを書くシリーズ。今回は6月刊行『バスラマインターナショナル 204号』について、なんとか2024年内に溜まっていた感想めいたものの宿題を片付けることが出来ました。

今号掲載の特集は、バステクフォーラムと電気バスに関連する記事の2本立てです。
「2024バステクフォーラム開催!」は5月に大阪の万博記念公園で開催したバステクフォーラムの出展車両や出展各社の展示機器やシステムなどを紹介しています。

電気バス関連の特集記事は「電気バス情報&電気バス用バッテリーの知識」。2023年末から2024年5月にかけて登場した電気バスの紹介と、電気バスに使われるバッテリーや電池についてまとめています。電池の特性や日本における法規制など、多方面から取り上げているところがバスラマらしさです。また現在の電気バスで主流となっているリチウムイオン電池だけでなく、それ以外の電池として古の電気バスに使われた鉛蓄電池、未来の技術として全固体電池や「自動車用としては運転寿命の短さや高コストが課題とされる 」燃料電池についても紹介しています。


群馬22あ3214.2011年2月記録したものを再掲。
鉛蓄電池の電気バスの一例として紹介しているのが日野ハイブリッドバスHIMR。電気バスではなく、ディーゼルエンジンと搭載した電池によるモーターを組み合わせ、排出ガスから黒煙など有害物質の数値を抑えることを目的に開発されました。初代HIMRは鉛蓄電池を搭載し、画像の関越交通に在籍したHIMRは中型車用のエンジンを採用し小排気量を図った第2世代の車両です。画像では分かりにくいですが運転席側の中央部の床下側板(※関越交通KKKロゴの下あたり、前タイヤのすぐ後はクーラー機器用)にバッテリーからの放熱用にスリットが設けられています。ちなみに第2世代のHIMRは鉛蓄電池だけでなく、ニッケルカドミウム電池を選ぶことも出来ました。

このほか、東急バス社長へのトップインタビュー記事や、全国各地のバスに関する話題を紹介したレポート・トピックス記事を掲載しています。トピックス記事のひとつに「住宅地に眠る川崎のトロリーバス」と題し、川崎市高津区の住宅街で集会所として活用していたトロリーバス廃車体の話題を紹介しています。トロリーバス車両の保存車は、今回取り上げられた川崎の車両を含めても3台のみ。貴重な存在だけに記事は「現役当時の姿への再現が望まれる 」という一文で締められていますが、このブログ記事作成中の12月12日に解体するとの報道アリ。残念ではありますが、地域の方々の長きにわたる管理により令和の時代まで残ったことを有難く思わなければなりません。

事業者訪問は「川崎鶴見臨港バス」。社名の通り神奈川県川崎市の東部エリアと横浜市鶴見区を中心に路線網を展開する京浜急行グループの事業者です。バスラマの事業者訪問は2007年刊行の105号以来、2度目の登場となります。

前回の事業者訪問掲載された2007年当時の川崎鶴見臨港バスは、1980年代から続く京浜工業地帯の工場閉鎖に加え、バブル経済崩壊後の大規模なリストラ等々で利用者数は右肩下がりに減少。乗合バスの年間利用者数は4000万人に満たない状況にまで追い込まれました。この状況に対処すべく当時の川崎鶴見臨港バスは運用車両のダウンサイジングや、賃金カットなど合理化を目的とした分離子会社「臨港グリーンバス」を2000年に設立するなど、とにかくコスト削減への取り組みを行っていました。臨港グリーンバスは臨港バス本体の神明町営業所の管理・運行を受託するだけでなく、川崎市交通局上平間営業所の管理を受託するなど、コストを削減した中で事業を拡大しました。2000年代後半になり工場跡地を中心とした再開発が進むと利用者数は増加に転じ、コロナ禍前の2019年の輸送実績は5600万人を超えるまで回復しました。一方でドライバー不足が顕在化し、賃金カットのもと急成長させた臨港グリーンバスは管理受託した川崎市交通局上平間営業所への人員確保が大きな課題となったようです。結局臨港グリーンバスは2010年に川崎鶴見臨港バスに再統合し、車両も中型車から大型車導入へと回帰していました。記事ではコロナ禍を経た川崎鶴見臨港バスの状況や、連節バスや電気バス導入の経緯、さらに各種機関と共同で行った自動運転・AI活用など実証実験の模様など様々な話題を紹介しています。

ここからは小生手持ちの一般乗合車画像を中心に並べながら、本文中の感想めいたものを書いていきます。


社番:1T496.QPG-LV234L3(13年車)。2024年10月記録。
川崎鶴見臨港バスは、「2024年5月現在、乗合車358台、貸切車6台、特定車12台の計376台 」を保有し、「車種別比率はいすゞ約51%、日野約23%、三菱ふそう約26%で、ほかにBYDが2台在籍 」しています。なお乗合車は358台のうち、一般路線車が338台、高速車が20台となっています。
最古参車は07年に導入したPKG規制車のいすゞLVノンステップ車となっており、だいたい16~17年あたりで車両代替を行っています。それにしてもこのブログを始めた頃新車だったPKG規制車が古参格ということに驚きます。
さて、一般乗合車の主力となっているのが、短尺(全長10.5mクラス)の大型ノンステップ車です。画像の先代エルガノンステップ車は「2007~2015年式79台が在籍 」しています。ちなみに臨港バスの一般路線車・貸切ノンステップバス・特定スクールバスの社番は、頭数字がメーカー(1:いすゞ・2:日野・3:三菱ふそう・5:その他)、アルファベットが配置営業所(A:塩浜・H:浜川崎・S:神明町・T:鶴見)をあらわし、3桁数字は「基本的に採用順 」の固有番号となっています。


社番:1S659.2RG-LV290N3(22年車)。2024年10月記録。
現行スタイルのエルガは2016年式以降90台が在籍し、うち短尺車は86台 」在籍しています。車内シート仕様は配置営業所により異なり、画像の神明町配置車両は中扉より後は両側とも2人掛けシートが並ぶ「都市型」を、鶴見配置車両は中扉より後も一部1人掛けシートにした「ラッシュ型」を採用し、担当路線の輸送状況を考慮しています。


社番:2A644.2PG-KV290Q3(19年車)。2024年11月記録。
日野車の一般路線車はほぼ塩浜営業所の配置となっています。画像の車両は19年に導入したKVの長尺車。川崎鶴見臨港バスは「2016年以降はドライバー不足に起因するダイヤ削減を踏まえて、収容力の大きい11m超級長尺車も採用 」しており、塩浜営業所と浜川崎営業所へ集中的に配置しています。


社番:3H598.2PG-MP38FK(18年車)。2024年11月記録。
かつて川崎鶴見臨港バスの一般乗合車ではレアな存在だった三菱ふそう車ですが、「2000年代後半からは浜川崎に継続的に配置され、現在では同所の大型車の100% 」になるほど急増しました。ちなみに「エアロスターの冷房装置は全車が三菱重工製 」を採用していますが、いすゞ・日野車と同じデンソー製に統一しないのが謎です。


社番:1H423.PDG-LR234J2(10年車)。2024年10月記録。
一般乗合車の中型車は3台在籍し、「ワンコイン(運賃100円)路線の川崎病院線に使用 」しています。川崎病院線はタイトな病院構内を走行するため中型車専属となっていますが、ワンコインの運賃に加え、病院の正面玄関すぐ近くに停留所を設置するなど、通院客へのサービスは抜群です。
ちなみに前回事業者訪問で取り上げた2007年時点で、川崎鶴見臨港バスには「大型9m車が34台、中型車が82台 」在籍していました。これが3台まで激減するとは。それだけ輸送人員が回復したという証なのでしょう。


社番:1T536.SDG-RR7JJCJ(16年車)。2024年10月記録。
特定車のうちスクールバスは5台 」在籍。うち2台在籍するのが画像のいすゞガーラミオで、地域療育センターの送迎車となっています。
駒岡移転前の鶴見営業所だったJR鶴見線高架下の車庫には、特別支援学校向けのスクールバス専用車がずらりと並んでいた印象でしたが、いまや5台だけ。とくに新規参入事業者が多い分野だけに、川崎鶴見臨港バスとしては縮小していく方針なのかもしれません。


社番:1H514.2024年10月記録。
かつてスクールバス専用車が並んでいたスペースは、一時的な廃車置場として活用することも少なくない模様。新車の中型バスを改造した電気バスとして2015年に華々しくデビューした画像の車両も、2023年2月に引退してからずっと置かれたままとなっています。引退理由などは記事で書かれているので割愛しますが、運用にはだいぶ苦労したようです。「近年、レトロフィット電気バスが増えていますので、同様の手法で再起できないものかと検討もしています 」とのことなので、もしかしたら復活するのかもしれません。

今回の事業者訪問では1ページだけですがアーカイブス記事も掲載しています。1ページだけとはいえ、すべてカラー写真構成で乗合車だけでなく貸切車も紹介しています。小生も便乗して、2008年9月に記録した画像を2枚ほど。

配置車両のほぼ全てが日野車だった頃の浜川崎営業所。HTワンステップ車はもちろん、10.5mサイズのHRやブルーリボンシティハイブリッドもいまや姿を消しているとは。神奈川県内バス事業者ではおなじみ、交通安全運動実施中を知らせる「交通ルール涎掛け」も川崎鶴見臨港バスから消えましたが、これだけはマニア的に朗報かもしれません。


先ほど並べた浜川崎営業所と同じ日に鶴見駅西口で記録したキュービックボディないすゞLVツーステップ車。まだ花月園競輪場があった頃で、直行バスを横浜市営バスと共同で運行していました。

短期連載「カタログで偲ぶ“平成初期”のバス達」。第6回目は「いすゞスーパークルーザーUFC」を取り上げています。

このほか「新 バスドライバーのひとりごと」や海外記事など、おなじみの長期連載も掲載しています。
 
次号予告は、バス事業者訪問No255:東陽バス、宗谷バス2024夏、現代エレクシティタウン紹介、カタログで偲ぶ“平成初期の”バス達⑦ ほか とのこと。
なお、本文中の「斜字 」部分は同誌からの引用部分、画像の型式・年式は掲載の車両一覧や記事を参照しています。
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