2024年も残すところわずかとなりました。2024年に出版されたものは、年内に感想めいたものを書かなければ。というわけで、ブログ更新が感想めいたものばかり続きます。偶数月はバスラマこと、『バスラマインターナショナル207号』です。
特集と銘打たれたものは無い今号ですが、ページ数的に特集といえるのがイベントレポート「第10回バステクin首都圏 開催」記事です。10月18日に開催したイベントの模様や出展企業の展示車両・商品を8ページにわたって紹介しています。
レポート・トピックスでは全国の様々なバスに関する話題を取り上げています。掲載記事に関連するような手持ち画像を1枚くらいは並べておきたい!ということで、今回は「各地の新車から」で掲載されたJR九州バスの車両を。
社番:531-24165.2RG-LV290N4(24年車)。2024年12月記録。
JR九州バスが「
北薩線(鹿児島駅-薩摩郡山-薩摩中央高校間)の開業77周年を記念 」し、新車1台に国鉄バス時代の塗装デザインを施しました。「
前面の動輪マークや側面のツバメのレリーフは同社保管のものを取り付けた 」ほか、「
シート表皮も国鉄時代を彷彿とさせるモケットを採用 」したというのですから驚きです。単なる国鉄バス復刻塗装車ではない、こだわった造りの1台です。ちなみにJR九州バスはナンバープレートに社番的存在のドア番号を希望番号で取得していますが、この車両は開業年にちなんだ数字で取得しているのも見逃せません。
事業者訪問は「北海道拓殖バス」と「大分交通」を取り上げています。
まずは事業者訪問初登場となる「北海道拓殖バス」。北海道の帯広市から西北部の町村へ路線網を展開する事業者です。事業者訪問初登場ということもあり、記事は北海道拓殖バスの概況を中心に、近年の取り組みとして2024年にオープンした原木シイタケ栽培・販売を行う「拓鐡キノコタン」などを紹介しています。
在籍車両は「
2024年10月末日現在、84台のバスを保有し(音更町のコミュニティバス1台含む) 」、「
乗合車の合計は53台、貸切車の合計は31台 」となっています。
乗合車は移籍車が中心で、なかでも「
東京の関東バスからの移籍車が多くを占める 」というのが特徴です。ちなみに関東バスから最初に移籍したのが富士ボディで三菱ふそうMPの3扉車!どういった経緯で拓殖バスがこの車両を導入したのかが気になります。以降「
友好的に車両の譲渡が続いており 」、「
拓殖バスの現場では登録番号の数字で識別・管理 」しているにも関わらず、あえて「
関東バスからの移籍車は社号をそのまま表記 」しているのも特徴となっています。
記事を読めば読むほど現車を一度は見ておきたいと思いますが、帯広自体まだ行ったことが無い小生。北海道拓殖バスの手持ち画像もありません。いつか画像などを含め、追記したいところです。
ということで、2025年6月に帯広へ行きましたので、画像などを追記します。
帯広230あ60.2TG-LV290Q3(21年車)。2025年6月記録。
まずは「拓殖バスの創立60周年を記念して導入された新車購入の長尺車 」。塗装は1980年代まで採用していたデザインを復刻し、ナンバープレートも希望番号で60を取得した記念車的存在です。記事によれば「毎朝、上士幌を出発して帯広に、夕刻には上士幌に戻るが、日中は帯広市内の各路線で活躍するため市内で見かける頻度は高い 」とのこと。
帯広200か287.KK-HR1JKEE(02年車)。2025年6月記録。
「一般路線用の乗合車は東京の関東バスからの移籍車が多くを占める 」北海道拓殖バス。前面白色塗装で残る日野HR9mノンステップ車も、もちろん関東バス移籍車です。ボディには関東バス時代の社番D707を表記しています。
帯広200か290.KL-MP37JK(04年車)。2025年6月記録。
関東バスから大型ノンステップ移籍車を導入した際に、塗装を前・後面と中扉を赤色にしたデザインに変更しました。側面窓上は関東バスの低床バス塗装オマージュ(塗り替えていないのかもしれません)社名アルファベット表記がポイントです。

帯広200か375.PKG-RA274KAN(06年車)。2025年6月記録。
帯広200か376.PKG-RA274KAN(06年車)。2025年6月記録。
関東バスからは日産ディーゼル車も移籍しています。画像の2台が在籍するRAノンステップ車。「主に帯広ー然別湖間のダイヤを担当 」しているとのこと。
「かつての拓殖バスは三菱ふそうが多かったが、現在の車種別割合は移籍車導入で平準化しており、三菱ふそう38台(45%)、いすゞ22台(26%)、日野21台(25%)、日産ディーゼル3台(4%) 」となっています。
帯広200か423.PJ-KV234L1(06年車)。2025年6月記録。
最近移籍してきたという日野KVノンステップ車。同時期に移籍したいすゞLVともども「2024年にオープンした拓鐡キノコタンをPRする 」ラッピング広告車となっています。ちなみに拓鐡キノコタンは拓殖バス新得営業所に開設した「原木シイタケ栽培施設 」で、キノコ狩りはもちろん、「事務所では拓殖鉄道の足跡をたどる資料の展示やキノコタングッズの販売 」も行っているとのこと。
帯広200か301.QTG-RU1ASCJ(17年車)。2025年6月記録。
3列シート車が中心となっている都市間路線車。「都市間路線に加えて帯広空港シャトル便にも3列シート車が就役 」しています。画像のいすゞガーラは運転席側中央部にトイレを設置し、一部の側面窓が下部開閉のT字仕様となっているのが特徴です。
帯広200か404.2PG-RU1ASDJ(23年車)。2025年6月記録。
23年に導入した画像のいすゞガーラは帯広と旭川を結ぶ「ノースライナー」専用車となっています。3列シート車ですが、こちらは側面固定窓仕様となっています。
続いては「大分交通」。事業者訪問では2006年刊行の94号以来、2度目の登場となります。大分交通と地域子会社の国東観光バス・大交北部バス・玖珠観光バス、要は大分交通グループのバス事業者全体を取り上げています。記事は大分交通の近況を中心に、グループ各社に在籍する個性的な車両についても公式見解といえるような発言ありと、バスファンも楽しめる内容となっています。
在籍車両は大分交通グループ全体で225台、「
内訳は乗合車154台、高速車(大分空港連絡エアライナーおよび都市間)36台、貸切車35台 」となっています。
古くから国内ディーゼル4メーカーから新車導入していたこともあり、「
グループ全体では、いすゞ93台(41%)、日野65台(29%)、三菱ふそう49台(22%)、日産ディーゼル16台(7%)、トヨタ2台(1%) 」となっています。
ここからは2023年に記録した手持ち画像を再掲となりますが、いくつか並べていきます。
大分200か1021.2KG-LR290J4(20年車)。2023年4月記録(再掲)
現在「大分交通の乗合車の52%を占める中型バス 」ですが、その「過半数がいすゞLR 」となっています。「現行スタイルのエルガミオは2016年から連綿と新車採用 」が続いており、画像の車両はEDSSを装備したAMT車です。
大分200か990.PJ-MP35JM(04年車)。2023年4月記録(再掲)
一般乗合車は中型車をメインにしていますが、別府市の山間部に位置する立命館アジア太平洋大学(略称:APU)への通学路線には大型車を使用しています。「使用車両は従来の前扉観光タイプに加えて前中扉の市街地用路線車も就役 」しており、画像はAPU線向けに神奈川中央交通から移籍した三菱ふそうMPワンステップ車。大分交通は移籍車に大きな改造を行っていないので、神奈中時代の名残があちこちに見られます。正面の運賃確認窓には「SUNQパス」のステッカーを仕込んでいます。側面の出入口表示幕は中扉部「入口」・前扉部「出口」表示で活用しています。
APU線向けの前中扉仕様大型車には、自社発注の長尺ワンステップ車も在籍しています。
大分200か981.2TG-RU1ASDA(19年車)。2023年4月記録(再掲)
大分交通の「事業収入の重要な柱 」となっているのが、大分空港と大分・別府を結ぶ空港特急バス「エアライナー」。運用車両の中心となっているのが、2008年から導入を開始したジェイ・バス製ハイデッカーです。現在は車椅子乗降用リフトを装備したハイデッカーも在籍しています。
画像の車両は2019年に導入した日野セレガ。色の入っていないガラスの側面窓や、リヤスポイラー無しなど廉価仕様な車両ですが、乗車時間は1時間程度なのでこれで十分という感じです。
大分200か808.QTG-MS96VP(17年車)。2023年4月記録(再掲)
都市間高速バスは大分・別府と福岡を結ぶ「とよのくに号」と、大分・別府と長崎を結ぶ「サンライト号」をそれぞれ共同運行事業者として参加しています。
廉価仕様のエアライナー専用車に対し、都市間高速車は色の入った側面窓を採用するなど相応の仕様で導入しています。画像は3本トランク仕様の三菱ふそうエアロエース。
今号から「私はバスのコレクター」と題した新たな短期連載がスタートしています。一方で同じく短期連載の「カタログで偲ぶ“平成初期”のバス達」は今号休載となっています。
このほか「新 バスドライバーのひとりごと」や海外記事など、おなじみの長期連載も掲載しています。
次号予告は、バス事業者訪問:No.261:伊予鉄バス、EVM-Jの電気バス国内組立工場、カタログで偲ぶ“平成初期”のバス達(中型車編) ほかとのこと。
なお、本文中の「斜字 」部分は同誌からの引用部分、画像の型式・年式は掲載の車両一覧や記事を参照しています。