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BJハンドブックシリーズ X116

バスに関する書籍を購入したら感想めいたものをブログに書いておくシリーズ。
今回は今年1月に刊行された『BJハンドブックシリーズX116 神戸市交通局 伊丹市交通局』についてです。


局番:163.2RG-LV290N3(22年車)。2024年12月記録。


神戸200か4298.QKG-LV234L3(13年車)。2024年12月記録。

本作掲載の神戸市交通局と伊丹市交通局は共同運行している路線もなく、そもそも市自体が隣り合ってすらいませんが、兵庫県内の公営バス事業者という括りだけで編集されたようです。表紙の写真は神戸市交通局・バスの塗装を模したイラストは伊丹市交通局と折衷した装丁となっています。
神戸市交通局は2011年に『BJハンドブックシリーズR73 神戸市交通局』として取り上げられているほか、BJエディターズが執筆を担当している『バスマガジン』の「事業者潜入レポート」でも2023年の121号でも取り上げられています。バスマガジンでの掲載が先行しているため、現有車両紹介写真には既にバスマガジンで掲載されているものも含まれています。
一方、伊丹市交通局はBJハンドブックシリーズ初登場となります。在籍車両はいすゞの短尺ノンステップ車ばかりで、しかも100台未満という規模。ハンドブックシリーズで1冊作るには物足りませんが、2事業者セットなら丁度良い規模です。在籍車両台数・規模的な問題で未掲載だった事業者がセットという形で登場するのは大歓迎です。

さて、本作の掲載事業者はタイトルの通り「神戸市交通局」と「伊丹市交通局」の2事業者だけで、24年9月1日現在の在籍車両をもとに編集しています。神戸市交通局単独作だった『BJハンドブックシリーズR73 神戸市交通局』では神戸市交通局だけでなく、交通局が100%出資した「神戸交通振興」の在籍車両も掲載していました。神戸交通振興は神戸市交通局から移管した神戸中心部の観光スポットを循環する「シティループ」の運行や一部営業所の管理受委託を行っていましたが、事業を縮小することになり2022年3月いっぱいでバス事業を廃止しました。

本作は、車両編・歴史編・紀行編というBJハンドブックシリーズでは安定・おなじみの3部構成に加え、神戸市交通局が所有するボンネットバスの話題や工場の補修作業を紹介したコラムが2ページほど掲載しています。「終点の構図」は神戸市交通局から選ばれ、神戸市須磨区の「須磨一の谷」を取り上げています。
   
車両編・歴史編は当然事業者毎に分けられています。掲載の「現有車両一覧表」を見ると、神戸市交通局の最古参車両は落合営業所配置の01・02年に導入したKL規制車の三菱ふそうMPノンステップ車です。神戸市交通局の乗合車で20年以上在籍しているのはかなり珍しいのでは無いでしょうか。伊丹市交通局の最古参車は05年に導入したPJ規制車のいすゞLVで、在籍車両は全て大型ノンステップ車となっています。

歴史編は、神戸市交通局については近年部分を中心に加筆・修正し、2013年に行われた阪急バス・神姫バスへの路線移譲や神戸交通振興が2022年にバス事業を廃止したことなどを追記しています。
BJハンドブックシリーズ初登場の伊丹市交通局は当然ながら書き下ろしの新作です。伊丹で市営バスが誕生した経緯や現在の取り組みなどについても紹介していますが、参考とした文献資料の関係からか伊丹市交通局が1960年代後半からずっと経営健全化を目指す施策を行ってばかりという印象をもちました。

紀行編は「市バスで楽しむ街歩き 神戸&伊丹のタイムトラベル」と題し、神戸と伊丹の両市にある史跡や歴史スポットなどを途中阪急電車に乗車して巡る日帰り乗り歩きルポとなっています。

感想めいたものはこのくらいにして、ここからは小生手持ちの「神戸市交通局」と「伊丹市交通局」の画像を並べていきます。

なお、本文中の「斜字 」部分は本作からの引用部分、型式・年式は掲載の「現有車両一覧表」を参照しました。

<神戸市交通局>

局番:163.2RG-LV290N3(22年車)。2024年12月記録。
神戸市交通局の2024年9月1日現在の車両数は乗合のみ485台で、メーカー別に見ると、いすゞ218台、日野97台、日産ディーゼル92台、三菱ふそう77台、トヨタ1台 」とのこと。1990年代まで営業所ごとに配置車両メーカーが決まっていましたが、「01年度からは入札による新車購入が開始 」されました。「ただし入札はエリアごとや直営・委託に分けて行われたため、1つの年度に複数の車種が存在している 」のが特徴といえます。
まずは神戸市交通局で最も台数の多いいすゞの大型車画像から並べていきます。EDSSを装備した22年導入車。ノンステップバスの塗装は神戸市営バス伝統の「菊水カラー」デザインをベースに緑色部を黄緑色にしています。


局番:168.2RG-LV290N3(22年車)。2024年12月記録。
22年導入車の後面側はこんな感じ。現行ジェイ・バス製大型ノンステップバスモデルの運転席側の窓はメーカー標準だと中央3枚固定ガラスとなっていますが、神戸市交通局は20年導入車から全て上部開閉の仕様を採用しています。


局番:292.PJ-LV234L1(05年車)。2024年12月記録。
古参格といえるPJ規制のLVノンステップ車で、クーラーはサーモキング製を搭載しています。神戸市交通局はトルコンAT車を積極的に採用していますが、現在残るPJ規制車のLVはMT車です。
ちなみに正面の赤色のマークは「愛の輪運動のシンボルマーク」で、「06年度までのノンステップバス 」に貼られていました。


局番:493.PDG-LV234N2(07年車)。2024年12月記録。
11年からノンステップバスのみ採用されている 」神戸市交通局ですが、それまでは路線環境ににあわせワンステップバスも並行し採用していました。
ワンステップバスは「51年に制定された伝統のデザイン。神戸市街を白、六甲山を深緑色で表している 」「菊水カラー」となっています。
画像の車両は07年に導入したN尺でATのLVワンステップ車。中間尺のN尺車は「乗車率が高い64系統用として少数 」導入しただけのレア的存在です。導入当初の中央営業所から全車が転属し、画像の車両は現在清水が丘営業所配置となっています。

局番:456.KL-LV280N1(04年車)。2024年12月記録。
N尺車にはV8エンジンを搭載したKL規制のLVワンステップ車も4台在籍しています。4台とも中央営業所から清水が丘営業所へ転属しています。MTでサーモキング製クーラーの屋根上機器は旧形状のものを搭載。在籍年数は20年となかなかの経年車です。


局番:040.PKG-KV234L2(07年車)。2024年12月記録。
つづいて1つ目ヘッドライトとなったPKG規制でMTの日野KVノンステップ車。ATのPDG規制車も並行して導入しています。
日野車は小型車ポンチョの導入はありますが、大型車の導入は10年以上ありません。いすゞが入札に強すぎるということなんでしょう。


局番:084.LKG-MP37FK(11年車)。2024年12月記録。
三菱ふそう車も10年以上導入が無いため、在籍しているのはいわゆるニューエアロスターマスクの車両と、OEM車のAAノンステップ車のみとなっています。
画像の車両は11年導入のAT車。扉側の側面窓下辺が中扉を境に異なりますが、神戸市交通局は不揃い部分を黒色の塗装しています。


局番:950.PDG-RA273KAN(08年車)。2024年12月記録。
日産ディーゼル車は95年から導入を開始たこともあり少数派ですが、06~09年にかけて導入したRAノンステップ車がまとまった台数在籍しています。2005年前後あたりの日産ディーゼルは、公営事業者のまとまった台数口の一般競争入札で強さを見せました。
画像のPDG規制車はATですが、並行してMT車も在籍しています。


局番:912.PA-LR234J1(07年車)。2024年12月記録。
中型車の導入は意外と遅く、「92年に初めて導入 」しました。狭隘路線用となっているので在籍台数は少数で、全車いすゞLRノンステップ車です。画像は07年導入のMT車です。クーラーはサーモキング製を搭載しています。

<伊丹市交通局>

神戸200か1971.PJ-LV234L1(06年車)。2024年12月記録。
伊丹市交通局の24年9月1日現在の車両数は乗合のみ90台で、メーカー別に見ると、いすゞ78台、三菱ふそう10台、アルファバス2台 」とのこと。全車大型ノンステップ車となっており、「公営交通には珍しく、長年いすゞ車に統一されていたことが特徴 」でもあります。
まずは古参格のPJ規制車のいすゞLV。伊丹市交通局はいすゞLVのノンステップ車がまだフルフラットAT車しかなかった頃の縁でトルコンAT車を積極的に導入しており、MT車は2000年代以降たまに導入しただけの少数派となっています。画像の車両ももちろんAT車です。また、クーラーは09年度導入車までサーモキング製を採用していました。
白と深緑色の伊丹市バスカラーは52年から採用 」し、1950年代末頃には「現行のベースとなるグリーン基調のデザイン 」となっていたようです。ノンステップ車の導入は97年と早く、ツーステップ車と判別を可能にすべくノンステップ車は前後バンパーと前面・側面の行先表示周りをオレンジ色にしました。


神戸200か4652.QKG-LV234L3(15年車)。2024年12月記録。
ジェイ・バス製の旧ボディ最終導入となった15年車。正面扉側に装備したスピーカーや、運転席側のミラーも前に突き出したいわゆる「ユーレイミラー」など、長年の伊丹市交通局仕様がつまっています。


神戸200か5885.2KG-LV290N4(23年車)。2024年12月記録。
モデルチェンジで現行ボディとなった16年導入車から、扉側に後輪カバーを装備するようになりました。その一方、前面・側面行先表示周りのオレンジ色にするのは中止となりました。
また、行先表示は「23年式から白色LED表示器 」を標準採用し、在籍車両も白色LED表示器への交換が進められています。


神戸200か5888.2KG-LV290N4(23年車)。2024年12月記録。
後面側はこんな感じ。伊丹市交通局はコロナ禍後も運転席側窓の中央3枚固定ガラスを採用しています。


神戸200か5477.2DG-LV290N3(20年車)。2024年12月記録。
20年に1台だけ導入した画像のいすゞLVは「観光PRラッピングが施され、カラーLED表示器を装備 」し、伊丹駅と伊丹空港を結ぶ大阪国際空港線が運用のメインとなっています。ちなみに20年導入車から、いわゆる「ユーレイミラー」の採用は中止となりました。


神戸200か5393.2PG-MP38FK(19年車)。2024年12月記録。
いすゞ車の導入が続く伊丹市交通局ですが、19年に97年以来となる三菱ふそうMPノンステップ車が4台登場しました。久しぶりの三菱ふそう車ということからか、ヘッドライト周りだけジェイ・バス製ボディのライトベゼル風に塗りわけたのが特徴です。このためヘッドライト周りのパーツは下部バンパー同色のオレンジ色+上部深緑色にヘッドライト周りのみ黒色と手間のかかった塗り分けとなっています。また、クーラーはデンソー製ではなく、わざわざ三菱重工製を採用しています。

神戸200か5686.2PG-MP38FK(21年車)。2024年12月記録。
21年も三菱ふそうMPを6台導入しました。21年導入車は「ユーレイミラー」ではないこと、ヘッドライト周りパーツは下部オレンジ色+上部黒色の2色塗りになるなど、19年導入車にあったアクの強さが無くなってしまいました。クーラーは引き続き三菱重工製を搭載しています。

次回刊行は「横浜市交通局 川崎市交通局」。次回も同一県内の公営バス2事業者がセットとなるようです。在籍車両の統一が進み、どちらの事業者も単独で1冊にするとバラエティに乏しいと判断されたのでしょう。横浜市交通局の単独作を刊行したところで、いすゞエルガと日野ブルーリボンⅡの間違い探し状態ですし(誇張及び偏見含む)。
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