2月内にまとめるのを諦めたバス雑誌の感想という名の定例報告。偶数月の刊行はバスラマこと、『バスラマインターナショナル 208号』です。
特集は「「大阪・関西万国博覧会」のバス輸送と開幕前のバス情報」。記事では2025年4月13日に開幕する大阪・関西万博(EXPO 2025)会場への足となるシャトルバス情報を中心に、シャトルバスの運用に用いられる各社の電気バスについてまとめています。あわせて「EXPO 2025より一足早く1月11日にオープンしたeMETRO MOBILITY TOWNの自動運転バス 」の話題も取り上げています。
会場へのシャトルバスのなかで最も規模が大きいのが「桜島駅万博シャトルバス」で、「バス70台が就役し、大阪シティバスが半数以上の電気バスを運行するほか、近鉄バス、南海バス、西日本ジェイアールバス、はやぶさ国際観光バス、阪急バス、阪神バスが、いずれも電気バスで運行する 」予定とのこと。ルート上に右折ポイントがあるのか分かりませんが、連日マニアが押しかけることになるのでしょう。
このほか2月発売号の恒例となったバスラマ賞贈呈の模様も掲載しています。第28回バスラマ賞はいすゞ自動車が2024年5月に発売した「エルガEV」に贈られました。
レポート・トピックスでは全国の様々なバスに関する話題を取り上げています。掲載記事に関連するような手持ち画像を1枚くらいは並べておきたい!ということで、今回も「各地の新車から」で掲載されたなかから1枚。
社番:た22.2PG-MP38FK。2025年2月記録。
神奈川中央交通は2024年度下期にまとまった台数の新車導入を行っており、なかでも画像の三菱ふそうMPノンステップ車は「
2024年度下期新車ですでに60台以上が採用されている 」とのこと。コロナ禍で新車導入がストップした反動もあるのでしょうが、毎月毎月相当な台数の新車が登場しています。2023年後半に登場した「
赤系の新デザインが徐々に増えて 」おり、見かける機会も多くなりました。
事業者訪問は愛媛県の老舗企業伊予鉄道グループの「伊予鉄バス」及び地域分社の「伊予鉄南予バス」。伊予鉄バスは「2
018年に伊予鉄道が持ち株会社に移行したのに伴い 」誕生したバス事業分社となります。バスラマの事業者訪問は伊予鉄道直営だった2004年刊行87号以来2度目の登場です。87号時点では伊予鉄南予バスのほか、久万営業所を分社した伊予鉄久万バスもありましたが、2005年に伊予鉄南予バスが吸収合併しています。
記事は電気バスの導入や自動運転について、ドライバー不足&「負荷の大きい仕事に応じてポイントを付与し、基本給に加算していくという考えの制度 」な待遇面での取り組みなど、伊予鉄バスが近年力を入れている話題中心となっています。また、グループ最古参の1980年式日野RLを「なんとか営業車両としてのコンディションを維持できるよう 」苦労しながら残していることが分かる記事や、1980年と前回の事業者訪問記事向けに2004年に撮影した写真で構成した「アーカイブス」記事もあります。
在籍車両ですが、「2025年1月現在、伊予鉄バスは乗合車184台、貸切車34台 」、伊予鉄南予バスは「乗合車24台・貸切車18台 」、「両社合計で260台を保有 」しています。
「車種はグループ内に愛媛日野自動車がある 」ので日野車が中心となっており、そこにEVモーターズ・ジャパンの電気バスが加わるという状況です。例外的存在といえるのが、高浜駅と松山観光港を結ぶ路線で使われている自動運転用の小型バス。自動運転システム「BOLDLY」に対応可能なアルファバスジャパンのL6が1台在籍しています。
ここからは2025年2月に記録した手持ち画像をいくつか並べていきます。

愛媛200か158.KK-HR1JKEE(01年車)。2025年2月記録。
「
一般路線車は主力が中型車 」となっている伊予鉄バス。「
2000年から数年間は中型車と小型車を主体にノンステップバスを一括導入 」しました。ツーステップの古参車が代替で姿を消し、現在は画像のレインボーHRが「
中型車では最多の台数 」となっており、「
今なお19台全車が活躍 」しています。
「
2015年から「IYOTETSUチャレンジプロジェクト」の一環で、バス・電車の外装をオレンジ一色に変更 」しており、「
バスは新車のほか在来車の塗り替えによりオレンジ一色が増えている 」状況です。記事では触れられていませんが、ラッピングでオレンジ一色となった車両も多く、画像のHRもそんな1台です。ラッピング車はバンパーが黒色のままとなっています。
愛媛200か5417.SKG-KR290J1(13年車)。2025年2月記録。
「HR9m車の後継であるレインボーⅡノンステップは4気筒エンジン車が2013~2015年の3年間、11台採用 」。黒色バンパーから、ラッピングでオレンジ色となったことが分かる一台。
愛媛200か5667.2KG-KR290J4(19年車)。2025年2月記録。
「2016年以降のKRは現行スタイルレインボーが採用され、型式末尾2~4が12台在籍 」しています。
愛媛200か5024.KL-HR1JNEE(04年車)。2025年2月記録。
大型車は幹線路線を中心に活躍しています。「2004年から中型幅10.5m車で大型クラスのノンステップ化を進め 」、現在「HRの10.5m車は8台在籍し、斎院に集中配置 」されています。画像のKL規制なHR10.5m車は5台在籍し、全車自社発注です。
愛媛200か5659.PK-HR7JPAE(06年車)。2025年2月記録。
新車導入を続けてきた伊予鉄バスですが、2010年代後半から移籍車も導入するようになりました。3台在籍するPK規制なHR10.5m車のうち、屋根上の角型換気機器が特徴の2台は川崎鶴見臨港バスからの移籍車です。
ちなみに「
HR10.5m車には2006~2009年に採用された改造CNG車が6台あったが、これらはCNGボンベの法定使用年限などにより、2022年までに全車引退した 」とのこと。伊予鉄バスが移籍車導入に踏み切ったのはCNG車の早期代替に対応するためと推測しますが、どうなんでしょうか。
愛媛22か2005.U-HT2MLAA改(93年車)。2025年2月記録。
大型車では古参のHTツーステップ車もわずかながら在籍しています。画像の車両は旧塗装で残る1台。予備車となっているようで、この日は本務車両に何かしらのトラブル発生で急遽代車として運用に入っていました。後面の行先表示は使用しておらず、白幕表示となっています。
愛媛200か5715.EVM-J 10.5(24年車)。2025年2月記録。
伊予鉄バスは2022年から電気バスを導入し、2025年1月現在自動運転用車両を除いて「大型11台・中型3台・小型2台 」が在籍しています。
大型車はEVモーターズ・ジャパン製F8シリーズ2の10.5mを採用しており、画像の車両は「2024年2月に5台が増備され川内に配置 」となったうちの1台です。
伊予鉄バスでは電気バスを「今後も年間10台程度は継続導入し、2027年度末までに合計50台まで増備する計画 」とのこと。
愛媛200か5721.EVM-J 8.8(24年車)。2025年2月記録。
中型クラスの電気バスはEVモーターズ・ジャパン製F8シリーズ2の8.8を採用。2024年10月から発売されましたが、「伊予鉄バスは発売に先行して同年3月に導入 」しました。「10.5m車に対してはフロントマスクなどを一新している 」のが特徴。なお10.5mサイズもこのフロントマスクに変更することが発表されています。
愛媛200あ5130.ALFA L6(24年車)。2025年2月記録。
「2024年12月25日からは高浜駅-松山観光港間で、路線バスとしては全国で初となる自動運転「レベル4」による営業運行 」を開始しました。「自動運転のシステムはソフトバンクグループのBOLDLY 」で、システムに対応したアルファバスジャパンのL6が専用車となっています。小型電気バスでバスで言うところの小判ナンバー車です。
自動運転車による運行は「基本的に朝8時頃の始発から日の入時刻頃まで、15分毎 」、「システムに不具合が生じたときのために運転席には大型二種免許を保有する保安員が座る 」体制となっています。記事には書かれていませんが、乗車時はシートベルトの着用が求められています。
愛媛200か5618.2KG-RU1ESDA(18年車)。2025年2月記録。
伊予鉄バスは四国島内路線をはじめ、東京・名古屋・大阪・福岡など長距離都市間路線も共同運行事業者として運行に携わっています。「高速路線車は全車ハイデッカー 」で、「夜行・昼夜行兼用車には3列シート・乗客定員28~29人・中央部トイレ付仕様が、昼行を主体に4列シート・乗客定員40人・後部トイレ付仕様 」で運行しています。
まずは4列シート車の日野セレガ。4列シート車も補助席無しで側面固定窓仕様を採用しているのが伊予鉄バスの特徴です。
愛媛200か5620.2KG-RU1ESDA(18年車)。2025年2月記録。
こちらは床下仮眠室装備がある3列シート車。
3列シート車には画像の自社発注車だけでなく、共同運行していた阪急バス減便にともなう移籍車も在籍しています。
愛媛200か5001.KL-RU1FSEA(03年車)。2025年2月記録。
飛行機のイラストが目印の松山空港リムジンバス専用車。「松山空港リムジンバス用は13台で、高速路線からの用途変更車と新車 」が在籍しています。画像の側面固定窓仕様の日野セレガRは高速路線からの用途変更車です。
ちなみに「愛媛ナンバーは1999年に「200か」「200あ」に移行後、2003年12月にプレートの「愛媛」のフォントが変更された際に5000番台 」となりました。
愛媛200か5309.PKG-RU1ESAA(10年車)。2025年2月記録。
こちらは松山空港リムジンバス用に導入した車両。「セレガリミテッドエディションの折戸仕様、外観は側窓まで延びていないJピラーやリヤスポイラーのない点が都市間高速車との差異 」です。
伊予鉄道は2024年4月30日に「新たにEVバスを10台導入!~松山市駅前に新車両が集結し、出発式を開催~」という公式発表を行い、その資料によれば松山空港リムジンバス専用車に12mの電気バスを1台導入したことが書かれていますが、今号の車両アルバムはもちろん在籍車両一覧にも掲載がありません。気になるのは「2025年2月から松山空港リムジンバスにも電気バスを投入します 」という本文記事。2024年導入車はいまのところ無かったことにされているようです。
愛媛200か5575.SDG-RU8JHBA(17年車)。2025年2月記録。
最後に貸切車の画像も1枚。現行ボディの9mハイデッカー貸切車。
貸切車は伊予鉄グループで「12mハイデッカー37台、9mハイデッカー10台、中型車2台、小型車が3台という陣容 」となっています。
短期連載の「カタログで偲ぶ“平成初期”のバス達」は「いすゞLR<ジャーニーK/LR路線車>」。9回目の今回から中型車編がスタートとのこと。
「
いすゞLRは昭和58年排出ガス規制(P-)に適合するとともに、フルモデルチェンジした川重車体工業製のリベットレスボデーを架装した中型バス 」で、1984年から販売を開始しました。掲載カタログは「
1990年8月に発売された平成元年規制(U-)車 」のものとなります。U規制車は搭載エンジンの変更がメインでボデーはP規制車時代とほぼ同じ、ボデーに変更が加えられたのは1995年から販売を開始したKC規制車でした。タイトルの「平成初期」から外れますが、今回はKC規制車のカタログから外観のページの掲載もあります。
福島200か312.2008年9月記録。
「ジャーニーK」は観光・自家用系のネーミングです。カタログ掲載写真は、デラックス観光をベースに特別仕様のフロント1枚ガラスにスイング扉という見栄えのする車両と、オーソドックスな前扉折戸仕様のデラックス観光の車両を掲載しています。
当時のジャーニーKの手持ち画像から、磐梯東都バスに在籍していた短尺車。フロントガラスは2枚でクーラーは直結式ですが、メッキパーツの3連テールライトに「
行灯を組み込んだフロントマスクを備え 」た個性的な造りの車両です。磐梯東都バスが路線バスの運行を開始した2003年時に登場した車両で、同じ仕様の車両が複数台在籍していました。移籍車であることは間違いないですが、元々どこで使われていたのかは分かりませんでした。ちなみに川重・アイケー製ボデーのLRにはU規制車まで「
側面腰部のサイドシル 」がありました。
社番:C626.2018年2月記録(再掲)。
社番:C643.2018年2月記録(再掲)。
こちらは路線車のボデー。「
ボデーの基本構造は観光・自家用と路線車で共通 」であることが分かります。画像は山梨交通に在籍していたU規制車のLRです。
このほか連載では、前号からスタートした「私はバスのコレクター」、「新 バスドライバーのひとりごと」や海外記事など、おなじみの長期連載も掲載しています。
次号予告は、国産電気バスが運行開始、非接触給電(DWPT)という技術、トロリーバスの話題、新型電気バスキャラバンに同行、バス事業者訪問:京王電鉄バスグループ ほかとのこと。
なお、本文中の「斜字 」部分は同誌からの引用部分、画像の型式・年式は掲載の車両一覧や記事を参照しています。
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