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BJハンドブックシリーズ X117

奇数月末は『バスマガジン』誌の感想めいたものを書いてきましたが、昨年から季刊誌となってしまったので5月末の刊行はありません。とはいえ、拙ブログの月末は何かしらの感想めいたものを書いておきたい。ということで、バスに関する書籍を購入したら感想めいたものをブログに書いておくシリーズを更新。
今回は4月に刊行された『BJハンドブックシリーズX117 横浜市交通局 川崎市交通局』についてです。


局番:7-1860.2DG-LV290N2(08年車)。2024年10月記録。


局番:S-3071.2SG-HL2ANBP(24年車)。2025年4月記録。

前作に続き、同一県内の公営バス事業者という括りで編集された本作。表紙の車両写真は横浜市交通局・バスの塗装を模したイラストは川崎市交通局という装丁です。
どちらの事業者もBJハンドブックシリーズでは久々の登場です。横浜市交通局の前作は2006年の『BJハンドブックシリーズR59 横浜市交通局』。ちなみにBJエディターズが執筆を担当している『バスマガジン』の「事業者潜入レポート」では2023年の120号で取り上げられており、本作の現有車両紹介写真には既にバスマガジンで掲載されているものも含まれています。
川崎市交通局の前作は2007年の『BJハンドブックシリーズR60 川崎市交通局』で、『バスマガジン』の「事業者潜入レポート」では2017年の82号で取り上げられています。バスマガジンの取材からもだいぶ年数が経過しているので、さすがに川崎市交通局の現有車両紹介写真は全て撮りおろしとなっています。

本作は24年12月1日現在の在籍車両をもとに編集しており、掲載事業者はタイトルの「横浜市交通局」と「川崎市交通局」のほか、横浜市の外郭団体の「横浜交通開発」の3事業者です。横浜交通開発は横浜市交通局のバス営業所の管理委託先となるべく2008年に路線免許を取得し路線バス事業に参入しました。現在は横浜市交通局の緑・磯子営業所の管理を受託しています。

本作の構成はBJハンドブックシリーズの安定&おなじみとなった、車両編・歴史編・紀行編の3部構成です。なお、前作にあったコラムページの掲載はありませんでした。「終点の構図」は横浜市交通局から選ばれ、横浜市中区の「根岸台」を取り上げています。
   
車両編は「現有車両のアルバム」・「現有車両一覧表」・「現有車両車種別解説」を掲載。
横浜市交通局の最古参となるのが04年度に導入した「あかいくつ」専用車の日野HRですが、特装車ゆえ通常の代替サイクルとはやや異なる感。一般乗合車の古参格となるのが、05・06年度に導入したPJ規制車の日野KVノンステップ車です。わずかな台数ですが、ギリギリ前作のハンドブックシリーズ掲載車両が残っていました。

いっぽう、川崎市交通局の最古参だったのが08年に登場したPKG規制車のいすゞLVでしたので、前作のハンドブックシリーズ掲載車両は1台も残っていません。なお、川崎市交通局に24年12月1日時点で2台在籍していた日野HXは、「現有車両一覧表」・「現有車両車種別解説」に項目はありますが、「残念ながら本書の取材前に廃車 」とのことで写真掲載はありませんでした。バスマガジン誌でもなぜか掲載写真が無かったので、BJエディターズ関連書籍で一度も載ることなく姿を消してしまいました。逆に12月2日以降、2024年度内に登場したEVモーターズジャパンの大型電気バスの写真は歴史編に「2025年3月に運行開始した 」という記載で掲載しています。

歴史編は、両事業者とも前作刊行以降の施策などを近年部分に追加しています。このため前作の近年部分記述の一部に修正や削除箇所が見られます。

紀行編は「横浜市営バスと川崎市バスで ウォーターフロント新春散歩」。横浜市の桜木町駅を9時過ぎに出発し港湾地帯を北上、20時過ぎに川崎市東扇島にある川崎マリエンから夜景を楽しむという日帰りというには結構長めの乗り歩きルポとなっています。

感想めいたものはこのくらいにして、ここからは小生手持ちの「横浜市交通局」と「川崎市交通局」の画像を再掲含め並べていきます。

なお、本文中の「斜字 」部分は本作からの引用部分、型式・年式は掲載の「現有車両一覧表」を参照しました。

<横浜市交通局>

局番:8-3936.PKG-KV234L2(09年車)。2024年10月に記録。
横浜市交通局は大型路線車を中心に、路線環境に合わせて中型・小型車も在籍しています。「2024年12月1日現在の保有車両は乗合790台、貸切25台、特定2台、計817台で、ほかに横浜市の外郭団体の横浜交通開発に乗合11台が在籍 」し、「メーカー別に見ると、日野388台、いすゞ345台、三菱ふそう64台、日産ディーゼル28台、トヨタ3台 」とのこと。
03年度までは営業所ごとにメーカーが統一されていたが、04年度から入札により採用された同一車種がすべての営業所に配置 」されています。
いちおう国内ディーゼル4メーカー在籍していますが、ジェイ・バス製ボディの日野車・いすゞ車の導入が続いてることもあり、車種の統一が進んでいます。
画像は08年度に導入したPKG規制車の日野KVノンステップ車です。横浜市交通局の局番は-(ハイフン)前の「1桁が購入年度、後ろの4桁の千位がメーカー、百位が用途、十位・一位が固有番号 」となっています。-(ハイフン)前の1桁は購入年度となっているので、登録のタイミングにより画像の車両のように年式とあっていないことも少なくありません。
路線バスの塗装は1949年購入の車両で登場したクリーム地に青色帯という基本デザインをボディ形状やコスト削減などなど時代に合わせた変更を行いながらも採用を続けています。


局番:6-3453.QDG-KV290N1(16年車)。2024年10月記録。
こちらは16年度導入の日野KV。横浜市交通局の局番は-(ハイフン)「後ろの4桁の千位がメーカー 」を表し、「3」は日野車となります。ちなみに滝頭営業所配置の一般乗合車両は正面に局番の4桁数字だけを追加して貼っているのが特徴です。


局番:0-1922.2PG-LV290N3(20年車)。2024年10月記録。
2020年度導入のいすゞLV。局番でメーカーを表す数字「1」はいすゞ車となります。
2012年度以降の新車はジェイ・バス製ボディのバスばかり、しかも現行モデルはメーカーエンブレムが違うくらいの差しかありません。局番でいすゞか日野かを判別するしかありません。


局番:3-1964.2SG-HL2ANBD(24年車)。2024年10月記録。
横浜市交通局は「低公害車としてツーステップ時代からハイブリッドバス・CNGバスを導入 」しており、現在は日野・いすゞのハイブリッドバスのほかトヨタの燃料電池バスも在籍しています。画像は2023年度に導入した日野ブルーリボンハイブリッドのOEM車となる、いすゞエルガハイブリッド。行先表示はカラーLED機を搭載しています。この年式の車両の多くは2027年に開催予定の国際園芸博覧会のラッピング車となっています。


局番:3-1972.2SG-HL2ANBD(24年車)。2025年5月記録。
後面側はこんな感じです。


局番:1-2706.LKG-MP37FK(11年車)。2024年9月記録。
メーカーを表す数字「2」は三菱ふそう車。現存する一般乗合車は2011年度に導入したMPノンステップ車だけ。代替になるのは当分先になりますが、近年は入札にも参加していないのでUD車に続き横浜市交通局から姿を消す可能性があります。


局番:7-4619.PKG-RA274KAN(07年車)。2024年9月記録。
メーカーを表す数字「4」は日産ディーゼル車。残るは2007年度に導入したRAノンステップ車のみとなりました。ボディはフロントガラスの扉側が大きい西工96MCのB-Ⅱです。


局番:3-3399.SKG-KR290J1(13年車)。2023年12月記録。
中型車は少数派で、10年度以降はいすゞ・日野のノンステップバスのみを選択 」しています。画像は2013年度に導入した日野KR。


局番:8-3963.BDG-HX6JLAE2(08年車)。2025年5月記録。
1990年代に横浜市は「最寄り駅まで15分の交通体系整備」を政策プランとして掲げたことから、交通空白地域を小型車で運行する路線を開設しました。小型車は現在日野ポンチョの2扉ロングタイプで統一しており、画像のBDG規制車のポンチョは古参格となります。

局番:9-3532.2DG-HX9JLCE(20年車)。2025年5月記録。
小型車の現行塗装デザインは1995年に導入した日野RXから採用しています。後面側はこんな感じの帯デザインです。

局番:4-3776.PB-HR7JHAE(05年車)。2023年7月記録(再掲)。
市内中心部に「みなとみらい21地区」や「中華街」といった有数の観光スポットを抱えていることから、かつては貸切車による定期観光バスも運行していました。定期観光バスは1999年の貸切事業廃止により運行を終了しましたが、2005年3月から路線バスによる観光スポット周遊バス「あかいくつ」の運行を開始しました。画像の車両は「あかいくつ」運行開始にあわせて導入した日野HR9mサイズをベースにしたレトロ風改造車。天井は明かり窓を備えたダブルルーフ構造という、改造にとんでもない金額がかかったと思われる車両です。


 局番:6-3499.QDG-KV290N1(16年車)。2023年7月記録(再掲)。
「あかいくつ」は人気路線となり専用車両を増車するとともに、9mサイズから大型化していきました。レトロ調のボディは継続していますが、さすがに屋根のダブルルーフ構造は2012年度導入のKVから単なる飾りとなりました。画像の車両は2016年度に導入した日野KVです。


車号:9-3514.KX525Z1(20年車)。2020年8月記録(再掲)。
みなとみらい地区への大規模集客施設や企業の集積などを踏まえ 」、「横浜駅から水際ラインを結び、山下ふ頭まで 」を連節バスで運行する「ベイサイドブルー」を2020年7月から運行を開始しました。専用車となっているのが日野ハイブリッド連節バスで、4台在籍しています。ボディは「メタリックブルーのラッピング 。シートのモケットもロゴが入った独自のデザイン 」となっています。

<川崎市交通局>

局番:A-3090.2SG-HL2ANBP(24年車)。2025年5月記録。
川崎市交通局の2024年12月1日現在の保有車両は乗合303台、貸切5台、計308台  」。川崎市内に工場があった関係でいすゞ車と三菱ふそう車を中心に導入し「03年度までは1営業所2メーカーに統一されていたが、04年度からは入札による車両購入が行われ、各営業所に3~4メーカーが配置される形 」となりました。2000年代半ばは入札に強い日産ディーゼル車を多数導入しましたが「24年度までにすべて姿を消し 」、「メーカー別に見ると、日野173台、いすゞ79台、三菱ふそう56台 」となっています。横浜市交通局同様、川崎市交通局も日野車がもっとも多く在籍しています。
画像は2024年だけで43台導入した日野ブルーリボンハイブリッドのうちの1台です。ちなみに2024年に導入した日野ブルーリボンハイブリッドのほとんどが、「川崎市の交通事業80周年を記念 」したロゴマークの貼付や、ナンバープレートの頭数字を80にして登場しました。
川崎市交通局の局番はアルファベット-(ハイフン)以下4桁の数字で形成しており、「アルファベットが所属営業所、4桁の数字の千位がメーカー、百位は低公害車・一般車に分けて付番、十位・一位が固有番号 」となっています。画像の車両を例にすると、メーカーを表す数字「3」は日野車、百位「0」ならび「1」は低公害車、営業所を表すアルファベット「A」は井田営業所配置車両となります。
路線バスの塗装は川崎市が政令指定都市となった1972年にから採用した「「青い空と白い雲」をイメージした 」デザインです。当初は「藤色とアイボリーのツートン」でしたが、「1988年にボディカラーの藤色がより鮮やかなブルー 」にした現行カラーとなっています。


局番:S-3088.2SG-HL2ANBP(24年車)。2025年5月記録。
川崎市交通事業80周年記念事業」では、川崎市の交通事業の始まりとなる市電の塗装を再現したラッピング車も1台登場しました。営業所を表すアルファベット「S」の塩浜営業所に配置となり、市電代替路線ともいえる渡田線の運用をメインにしています。


局番:S-3038.2SG-HL2ANBP(19年車)。2025年4月記録。
ハイブリッドバスのHLは2017年から導入を開始し、いすゞブランドの車両も含めると67台在籍しています。それだけの台数が在籍しているので変り種も見られ、画像は塩浜営業所の配置車両のごく一部に見られる屋根上のバッテリー搭載部のカバーが水色になった車両です。もともと標準カラーで登場しているので、なんらかの目印?理由があって塗り替えられたようです。


局番:A-3029.LJG-HU8JLGP(12年車)。2025年5月記録。
川崎市が環境への取り組みに積極的ということもあり、川崎市交通局はハイブリッド車を早くから導入しており、「1991年には日野の電気式ハイブリッドバスHIMRの先行導入事業者のひとつ 」にもなりました。その後、ハイブリッド車からより低公害とされたCNG車の導入にシフトしましたが、日野ブルーリボンシティハイブリッド販売開始後はハイブリッド車導入に回帰しています。初期に導入した日野ブルーリボンシティハイブリッドはすでに代替で姿を消し、現在は2011・2012年に導入したLJG規制車がハイブリッド車の古参格となっています。


局番:H-3406.PKG-KV234L2(10年車)。2025年4月記録。
ごく普通のディーゼル車ももちろん在籍しています。2010年に導入した日野KVノンステップ車。営業所を表すアルファベット「H」は上平間営業所の配置車両です。


局番:W-3425.PKG-KV234L2(10年車)。2019年10月記録(再掲)。
02年から短尺ノンステップバスが主力 」となった川崎市交通局ですが、2009~2011年には「通勤通学時間帯の混雑が激しい路線用 」としてワンステップバスも少数導入しました。画像の日野KVワンステップ車は「ラッシュ型の座席配置 」を採用しています。営業所を表すアルファベット「W」は鷲ヶ峰営業所の配置車両です。


局番:H-1817.PKG-LV234L2(08年車)。2025年4月記録。
続いて、局番のメーカーを表す数字「1」のいすゞ車から、川崎市交通局最古参格となる2008年に導入したPKG規制車のLVノンステップ車。


局番:S-1842.PKG-LV234N2(09年車)。2025年4月記録。
混雑が激しい系統用として中間尺・長尺ノンステップバス 」も導入しており、これらのノンステップバスは現在塩浜営業所に集中配置しています。画像は2009年に導入した中間尺のN尺ノンステップ車です。


局番:S-1882.QPG-LV234N3(13年車)。2025年5月記録。
こちらは2013年導入のN尺ノンステップ車。いすゞ車の側面行先表示位置は2013年導入車から前扉のすぐ後の窓から、ひとつ後(戸袋窓の隣)に変わっています。


局番:S-1891.QPG-LV290Q1(16年車)。2025年4月記録。
現行ボディにモデルチェンジしたQ尺車もわずかですが在籍しています。画像の2016年導入車あたりから正面窓下中央に市章が復活しました。


車号:H-1014.QSG-LV234L3(16年車)。2019年6月記録(再掲)。
いすゞブランドのハイブリッドバスとなるエルガハイブリッドは2014年と2016年に導入し、6台在籍しています。


車号:A-1862.PDG-LR234J2(10年車)。2025年4月記録。
中型車は少数派 」で、狭隘路線中心の運用となっています。かつては中型車も4メーカー在籍していましたが、現在は、いすゞLRノンステップ車のみとなっています。画像は中型車では古参格となる2010年に導入したLR。


局番:S-1876.LKG-LV234L3(11年車)。2025年5月記録。
貸切バス事業は「1967年度末に廃止 」しましたが、「2005年3月 」に再開。市内学校の社会科見学・短距離の遠足や市内でのイベント輸送など送迎に特化していることから、前中扉仕様の一般乗合車を貸切登録にした車両が中心となっています。そんな貸切登録車のなかで、唯一貸切っぽい造りの車といえるのが2011年に導入した画像のLVワンステップ車。「2人掛けハイバックシートを装備する“ワンロマ”仕様 」が特徴です。塩浜営業所配置で、川崎競輪場への無料送迎バスで動くことが多いようです。

 
局番:M-2805.LKG-MP37FK(11年車)。2019年10月記録(再掲)。
最後に局番のメーカーを表す数字「2」の三菱ふそう車で最古参となるのが、2011年に導入したMPノンステップ車です。最古参が2011年導入となっているのは、三菱ふそうが2000年代半ばに発生したリコール問題などからしばらく出禁となっていたためです。
川崎市交通局で銀色サッシで残っているのはこの型式のみとなりました。ちなみに側面行先表示位置は当初から戸袋窓の隣にあります。


局番:S-2822.2PG-MP38FK(19年車)。2025年4月記録。
ヘッドライト周りをモデルチェンジした現行マスクのMPは2016年に登場。黒色サッシに変わりました。2000年代半ばのリコール関連問題で導入が無かった三菱ふそう車ですが、2016年以降はディーゼル車の入札では勝つ金額を出し続け、台数が増えつつあります。

次回刊行は「三重交通」。三重交通運行エリアに行くことがほとんどない小生。バスラマの事業者訪問の感想めいたものを書いたエントリで並べた画像を使いまわすことになりそうです。
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