今年の梅雨は一時的に前線が消えるなど、なんだかよくわからないものとなっています。九州などではすでに梅雨明けしており、関東地方も例年より早くという話。6月でこの暑さと湿度の高さ、7月以降どうなってしまうのでしょうか。というわけで、月末恒例バス雑誌の感想という名の、夏の身体になりません。偶数月はバスラマこと、『バスラマインターナショナル210号』です。
特集と銘打たれたものは無い今号ですが、かわりにイベントレポートとして5月に兵庫・神戸総合運動公園で開催された「2025バステクフォーラム」について結構なページ数を割いています。出典企業の展示車両や機器、サービスなどを紹介しています。展示車両は電気バスなど新鋭車が中心のなか、今回初出展の神戸市バスが「経年車の延命(最長23年) 」ということで、「2008年式の日産ディーゼルPKG-RA274KANを展示した 」のは興味深いところです。
このほか、創刊35周年インタビュー記事や、全国各地のバスに関する話題を紹介したレポート・トピックス記事を掲載しています。
事業者訪問は「三岐鉄道」と「道南バス」の2事業者を取り上げています。
まずは事業者訪問初登場の「三岐鉄道」。バス事業は「
乗合30台、貸切24台 」と小規模ですが、四日市大学への通学輸送とキオクシアへの通勤輸送が「
近年急速に需要が伸びている 」ことから連節バスや電気バスを導入するなど話題は豊富です。記事では近年の取り組みを中心に三岐鉄道のバス事業を紹介しています。

車番:63.QKG-KV290N1(16年車)。2019年6月記録。
手持ちの三岐鉄道のバス車両の画像を2台ほど並べておきます。まずは16年導入の日野KV。分かりにくいですが、後面の行先表示は「大学経由東芝」。記録時点ではまだ「キオクシア」へ改称していませんでした。
車番:60.KK-RJ1JJHK改(03年車)。2019年6月記録。
こちらは川崎鶴見臨港バスから移籍した日野RJワンステップ車。記事によれば、現在もイオンモール東員への路線専用車となっているようです。
続いては2000年刊行の66号以来、2度目の登場となる「道南バス」。戦時統合で誕生した事業者ですが、中心となった室蘭自動車合資会社の創業からちょうど100周年ということで、今回の事業者訪問では、道南バスの現況・近年の取り組みのほか、100年の歩みと題した年表、過去の在籍車両写真を中心としたアーカイブスも6ページ掲載するなど歴史にも力を入れた内容となっています。
ここからは道南バスの手持ち画像を並べていきます。このエントリで並べる画像を確保するため、6月に苫小牧へ行きました。久しぶりに苫小牧へ行きましたが、駅前にある旧市営バスターミナルと、もはや廃墟となった商業施設跡はそのままで、なんともいえない気分になりました。

車番:820.QPG-KV234Q3(15年車)。2025年6月記録。
「
243台の一般乗合専用車、35台の都市間路線車、53台の貸切車、洞爺湖町の委託車両3台の合計334台を10カ所の営業所に配備 」している道南バス。車番は「
新規登録時の配置により、地域別の3桁数字(上1桁は地域分類、下2桁は固有番号) 」で付番していますが、「
営業所間の異動に伴う車号の変更は行われない 」ことや、「
廃車済の社号を新規登録車に充当することで、一部混在も見られる 」状況となっています。
車号800・900番台は苫小牧市営バス移譲後の苫小牧方面の車両をあらわします。まずは自社発注の日野KVワンステップ長尺車。道南バスの「
一般路線用は鉄道代行輸送の発生など輸送環境の変化に応じて大型長尺車や中型バスの導入 」を行っています。
車番:889.QKG-MP35FP(16年車)。2025年6月記録。
こちらは「
苫小牧の沿岸部を担当する錦西営業所に配属されるふそうの大型路線車 」。「
定員確保をねらって長尺ワンステップ車 」を採用したとのこと。

車番:853.QPG-LV290Q1(17年車)。2025年6月記録。
現行ボディにモデルチェンジした、いすゞLV長尺ノンステップ車。もちろん自社発注車です。

車番:892.KC-HU2MLCA(99年車)。2025年6月記録。
「
道内の経年車は外板だけでなく骨格の腐食が進むなど、修繕費を考えるなら走行環境が良い都市の中古車に更新したほうが経済的である 」という判断から、移籍車も並行して導入している道南バス。画像のKC規制車の日野HUワンステップ車は横浜市交通局からの移籍車です。横浜市交通局の同型車は道内事業者へ多く移籍しました。

車番:78.PJ-LV234N1改(06年車)。2025年6月記録。
中扉4枚折戸仕様のいすゞLVワンステップ移籍車。ちなみに車番「
1~299:室蘭・登別方面 」の区分となります。

車番:136.KL-UA452KAN改(04年車)。2025年6月記録。
「
現在の道南バスの車両の特徴は日デ車の移籍車を積極的に採用していること 」と書かれてしまうくらい、日産ディーゼル車が増加しています。画像は関東バスから移籍したUAノンステップ車。バラエティに富んだ移籍車導入により、現在の道南バス「
334台の在籍車両は103型式に分類 」されるというのだから驚きです。

車番:906.PKG-RA274KAN(08年車)。2025年6月記録。
2020年からの新型コロナ禍で車両更新を抑制したことから、現在「
急ピッチで車両の買い替えを進めて 」いる道南バス。ちょうど大都市公営バスなどから相当な台数のRAノンステップ車の廃車時期が重なったため、まとまった台数を買い集めました。まずは東京都交通局からの移籍車。車内は「みんくる柄」モケットそのままとなっています。

車番:948.PKG-RA274MAN(07年車)。2025年6月記録。
名古屋市交通局からのRAノンステップ車はAT車で、こちらも相当な台数移籍しています。東京都交通局からの移籍車がしっかりと道南バス塗装に塗り替えたのに対し、名古屋市交通局移籍車は改造日数短縮をねらってなのか、塗り替えは最小限&ラッピング広告車で登場しています。
車番:625.QRG-RU1ASCA(14年車)。2025年6月記録。
都市間路線のハイデッカー車にも移籍車が在籍しています。画像の日野セレガは側面の行先表示が窓上部にあるという特徴的な仕様で、さらに全固定窓という車両です。
「新 バスドライバーのひとりごと」や海外記事など、おなじみの長期連載の掲載はありましたが、「私はバスのコレクター」と短期連載「カタログで偲ぶ“平成初期”のバス達」は休載でした。
次号予告は、立山トンネル トロリーバスから電気バスへ、電気バス&充電器情報、バス事業者訪問、私はバスのコレクター④、カタログで偲ぶ“平成初期の”バス達(11) ほか とのこと。
なお、本文中の「斜字 」部分は同誌からの引用部分、画像の型式・年式は掲載の車両一覧や記事を参照しています。
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