いよいよ東京オリンピック・パラリンピック開催まで1年をきり、競技施設も着々と完成してきました。施設は完成してきましたが、暑さの対策はどうなったのか気になるところ。開催期間中は相当酷い道路混雑となりそうですから、長期休暇をとりたい願望。というわけで、バス雑誌の感想という名のどこか遠くへ行きたい。偶数月はバスラマこと、『バスラマインターナショナル 175号』です。
今号の特集は「UITP2019 公共交通の課題と解答がここにある。」。UITPとは、スウェーデンの首都ストックホルムで開催された「公共交通をテーマにした世界最大のイベント 」です。記事では「出展内容の中からバス関連で目を引いたもの 」として、欧州を中心としたメーカーの展示車両を中心に紹介しています。
巻頭は新型車紹介として「安全機能をステップアップ 新型日野セレガ登場」と「発進!いすゞエルガデュオ連接バス」を試乗した模様を中心とした記事を掲載しています。このほか、全国各地のバスの話題をレポート・トピックスで取り上げています。
事業者訪問は初登場となる「長電バス」。1995年に長野電鉄直営のバス事業を引き継いだいわゆる分離子会社で、長野県長野市以北のエリアを中心に路線網を展開しています。
路線エリアにスキー場が多数あることから、「
冬は路線バス、それ以外の季節は貸切バスで利益を上げるという構図が出来ており、貸切の収入は全体の半分弱を占めています 」とのこと。長電バスの貸切収入がここまで大きなものとは知りませんでしたが、会員募集ツアーの「
集客にはドライバーが親類や知人に声をかけるなど、全社体制で営業 」を行っている地道な努力があるからこその収入なのかもしれません。
いっぽう「
全体の収支は赤字を計上 」している一般路線バスは、「
多くが補助金で維持される生活路線 」という状況。「
欠損補助を基本とする現在の補助金制度では、企業は維持できません 」という記述に、長電バスの切実な思いがこめられているのかもしれません。
いつもなら手持ちの長電バスの画像を並べていくところですが、前号の予告に紹介が無く、かつ小生的になじみのない事業者。せめて6月に予告されていれば、長野に行って一般乗合車の画像を確保していたんですがという言い訳。一般乗合車の画像はそのうち追記するということにして、今回は都内で記録した高速車画像1枚のみでご容赦を。
長野200か1558.QTG-MS96VP(16年車)。2019年8月記録。
長電バスは都市間高速バスを昼行で新潟・池袋、夜行で大阪への路線を共同運行しています。池袋線は「
長年にわたり堅調でしたが、近年、高速ツアーバスを端緒に参入した新規事業者が低廉な運賃で攻勢 」をかけていることから様々な対抗策をとって、「
何とか採算ベースを維持 」している状況とのこと。その対抗策のひとつが、「
夜行並みの3列シート車の導入 」。画像は長電バス「
高速バスの主力車エアロエース 」の昼行3列シート車。高速車の塗装デザインは「
かつての電車のカラーリングと共通のクリーム/赤が基本 」で、「EXPRESS」の表記が加わります。
なお、バスラマ刊行後の8月29日に池袋線の共同運行会社の西武バスが9月いっぱいで撤退し、新たに10月からアルピコ交通東京に変更することを発表。アルピコグループ参入により、いずれはバスタ新宿方面の路線と統合し一部が池袋経由となるのかもしれません。
連載は、編集長自らが筆をとった「私の知っているバス達」や「新 バスドライバーのひとりごと」のほか、海外記事となっています。
短期連載の「バリアフリー対応バスの系譜をたどる」第4回はシティバスの乗降性改善4として、2000年代初めに登場した7mマイクロバスサイズの小型ノンステップバスの話題を中心に、フルフラットノンステップバスの製造中止など2000年代前半の状況をまとめています。
2000年代初め頃、ヨーロッパ製「
フロントエンジン・前輪駆動(FWD)商用車をベースに」ノンステップのボディを架装した輸入車が登場。「
高価格にもかかわらず、特に都市部のコミュニティバスで採用 」され、話題となった時期がありました。しかし「
FWD商用車をベースとする輸入小型ノンステップバス 」は「ヨーロッパとの使用環境の違いやメンテナンス性・耐久性の課題などにより2000年代半ばまでに販売を終えた 」ことで、結局時代の徒花的な存在となってしまいました。
そんなFWD小型ノンステップバスですが、日野も「
親会社トヨタが提携するプジョーのFWD商用車シャーシーをベースに、日本で全長5.77m・全幅2mのノンステップボデーを架装したポンチョを2002年に台数限定で発売 」する形で参しました入。初代ポンチョもいろいろと課題があったのか、移籍車として第二・第三の活躍をすることは無かった模様。画像は2009年11月に記録したものの再掲となりますが、東京都八王子市のコミュニティバス「はちバス」として活躍していた初代ポンチョ。
次号予告は、バス事業者訪問「川崎市交通局」、バスラマのブラジルバス紀行2、最新バス機器・用品ガイド ほかとなっています。
なお、本文中の「
斜字 」部分は同誌からの引用部分、掲載画像の型式・年式は掲載の車両一覧を参照しています。
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