奇数月末はバスマガジンの感想めいたものを書いていますが、月末までにまとめきれず。とはいえ月末には感想めいたものを更新しておきたい。というわけで、今回は10月に刊行となった『BJハンドブックシリーズV107 北陸鉄道』についてです。
社番:28-387.2021年11月記録。
BJハンドブックスシリーズでは2冊目となる北陸鉄道。前作は1998年のニューハンドブックス時代のNo26.ですから、シリーズ2冊目の刊行までだいぶ年数が経過したことになります。
本作は北鉄グループバス事業者の再編を行った2021年7月1日現在の在籍車両をもとに編集しています。掲載事業者はタイトルの北陸鉄道に加え、グループ再編でこれまでの地域分社を統合し成立した北鉄金沢バス・北鉄奥能登バス・北鉄能登バス・北鉄加賀バス・北鉄白山バスの5社となっています。
さて、内容ですが、車両編・歴史編・紀行編という安定・おなじみの3部構成となっており、「終点の構図」は石川県小松市の「ハニベ前」です。紀行編は「金沢と能登の “暮らし” を訪ねる」と題し、金沢市中心部の観光スポットと、ローカル路線バスを乗り継いで能登半島を1周するという1泊2日の乗り歩きルポです。
車両編では、日野車と三菱ふそう車の2メーカーに集約しつつある北陸鉄道グループの現有車両を紹介しています。現在の在籍車両の古参格となるのが01年以降に導入したKK・KL規制車ですから、前作掲載車両は1台もありません。小生的にBJハンドブックシリーズの刊行タイミングは、前作の掲載車両が少し残っているくらいがベストだと妄信しているので、今回はちょっと遅すぎるイメージです。
歴史編は前作掲載分をいくらかコンパクトにしたうえで、「近年」部に2000年代以降の動きを新たに書き下ろしています。
ここからは2021年11月に金沢市内で記録した画像を中心に並べていきます。緊急事態宣言が解除となり、画像確保のためという不要不急の遠出が大手を振ってようやく出来るようになりました。なお、本文中の「斜字 」部分は本作からの引用部分、型式・年式は掲載の車両リストを参照しました。
社番:28-387.2DG-KV290N2(18年車)。2021年11月記録。
北陸鉄道グループの乗合登録車は、「2桁数字ー3桁数字」の社番をもち、2桁部分の頭数字がメーカーをあらわしています。2桁数字の1の位は西暦の末尾数字なので、理解すればメーカーと年式の判別がすぐ出来る優れモノとなっています。社番の頭数字「2」は日野車をあらわしますが、もっとも、いすゞ車はいまのところ在籍していないので、ジェイ・バス製ボディなら社番を見ずとも日野車と判明するのですが。
北陸鉄道は「
金沢都市圏には大型車を投入 」しており、「
使用路線に合わせ長尺・中尺・短尺タイプが選択され、室内仕様も1人掛け中心の都市型と2人掛け中心の郊外型 」を採用しているとのこと。画像は導入が続いている現行モデルの日野KVの短尺車で北陸鉄道所属車両。燃料タンクを運転席側に設置しているため、側面窓は運転席のすぐ後部分が固定窓となっています。
社番:25-298.QPG-KV290Q1(15年車)。2021年11月記録。
こちらは長尺の日野KV。このあたりの車両まで正面の「ノンステップバス」表記が北鉄オリジナルのロゴタイプを採用していました。
また、現行の塗装は「00年のノンステップバスから導入されたデザイン 」で、赤色がとにかく目立ちます。
社番:25-300.QPG-KV290Q1(15年車)。2021年11月記録。
後面はこんな感じで、赤一色の正面とは異なるデザインとなっています。
社番:21-919.LKG-KV234Q3(11年車)。2021年11月記録。
ワンステップ車の市販モデルがあった頃は、日野車もノンステップ車と並行して導入していました。画像は北鉄金沢バス所属のKVワンステップ車。
社番:27-744.PKG-KV234N2(07年車)。2021年11月記録。
赤色の塗装はどうしても退色してしまい、経年車はどうしても見劣りしてしまう感。画像は北鉄金沢バス所属のKVノンステップ車。
社番:26-684.PK-HR7JPAE(06年車)。2021年11月記録。
中型幅10.5mサイズのノンステップ車は00年代に多数導入しましたが、近年の新車導入により多くが地域分社へ転属していきました。北鉄金沢バス所属の画像のHRは金沢市内で見られる数少ない車両で、正面ヘッドライト周りを黒色に塗っていないレアパターンとなっています。ボディ更新か何かの際に黒色を省略した模様。
社番:39-449.2PG-MP38FM(19年車)。2021年11月記録。
つづいては社番頭数字「3」の三菱ふそう車から、現行モデルのMP中尺ノンステップ車。冷房装置はデンソー製が標準となったモデルチェンジ以降も三菱重工製を採用しています。
社番:34-267.QKG-MP35FP(14年車)。2021年11月記録。
三菱ふそう車はノンステップ車と並行してワンステップ車を14年まで導入していました。このため、ヘッドライト周りをモデルチェンジしたMPワンステップ車はいまのところ14年導入車のみとなっています。画像は北鉄金沢バス所属の長尺車です。
社番:33-236.QKG-MP35FP(13年車)。2021年11月記録。
こちらも北鉄金沢バス所属車で、旧マスクのMP長尺ワンステップ車。ちなみに側面行先表示は12年導入車から戸袋窓部に設置しています。
社番:36-340.QKG-MP38FM(16年車)。2021年11月記録。
北陸鉄道はラッピング広告バスも運行していますが、条例の関係?なのか正面は白色ベースにバンパー・ヘッドライト周りを黒色に変更します。このため、ラッピングバスのほうが赤色の標準塗装車より落ち着いて見えます。
社番:26-315.QDG-KV290N1(16年車)。2021年11月記録。
「城下まち金沢周遊バス」は兼六園をはじめ、金沢市街地の観光スポットを結ぶ循環バスです。右回り・左回りともに15分間隔という高頻度運行で、利便性の高い観光周遊バスとなっています。
窓下が赤色ベースの車両は右回りルートで運行。「城下まち金沢周遊バス」の専用車は「
レトロ調のカラーでハイバックシートとフローリングの床を備え 」ているほか、「利家とまつ」にちなんだ登録番号を取得しています。画像の車両の登録番号「709」は前田利家の正室まつの誕生日とのこと。画像の車両は16年に導入した日野KVの短尺ノンステップ車。
社番:24-251.QKG-KV234N3(14年車)。2021年11月記録。
窓下青色ベースの車両は予備車的存在のようで、右回り・左回りどちらの運用にも入ります。画像の車両は14年導入の日野KVワンステップ中尺車で、登録番号は「709」を取得しています。
社番:29-929.BDG-HX6JLAE(08年車)。2021年11月記録。
こちらは金沢市コミュニティバス「金沢ふらっとバス」専用車の日野ポンチョ。「金沢ふらっとバス」は1999年にクセニッツ社製の輸入小型ノンステップバスで運行を開始したことで話題となりました。
社番:27-352.SKG-KR290J2(17年車)。2021年11月記録。
中型・小型車は能登や加賀エリアの地域分社で活躍。自社発注車だけでなく、移籍車も導入しています。画像の日野KRは北鉄加賀バス所属の自社発注車です。
社番:003.PDG-KR234J2(10年車)。2021年11月記録。
北鉄加賀バスは2021年に「
加賀温泉バスが小松バスを吸収合併する形 」で発足した事業者です。小松バスは尾小屋鉄道を祖とする事業者で1983年から北陸鉄道の子会社となっていましたが、地域分社と異なりオリジナル塗装を採用するなど独自路線を歩んでいました。
画像は小松バス時代に日生運輸から移籍した日野KRワンステップ車で、行先表示機は白色LEDタイプを搭載しています。北鉄加賀バスとなってから一部の車両は改番を行ったらしく、画像の車両はボディに901とありますがリスト記載の社番は003となっています。
社番:528.SKG-KR290J1(15年車)。2021年11月記録。
こちらは小松バス自社発注の日野KRノンステップ車。希望番号で取得した新たな登録番号が新社番となる模様。陸運事務所に行って登録番号を変えるより、ボディの表記を変えるほうが簡単なような気がするんですが・・・。
社番:30-465.2TG-MS06GP(20年車)。2021年11月記録。
高速車・特急車・空港車は「
69年に導入された赤帯カラー 」の塗装デザインを2015年から再び採用しています。小生は古い人間なので、北陸鉄道のバスといえばこの塗装のイメージです。
画像の車両は20年導入の令和顔な三菱ふそうMSで、小松空港リムジンバスの運用に入っていました。20年導入車は行先表示に白色LEDを搭載しています。
社番:39-427.2TG-MS06GP(19年車)。2021年11月記録。
いわゆる令和顔のエアロエースをもう1枚。19年導入の三菱ふそうMSで、こちらも小松空港リムジンバスの運用に入っていました。県内特急バスや小松空港リムジンバスは側面窓の開く4列シート車で運行しています。
社番:36-325.QTG-MS96VP(16年車)。2021年11月記録。
こちらは北鉄加賀バス所属で赤帯カラーの三菱ふそうMS。金沢と山代・山中といった加賀温泉郷を結ぶ県内特急バス「加賀ゆのさと特急」の運用に入っていました。
社番:37-357.QTG-MS96VP(17年車)。2021年11月記録。
一般乗合車塗装の正面部を一部アレンジした塗装デザインの三菱ふそうMS。特急車や空港車で一時期採用した塗装デザインで、2015年からは赤帯カラーと並行して採用していました。復活した赤帯カラーの人気に勝てなかった?のか、いまのところ2017年導入車が最後となっています。画像の車両は小松空港リムジンバスの運用に入っていました。
社番:38-393.2TG-MS06GP(18年車)。2021年11月記録。
長距離都市間高速車は側面固定窓仕様を採用しています。赤帯カラー復活後は、さらに1990年代の都市間高速バス車両で見られた「Highway Express」ロゴもあわせて復活しています。画像は名古屋線の運用に入っていた三菱ふそうMS。後面側の画像のみで失礼します。
貸切車は残念ながら見られず。まだ能登半島にも足を踏み入れてないので、北陸鉄道グループのバスメインで来春以降また行きたいものです。
次回刊行はBJハンドブックシリーズ初登場となる「那覇バス 琉球バス交通」。新型コロナウィルス感染者数が落ち着いているうちに沖縄へ行っておきたいですね。
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