猛暑が続いた関東地方ですが、お盆を過ぎたあたりから気温も多少下がり、徐々にではありますが秋の空気へと変わりつつあるようです。というわけで、月末恒例バス雑誌の感想という名の、秋の空。偶数月はバスラマこと、『バスラマインターナショナル１９３号』です。
今号に特集と銘打たれたものはありませんが、結構なページ数を割いているのが７月に大阪・舞州で開催した「２０２２バステクフォーラム２０２２」の話題です。出典車両や当日の企業ブースのにぎわいを紹介しています。
レポートでは大阪メトロのオンデマンドバスについて、トピックスでは池袋と成田空港を結ぶ「成田シャトル池袋線」開業など、全国各地の様々なバスに関する話題を取り上げています。無理やり手持ち画像を並べることができそうなのが、那覇バスに首里バスの塗装デザインを施した「首里バス復刻号」が登場したという話題。
沖縄２００か８４４．ＫＣ－ＨＵ２ＭＭＣＡ（９８年車）。２０２２年４月記録。
「首里バス復刻号」のベース車となったのが画像の日野ＨＵワンステップ車となります。記事によると、復刻塗装車は「
沖縄本土復帰５０周年を機に、バスの歴史を県民にアピールするねらい 」とのこと。那覇バス発足時のいざこざから旧経営体制時代の塗装を復刻するなんてことは出来ないと思っていましたが、首里バス塗装にするとは！運行期間中に現車を見ておきたいものです。
事業者訪問は２００７年に刊行した創刊１００号記念号以来の訪問となる「東京都交通局」。
「
漸増傾向だった輸送人員はコロナ禍で大幅減 」となった２０２０年の影響は大きく、記事では２０２０年以降の取り組みを中心に、東京２０２０大会輸送やトヨタ製ＦＣバスについてなどを事業者へのインタビューを基にまとめています。都営バスアーカイブスでは「都営バス中扉車終焉の頃」と題し、１９７０年前後に撮影した中扉車を掲載しています。
２０２２年４月１日現在、一般路線用乗合車１４８０台・貸切車８台が在籍する都営バス。「車種別比率はいすゞ約５２％、三菱ふそう約２２％、日野約１５％、日産ディーゼル約５％、トヨタ約５％（全車ＦＣバス）、スカニア（フルフラットバス）約２％ 」と、だいぶ偏りがありますが、導入車種は「２００４年度以来、年度ごとの競争入札の結果により採用車種が決められている 」ので、ディーラーの頑張りの結果ということになるのでしょう。
車両アルバムでは、導入が続く２０２２年車から代替が進む古参車まで、現在の都営バス在籍車両を紹介。多くの車種は室内写真も合わせて掲載し、シート配置など内装についても解説しています。ということで、手持ちの都営バス画像をいくつか並べていきます。
車号：Ｂ－Ｅ３８１．２ＰＧ－ＬＶ２９０Ｎ３（１９年車）。２０２２年８月記録。
一般路線用乗合車は大型ノンステップバスのみで、「各車種とも短尺車が選ばれている 」のが特徴です。まずは在籍車両の半分以上を占めるいすゞ車から、ＥＤＳＳ装備を装備した現行販売モデルのＬＶ。画像の「２ＰＧ－車は東京２０２０を控えた２０１９・２０２０年度に計２７３台と大量導入 」しました。
車号：Ｖ－Ｃ２６７．２ＤＧ－ＬＶ２９０Ｎ２（１８年車）。２０２２年８月記録。
「現行スタイルのエルガは２０１６～２０２０年度に計５２２台採用 」し、都営バス在籍車両の３分の１以上を占める主力モデルとなっています。ターミナルに待機中の全車両が現行スタイルのエルガなんて場面も少なくありません。
見た目同じボディですが、導入年度で装備品や塗りわけ等に細かいバリエーションがあり、画像の１７年度導入車はフロントガラス下や中扉周りの黒色塗装がありません。
車号：Ｋ－Ｂ７５３．ＱＤＧ－ＬＶ２９０Ｎ１（１６年車）。２０２２年８月記録。
１６年度導入車はフロントガラス下だけ黒色塗装となっています。
車号：Ｋ－Ｂ７００．ＱＤＧ－ＬＶ２９０Ｎ１（１７年車）。２０２２年８月記録。
１６年度導入のいすゞＬＶ９６台のうち、１７台が「
メーカーオプションの広幅中扉が試験的に採用 」されました。「
標準幅に対して１９５ｍｍ拡幅し、降車時間の短縮などが期待されたが、その後の増備は行われていない 」とのこと。
車号：Ｖ－Ａ６４６．ＱＰＧ－ＬＶ２３４Ｌ３（１６年車）。２０２２年８月記録。
こちらは１５年度導入車となる先代ボディのいすゞＬＶ。本文に記載はありませんでしたが、１５年度導入車から前面部の「ノンステップバス」標記ステッカーをボディに直接貼るようになりました。
車号：Ｋ－Ｇ７６９．２ＰＧ－ＭＰ３８ＦＫ（２１年車）。２０２２年８月記録。
２１年度に「
８年ぶりに採用された三菱ふそう車 」となった現行販売モデルのＭＰ。三菱重工製クーラーを装備しています。「
ノンステップフロアは右側４席中の後方２席を設けずフリースペースとしている 」のが特長。２２年度も三菱ふそうＭＰの導入が決まっており、７月から導入を開始しています。
車号：Ｖ－Ｙ４９３．ＱＫＧ－ＭＰ３７ＦＫ（１３年車）。２０２２年８月記録。
１０・１１・１３年度導入車が在籍する先代マスクのＭＰ。画像の１３年度導入車は「新車台数が抑えられていた 」こともあり、２０台のみという少数派です。
車号：Ｖ－Ｒ６２８．ＰＫＧ－ＫＶ２３４Ｌ２（０８年車）。２０２２年８月記録。
ここ数年導入がない日野車。０７年度に導入した１つ目ヘッドライトのＫＶは「既に引退が始まっている 」状況です。
車号：Ｒ－Ｓ１５６．ＢＪＧ－ＨＵ８ＪＬＦＰ（０９年車）。２０２２年８月記録。
ＫＶの引退により、「日野車は過半数がハイブリッドバス 」となっています。「２００７～２００９年度に計１００台が採用された 」ＢＪＧ規制車のブルーリボンハイブリッドから０８年度導入車。
車号：Ｒ－Ｔ２８５．ＢＪＧ－ＨＵ８ＪＬＦＰ（１０年車）。２０２２年８月記録。
こちらは０９年度導入の日野ブルーリボンシティハイブリッド。車内シート配置は「
都市型で定員７０人 」です。
車号：Ｚ－Ｖ２９５．ＬＪＧ－ＨＵ８ＪＬＧＰ（１０年車）。２０２２年８月記録。
マイナーチェンジで電動クーラーを装備した１０年度導入車は２０台採用。車内シート配置は「
ラッシュ型で定員７５人 」に変更しました。
車号：Ｋ－Ｐ５１７．ＰＫＧ－ＲＡ２７４ＫＡＮ（０６年車）。２０２２年８月記録。
いよいよ０６・０８年度導入車が残るのみとなった日産ディーゼル車。サーモキング製クーラーにシビリアンテールライトを装備した画像の０６年度車は１１１台導入しましたが、すでに１００台が姿を消し、「残る１１台も現在引退が進む 」状況です。
車号：Ｌ－Ｓ６８３．ＲＡ２７４ＫＡＮ（０８年車）。２０２２年８月記録。
デンソー製クーラーに汎用テールライトを装備した０８年度車は６０台導入。このあたりの車両もどうなることやらです。
車号：Ｖ－Ｅ１２９．ＺＢＣ－ＭＵＭ１ＮＡＥ（２０年車）。２０２２年８月記録。
「
都と連携した環境対策の一環として 」導入が行われているトヨタ製ＦＣバス。「
現在は５営業所・支所で計７１台のＳＯＲＡを使用 」しており、「
２０２４年度末までに累計で８０台導入することを目指しています 」とのこと。「
車内外ともメーカー標準仕様をほぼそのまま反映 」しているのが特徴で、塗装も「
白地に黒いウィンドーグラフィックを展開するメーカー標準色を基本に、後部側面に青系の独自デザインを加えている 」だけとなっています。
車号：Ｋ－Ｄ９２８．２ＤＧ－ＮＢ４Ｘ２ＢＶＪ（１８年車）。２０２２年８月記録。
１８年度に「中扉から後方の通路のフルフラット化により乗降性・流動性の改善を図る目的で２９台が導入された「フルフラットバス」 」。「都営バスが独自に企画した車型 」ですが、「通路幅が比較的狭いといった課題もあり、本来の目的が十分に果たされていないのも事実 」と手厳しい意見。「前後オーバーハングが国産車よりも長いため、使用できる路線に制約が生じるなどの理由で、その後の増備はしておりません 」とのこと。
車号：Ｓ－Ｄ５１３．２ＫＧ－ＬＲ２９０Ｊ３（１８年車）。２０２１年９月に記録。
一般路線用乗合車は大型ノンステップ車となっている都営バスですが、「江東区コミュニティバス しおかぜ」用に中型ノンステップ車が１台在籍しています。車両は「江東区が所有 」しており、都営バスはあくまでも使用・管理をしているだけとなります。車号の５１３、登録番号の５１０３は江東区の「観光キャラクター「コトミちゃん」に由来する 」とのこと。
短期連載の「あの頃のバス 渡邊嘉也さんの写真帖から」は、１９７０年代後半に撮影した京都市交通局の電気バスの写真を中心に掲載しています。トロリーバス車両を電気バスに改造した異端車「みどり号」のカラー写真は初めて見ました。連載は今回で一区切りとなるようですが、「最終回？！」の記載ですから、テーマを変えた続編がありそうです。ちなみに同じく短期連載の「低公害バスの系譜をたどる」は、今号も掲載はありませんでした。すでに終わっていたのかも・・・。
このほか「新 バスドライバーのひとりごと」や海外記事など、おなじみの長期連載も掲載しています。
次号予告は、ユニバース・ベーシックＡＴ車に乗る、最新バス機器・用品ガイド、バス事業者訪問：ジャムジャムエクスプレスほか とのこと。事業者訪問の「ほか」はジャムジャムと同じくツアーバスからの鞍替え組を取り上げるのでしょうか。
なお、本文中の「斜字 」部分は同誌からの引用部分、画像の型式・年式は掲載の車両一覧や記事を参照しています。
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