パリで開催されたオリンピックで日本は想定以上のメダルを獲得しました。とくに馬術や近代五種で日本がメダルを獲得するとは!たまげました。というわけで、ブログの更新再開とともに感想めいたものを書くのも再開。偶数月はバスラマこと、『バスラマインターナショナル205号』です。
今号の特集は事業者訪問と一体化した「宗谷バス 2024年夏」、さらに長野県の「関電アメニックス 北アルプス交通事業部」と沖縄県の「東陽バス」の事業者訪問2事業者を掲載と、事業者訪問マニア垂涎の1冊となっています。
特集の「宗谷バス 2024年夏」は事業者訪問と一体化していますが、特集にもなったの、通常の事業者訪問で行う担当者への「
インタビューを実施せず、編集者の視線で沿線の姿をリポート 」したため。担当者にインタビューを行わなかったのは、宗谷バスの「
年間で最も観光客が多い時期に重なり、特に本年は繁忙期に拍車がかかり現場は大忙し 」だったからとのこと。インタビューはありませんが、掲載記事は事業者サイドへの取材を基に書かれているような書き方&バスラマ編集者のレベルの高さから従来の事業者訪問と同じように感じました。ただ、グループを離れながらも東急バス移籍車が色そのままで運行できる理由など、個人的に知りたいことが書かれていないのは少々残念でした。また、1970年代と1989年に撮影した写真を中心に、一部現在との今昔写真もある「宗谷バスアーカイブス」記事も掲載しています。
旭川230い741.2022年5月記録(再掲)。
小生手持ちの宗谷バス画像は、2022年に旭川駅前で記録した三菱ふそうMSエアロエースだけですが、今号掲載の「在籍車両一覧」によれば既に在籍していない模様。ちなみにこの塗装は「宗谷地方に咲く花を描く基調デザイン 」とのこと。
このほか、レポートではヒョンデエレクシティタウンを運転した模様や、デンソー製バスクーラーでおなじみのデンソーエアクールへの取材記事など様々な話題を掲載しています。
事業者へのインタビューを基に、いつものフォーマットでの事業者訪問は「関電アメニックス 北アルプス交通事業部」と「東陽バス」を掲載。
「関電アメニックス 北アルプス交通事業部」は、立山黒部アルペンルートの長野側、扇沢と信濃大町駅を結ぶ路線を担当する事業者として知られています。関電産業が立ち上げた貸切バス事業を1961年に北アルプス交通として独立した事業者です。2004年に関西電力グループ会社再編によりホテルやゴルフ場などを経営する関電アメニックスと統合し、同社の北アルプス交通事業部として営業しています。
記事によれば現在の北アルプス交通事業部の「
業務は乗合が一般路線(収入比率15%)と、大町市コミュニティバス(同13%)、貸切・特定が一般貸切(同25%)、関電関連(同25%)、大町市関連(同16%)、その他事業が同6% 」とのこと。黒部ダムへの窓口となっていることから、路線バス・貸切バスは観光客メイン。このためコロナ禍の影響で売り上げは大きく落ち込んだようですが「
2023年度には回復が進み、2024年度は2019年度とほぼ変わらない売り上げを見込んでいます 」というのが頼もしいところです。記事では現況を中心にまとめており、電気バスを導入した話題なども紹介しています。
松本230い66.BDG-RR7JJBA(09年車)。2018年6月記録。
北アルプス交通事業部の手持ち画像から、日野RR貸切車。「
前面1枚ガラス、スイング扉、二段床を備える最上級グレード 」。
ちなみに北アルプス交通事業部のこの塗装デザインは「
創業当初からのもので、北アルプス連邦の銀嶺、黒部ダムの水の青さ、積雪の白で黒部の自然を表現したもの。青の細いストライプは黒部ダムをイメージしている 」とのこと。知るとナルホドというデザインです。「
側面に愛称「くろべ○○号」を金文字で掲げている 」のも特徴的です。
松本230あ28.TPG-BE640G(14年車)。2018年6月記録。
大町市コミュニティバス「ふれあい号」は、現在6コースを担当。「車両は定員28人の小型バス7台と同14人のワンボックス1台を使用 」しています。小型バスは2014~2017年に導入した三菱ふそうローザで揃えられています。
つづいて沖縄県の「東陽バス」の事業者訪問。東陽バスの現況を中心に、2024年1月に沖縄バスグループ入りしたことについても書かれています。沖縄バスグループ入りしたことでマニア的に気になるのが、車種がどうなるのか。「
沖縄バスは三菱ふそうで車種統一をしているのに対して東陽バスは日野車が多い。車両の保守整備の観点では車種統一が望ましいので、整備部門には長年の使い勝手を含めて意見を求めているところ 」とのこと。東陽バスにも三菱ふそう車を導入していきたいような書き方ですが、そもそも日野と三菱ふそうは一体化していくので、ゆくゆくは統一されていくのでしょう。また、「730以前右側通行時代の東陽バス」と題した貴重な写真の掲載もあります。730以前の東陽バスの塗装は複雑&手の込んだデザインに驚かされます。
沖縄230あ3011.2TG-KV290Q2(18年車)。2023年4月記録(再掲)。
再掲のみとなりますが、東陽バスの手持ち画像も並べていきます。2017年から2020年にかけて新車導入した日野KV長尺車。新車導入した車両11台はすべて泡瀬営業所の所属となっているため「
主に泡瀬ー那覇間の30,31番で運行 」しています。運転席側の側面窓はメーカー標準の中央固定窓にせず、上部開閉仕様を採用しています。
沖縄230い315.KL-LV280L1改(04年車)。2023年4月記録(再掲)。
現在の東陽バスは2012年に旧東陽バスの事業を継承しました。厳しい経営状況もあり、しばらくは新車はもちろん、移籍車導入もありませんでした。路線車は2015年に移籍車導入を再開し、低床車が登場しました。塗装は旧東陽バスのカラーを使いつつ簡素化した新デザインを採用。
近年は移籍車もノンステップ車導入メインとなり、なかでも東武バス(および関連の朝日自動車グループ事業者)からV8エンジンを搭載したKL規制車のノンステップ車がまとまった台数登場しています。V8エンジンを搭載したいすゞLVと日野KV移籍車は「
15台在籍し、一般路線の主力車 」となっています。
沖縄22き464.U-HT2MMAA(93年車)。2023年4月記録(再掲)。
近年の新車・移籍車導入により旧東陽バス時代に導入した車両の代替が進んでいます。730車の代替のため旧東陽バスが自社発注した日野HTトップドア車は「
現在8台が在籍 」するだけとなりました。
沖縄200か591.U-HU2MLAA(94年車)。2022年4月記録(再掲)。
旧東陽バスは2000年代に入ってもなお、まとまった台数が残っていた730車の代替を行うため、積極的な移籍車導入による車両代替を行いました。2000年代後半に導入した移籍車は、千葉県内からの事業者と近畿地方の事業者からやってきた日野車が中心で、中型車も導入しました。
画像の前後扉仕様な日野HUは尼崎市交通局からの移籍車。尼崎市交通局の大型ツーステップ前後扉車が国内バス事業者に移籍したのはごくわずか。掲載の「在籍車両一覧」を見ると画像の車両は4月現在時点で在籍しているようですが、実際運用に入っているのはどれくらいなんでしょうか・・・。なお、中型移籍車は「在籍車両一覧」に掲載がないことから、既に全車姿を消したようです。
沖22か906.RE101(78年車)。2010年4月記録(再掲)。
記事では沖縄の乗合車で欠かすことの出来ない730車については、現在の状況を紹介した「東陽バスの730車に乗る」と、「バスラマが見てきた東陽バスの730車」の2本立てで取り上げています。現在も毎週日曜の午前中に191番城間線で運行している730車ですが、「ハンドルを持つのは営業所で組むダイヤのローテーション次第で「自分に順番が回ってきたら文句を言わずに乗る」というルール 」となっているのは知りませんでした。画像は2010年当時運行していた南風原経由の91番城間線の運用に入っていたところを記録したものです。
沖縄230あ2802.LDG-RD00(16年車)。2023年4月記録(再掲)。
最後に貸切車の画像から、6台在籍する現代ユニバース。「当初は韓国からのインバウンドツアーに重用されたが、現在は幅広い団体旅行に活躍 」しているとのこと。日野車中心の東陽バスでなぜに現代ユニバース?という感じでしたが、韓国からのインバウンド向けだったと知り納得しました。
短期連載「カタログで偲ぶ“平成初期”のバス達」。第7回目は「日産ディーゼル UAシリーズ」を取り上げています。
このほか「新 バスドライバーのひとりごと」や海外記事など、おなじみの長期連載も掲載しています。
次号予告は、バス事業者訪問No258、電気バス(小型バス、レトロフィットバスほか)最新情報、特集:最新バス機器・用品ガイド、カタログで偲ぶ“平成初期の”バス達⑧ ほか とのこと。次号は都内で開催されるバステクに合わせるため少々早い発売とのことです。
なお、本文中の「斜字 」部分は同誌からの引用部分、画像の型式・年式は掲載の車両一覧や記事を参照しています。
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