バスに関する書籍を買ったら感想めいたものをブログに書くシリーズ。
2月刊行からだいぶ経ちましたが、今回は『BJハンドブックシリーズV108 那覇バス 琉球バス交通』についてです。
沖縄230あ1623.QRG-KV290Q1(16年車)。2022年4月記録。
BJハンドブックスシリーズで沖縄県のバス事業者が取り上げられるのは初!記念すべき1冊といえる本作の掲載事業者は、タイトルの通り那覇バスと琉球バス交通の2事業者。どちらも2000年代に第一交通産業グループ傘下となった2事業者で、2021年10月1日現在の在籍車両をもとに紹介しています。
内容は、車両編・歴史編・紀行編というおなじみの3部構成。「終点の構図」は沖縄本島北部の名護市屋我地島にある「運天原」。紀行編は「“琉球の風”を感じに行こう!」と題し、那覇市内から沖縄本島北部方面へ琉球を学べるスポットや有名観光地を1泊2日で巡る乗り歩きルポです。
車両編では、新旧・大中小、バラエティに富んだ現有車両を紹介しています。
沖縄230い1808.2KG-LV290N2(18年車)。2022年4月記録。
現有車両一覧表は近年の車両導入状況を鑑みて、那覇バスと琉球バス交通をあわせて掲載しています。現有車両車種別解説も同じですが、市内線仕様の車両を明記しているのが本作の特徴といえます。一般乗合車は第一交通産業グループ傘下となってから積極的な車両代替をすすめ、2013年からは一括交付金を活用した新車導入を行っています。2013年以降に導入した大型ノンステップの新車は既に100台を超えており、在籍する一般乗合車の半数を占めるまであと少しというところまできています。新車と並行して移籍車も引き続き導入していますが、かつてのような何でもかんでもというわけではなく、京浜急行バスや東急バスといった首都圏のバス事業者から比較的年式の新しい車両を厳選しているように感じられます。
歴史編は大きく「730以前」・「730以後」・「新会社移行」の3つに分けていますが、「730以前」は旧那覇交通・旧琉球バスの成立をごくごく簡単にまとめ、「730以後」と「新会社移行」に大きく頁を割いています。「730以後」は、利用者の減少、経営悪化、旧那覇交通と旧琉球バスの合併白紙撤回、乗合バス4社統合計画頓挫などなど、沖縄のバスを語るには避けて通れない負の歴史をしっかりまとめ、これぞ歴史編という読み応えのある内容となっています。
感想めいたものはこのくらいにして、今年4月に那覇市内へ出かけて記録した那覇バス・琉球バス交通の車両画像を並べていきます。
なお、本文中の「斜字 」部分は本作からの引用部分、型式・年式は掲載の現有車両一覧表を参照しました。
沖縄230あ1301.QPG-KV234N3(13年車)。2022年4月記録。
まずは、いまや琉球バス交通の主力的存在となった自社発注の日野KVノンステップ車。「
沖縄振興特別推進交付金事業」に「ノンステップバス導入に対する補助金が組み込まれ 」たことをうけ、「
2013年に那覇バス・琉球バス交通合わせて30台のノンステップバスが導入 」されました。画像は2013年に導入したうちの1台で、フルカラーLED行先表示器を装備しています。
ちなみに琉球バス交通の塗装は、「那覇バスの貸切車・郊外車に採用されていた白地にレインボーカラーの帯が入ったデザイン 」を採用していますが、もともとは旧那覇交通の貸切車の塗装でした。
沖縄230あ1531.QPG-KV234L3(15年車)。
那覇バスは市内線と市外線を担当。市内線向けに導入した大型ノンステップ車は短いL尺を採用しています。市内線の塗装は、那覇バス誕生時に白地にスカイブルーの帯に一新しました。
沖縄200か652.KC-RM211GSN(96年車)。2022年4月記録。
新車導入と並行して移籍車も引き続き導入しています。「琉球バス交通発足後の中古購入は那覇バスと一括して実施。首都圏からの移籍車が多く、主にいすゞ・三菱製が那覇、日産ディーゼル製が琉球に振り分けられている。また琉球は中型車の台数が多いことが特徴となっている 」とのこと。画像は琉球バス交通に在籍する東急バスから移籍したRMツーステップ車。
沖縄200か912.KL-LV280L1(01年車)。2022年4月記録。
塗装工場の関係なのか、画像のようにライトベゼルもボディ色に塗った車両も少なからず在籍しています。東急バスから移籍したいすゞLVノンステップ車で、行先表示は正面だけLED表示機を装備し、側面は方向板、後面は小型のサボとなっています。
側面・後面もLED表示機を装備した車両が増え、往年の方向板や系統板を使用している車両は徐々に減りつつあります。
沖縄22き448.U-LV324L(93年車)。
近年の新車・移籍車導入により、旧那覇交通・旧琉球バスから引き継いだ車両はだいぶ少なくなりました。とくに一般乗合車となっている引継ぎ車両は数えるほどとなっており、旧那覇交通が自社発注した自家用マスクのいすゞLVは画像の車両含め残り2台となっています。
沖縄22き580.KC-HT2MMCA(97年車)。2022年4月記録。
旧琉球バスから引き継いだ一般乗合車は、米軍スクールバスから転用した日野HTトップドア車が残り4台という状況です。小生が初めて沖縄を訪ねたときは、結構な台数の米軍スクールバス転用車を見ることができただけに、ここまで減ったことに時の流れを感じました。
沖縄200か1481.PJ-MS86JP(07年車)。2022年4月記録。
一般乗合車や貸切車には積極的に新車を導入していますが、高速バスのほとんどは今も移籍車となっています。画像の折戸仕様の三菱ふそうMSは京浜急行バスからの移籍車です。
沖縄230あ717.PKG-RU1ESAJ(09年車)。2022年4月記録。
さて、本作刊行後の那覇バス・琉球バス交通の大きな動きといえるのが、那覇バスの観光部が今年の4月に琉球バス交通の観光部に統合したこと。那覇バス在籍車両は琉球バス交通に転籍し、琉球バス交通の社名ロゴを上から貼り付けた状態で運行しています。
沖縄230あ518.ADG-RU1ESAJ(05年車)。2022年4月記録。
那覇バスと琉球バス交通は4月の統合以前から貸切車のやりとりを行っており、画像の「カクレクマノミ」カラーのいすゞRUは早い段階で琉球バス交通に転籍しています。
沖縄230あ1640.ADG-RD00(16年車)。2022年4月記録。
ヒュンダイユニバースの貸切車は13年から導入を開始し、まとまった台数が在籍しています。画像の車両は4月に琉球バス交通へ転籍しました。
次回刊行は「東急バス」。「のりかえよう、モバイルへ。」涎掛けが徐々に取り外されているようなので、そろそろ手持ち画像確保に本腰を入れなければ・・・。
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