忍者ブログ

バスラマエクスプレス 16

月末はバス関連書籍の感想めいたものを書いている拙ブログ。奇数月末はバスマガジンの最新号について書いていますが、今月発売号も予告より遅れる刊行になるとのこと。大したことは書いていませんが、いちおう読み込む時間が必要なので8月にあとまわしにします。ということで、今回は2021年5月にぽると出版から刊行された「バスラマエクスプレス16 三菱ふそうバス製造 70年の歩み」についてです。

さて、「バスラマエクスプレス」はバスラマ本誌に比べるとページ数が少なく、これまで新型モデルの紹介など、文字通り「速報的」な内容を中心に刊行してきました。今回は2020年4月に創業70周年を迎えた、三菱ふそうバス製造の記念誌的な作品となっています。

内容は、現行製造ラインナップや、写真を多用した製造工程の紹介、関係者の挨拶を前半にぐぐっとまとめ、後半は歴史編として呉羽工業から三菱ふそうバス製造へと続く70年の間に製造してきたバスボディをまとめた車両アルバムを掲載しています。


局番:G776.2021年7月記録。
製造工程紹介では、取材がちょうど東京都交通局へ納入するMPの製造たけなわだった時期ということもあり、工場ラインにMPがずらりと並ぶ光景は圧巻。取材時点で大量製造中だった車両は、現在都内で活躍中です。都営バスは一括入札方式の購入を採用してから、いすゞ自動車の販売会社が頑張っている印象だっただけに、まとまった台数の三菱ふそうの現行MPが登場するとは思いもよりませんでした。1台あたりにするとなかなか衝撃的という落札金額は、他メーカーだけでなく他のMP採用事業者からもいろいろと物言いがついたらしいですが、真相はどうでしょうか。

以下、手持ちの呉羽~三菱ふそうバス製造のボディ架装のバス画像を並べていきます。なお、本文中の「斜字 」部分は本作からの引用部分となります。
現在はマイクロバスから大型車まで、三菱ふそうのバスを製造している三菱ふそうバス製造ですが、もともとは呉羽工業という富山のバスボディ製造会社でした。1950年代半ばから三菱自動車との関係を強め、三菱シャーシーへのボディ架装が中心となりました。
小生がバスに興味を持った1980~1990年代の呉羽ボディは、三菱製の中・小型車を中心に、大型車は愛用する事業者に偏りがあるという印象でした。


沖22か1064.2015年5月記録。
手持ち画像で呉羽ボディのもっとも古い車両となるのが、沖縄バスに在籍する730車のMP。沖縄バスは呉羽ボディの防錆性の高さを評価し、729車時代から愛用してきた事業者で、730車も当然呉羽ボディのMPを導入しました。ちなみに画像の車両は現在、青色メインの登場時の塗装に塗り替えられています。


左から:沖22か2125.沖縄22き14.2010年2月記録。
沖縄バスは貸切車も呉羽ボディを採用。角型4灯ヘッドライトのボディは1981年から製造を開始したいわゆる「サンシャイン」スタイルのMS。画像の車両は87年車ですが、名自製のエアロバスや日野セレガの登場後は古臭いバスというのが正直な印象でした。


徳22か826.2012年8月記録。
1981年にモデルチェンジした中型モデルのMM・MK。「路線系と観光系を完全に分離したボデースタイルとなり、従来の応力外皮構造を活かしながら、部分的にトラス構造を組み合わせて、細い窓柱とリベットレスのスタイル 」となりました。
画像は小松島市営バスに在籍していたMK前後扉仕様車。メッキバンパーにシルバー色のライトベゼルなど、こだわり仕様が満載の車両でした。

 
沖縄22き248.2011年4月に記録したものを再掲。
1984年に大型路線バス「エアロスター」の販売が開始されます。「生産設備上の差異 」から、「名自製のエアロスターMに対して新呉羽自工製はエアロスターKとして区別され、ボデー細部には異なるデザイン処理 」を施しています。後面などを見ると、エアロスターKはMM・MKのボディがベースになっていることが分かります。画像は沖縄バス生え抜きのエアロスターKで、青色の入った側面窓ガラスなどが特徴です。沖縄バスはエアロスターKも動態保存車として残すという話もありましたが、残念ながら全車引退したとのこと。


車号:F921.2010年10月に記録したものを再掲。
1988年に中型MM/MKと小型バスMJをフルモデルチェンジし、ヘッドライトはバンパー部に装備したデザインとなりました。画像は呉市交通局に在籍していたMJで、当時は定期観光バス「くれたん」専用車となっていました。


沖縄200か400.2015年5月に記録したものを再掲。
ヘッドライトを丸目4灯とした廉価仕様もありました。画像の車両は沖縄バスに在籍していたMKで、元々は埼玉県内の学校送迎で使用していた車両です。


沖縄22き456.2015年5月に記録したものを再掲。
サンシャインで正直見劣りしていた大型観光バスボディも1988年にようやくモデルチェンジ。中型バスMMをベースに「MS7のエッセンスを盛り込んだエアロバスKをラインアップ 」しました。


札幌200か1677.2011年5月記録。
呉羽といえば、ダブルデッカーのエアロキングを1985年の販売開始以来、一貫して製造を担当してきました。「エアロキングの生産期間は26年に及ぶが、年間生産台数は年によってゼロから36台まで幅があったことから、ライン生産ではなく定置式で組立てから艤装までが行われた 」とのこと。画像のエアロキングは北海道中央バスに在籍していた初期モデルの85年車です。1990年代に引退し芦別で保存車となっていましたが、2000年代半ばに定期観光車として復活。画像のように札幌市内を走っている姿を見ることが出来ました。



社番:1622TC.U-MS729S改(92年車)。2011年2月記録。
2階建てバスは普通の観光バスとして使うと全高の関係で天井が低く正直圧迫感がありました。しかし、「エアロキングのデザインを評価したバス事業者 」は多く、まず日本交通とケイエム観光の特注車として「エアロキングの低運転台と前構を組み合わせた流麗なスタイリング 」で後1軸のスーパーハイデッカーが登場しました。
エアロバスのスーパーハイデッカーがシリーズ化した際にエアロクィーンKの愛称を得て 」、最終的に「全国から発注を受け189台生産 」されました。画像は撮影時点で関鉄観光バスに在籍していたエアロクィーンKで、つくばと水戸を結ぶ高速バス「TMライナー」の運用に入っていました。


熊本22か2944.2013年2月に記録。
90年代初めに「都市型超低床バス」が誕生。現在で言うところのワンステップバスですが、「低床化を実現するためのアングルドライブや2段減速センタードロップ式リヤアクスル、前輪独立懸架など新規備品の開発設計が必要で車両価格は従来車より高価 」となりました。「ボデーは新呉羽自工/三菱自動車バス製造が担当 」したので、エアロスターKをベースにエアロバスKのエッセンスを加えた呉羽濃度の高い見た目となりました。
画像は九州産交バスに在籍していた車両ですが、よくもまあこんな超高額な車両を当時の九州産業交通は導入したものです。


社番:T3563.2018年10月に記録したものを再掲。
「都市型超低床バス」が掲載されているからには、当然エアロスターエコハイブリッドの写真も掲載しています。エアロスターエコハイブリッドは「小排気量エンジンで発電しモーターを駆動するシリーズ発電方式のハイブリッドバス 」で、様々な新機軸をつめこんだモデルでした。結果的に「システムが高価で市販は38台に留まり2010年に中止された 」悲しい存在でした。
画像は函館バスが10年に2台導入した自社発注車の1台で、当時標準塗装だった車両。外観にハイブリッドをアピールするような表記が特に無いのが奥ゆかしいところです。

車両アルバムには珍しい写真も多く掲載されていますが、薄いバスラマエクスプレスシリーズなので、マニア的には正直薄味という印象です。あくまでも「三菱ふそうバス製造」の70年を振り返るのが目的なので仕方ありませんが、今後呉羽ボディの車両を掘り下げた分厚い冊子が出来ることを楽しみにしたいところです。
PR

コメント

お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字

トラックバック

カレンダー

10 2024/11 12
S M T W T F S
2
3 4 5 6 7 9
10 11 12 14 15 16
17 18 19 20 22 23
24 25 26 27 28 29 30

最新コメント

[06/29 むちやま]
[05/11 えど]
[03/25 えど]
[03/12 えど]
[01/04 えど]

最新トラックバック

プロフィール

HN:
Mrジョソ
性別:
男性
職業:
会社員
趣味:
むかし話とバスでしょうか
自己紹介:
1つ目のブログを超える
辺境のブログ。

画像を大きめにした(だけ)の一方通行ブログ。

バーコード

ブログ内検索

P R