奇数月末はバスマガジンの感想めいたものを書いていますが、11月も月内にまとめきれず。今月も代わりに、バスに関する書籍を購入したら感想めいたものをブログに書いておきたいシリーズを更新します。
今回は10月に刊行となった『BJハンドブックシリーズV113 西武バス』についてです。
社番:A0-187.2PG-LV290N3(20年車)。2023年9月記録。
BJハンドブックスシリーズでは3冊目となる西武バス。1冊目は2004年刊行の『BJハンドブックシリーズR51 西武バス』、2冊目は2014年刊行の『BJハンドブックシリーズS13 西武バス』、だいたい10年くらいの間隔で刊行しています。刊行サイクルが他事業者に比べると早いような気もしますが、西武バスの車両代替サイクルを考慮すれば、これくらいのタイミングが丁度良いのかもしれません。
本作の掲載事業者はタイトルの西武バスのほか、西武観光バス、特定バス事業を専門とする西武総合企画で、2023年7月1日現在の在籍車両をもとに編集しています。
本作の内容は、車両編・歴史編・紀行編という安定・おなじみの3部構成。「終点の構図」は埼玉県さいたま市の「佐知川原」です。
車両編では、いすゞ車と三菱ふそう車が中心となった西武バスグループの現有車両を紹介しています。西武バスといえばUD車が在籍車両の大部分を占めていましたが、いすゞ車・日野車の導入再開などで徐々に減り、国内バス製造・販売から撤退したため減少する一方となっています。前作2014年時点では在籍車両の5割を少し上回るくらいでしたが、本作ではとうとう1割以下の100台未満となりました。西武バスからUD車の完全消滅は時間の問題と考えていましたが、創立90周年を記念し近江鉄道に移籍した富士7EボディのUA3扉車を里帰り。この1台が深刻なエンジン・機器のトラブルさえ無ければ長いこと残りそうです。
歴史編は2004年に刊行した第1作をベースに、2014年刊行の前作加筆部分に西武観光バスによる西武高原バス吸収合併やコロナ禍での路線廃止などここ数年の施策を再加筆しています。
紀行編は「西武バスで“学びの夏” 武蔵野と軽井沢のミュージアムへ」と題し、1日目は立川駅から本川越駅、2日目は川越的場から高速バスに乗車し軽井沢エリアへ向かい、様々なミュージアムをめぐる1泊2日の乗り歩きルポです。
感想めいたものはこのくらいにして、小生手持ちの西武バスグループ事業者の一般乗合車画像を再掲含め並べていきます。なお、本文中の「斜字 」部分は本作からの引用部分、型式・年式は掲載の「現有車両一覧表」を参照しました。
<西武バス>
社番:A2-327.2RG-LV290N3(22年車)。2023年9月記録。
まずは在籍車両では最も多いいすゞ車から、22年導入のLV。現行塗装の「S-tory」デザインは2020年から採用しています。
ちなみに現行ボディとなったいすゞLVはフロントタイヤ上部に燃料タンクを装備していますが、西武バスでは「
営業所・年式ごとに左右双方が選択されている 」とのこと。画像の車両はメーカー標準仕様の左側タンクです。
社番:A8-726.2PG-LV290N2(18年車)。2023年9月記録。
旧デザインの「笹バス」カラーは1953年から50年以上にわたり採用されました。在籍車両台数的にまだまだ主力カラーですが、西武バスの車両代替サイクルからすると次作刊行時点でどれだけ残っているのかという感じです。
社番:A3-354.2KG-LR290J4(23年車)。2023年7月記録。
中型車は06年からノンステップ車のみを導入しています。現在市販モデルがジェイ・バス製ボディしかないため、いすゞ車の独壇場といった感じになっています。画像は登場したばかりのいすゞLR。9mサイズも燃料タンクは「
営業所・年式ごとに左右双方が選択されている 」とのことで、画像の車両は運転席側に設置した右側タンク搭載車です。
社番:A2-916.QKG-MP37FK(12年車)。2023年9月記録。
「1970年代後半にいったん三菱のみとなるが、諸事情により数年後、日産ディーゼルへ統一された 」経緯から、長くお付き合いが無かった三菱ふそう車。しかしUDの国内バス製造・販売事業撤退により、2011年から本格的な導入を再開しました。導入再開から10年以上経ち、いまやいすゞ車とほぼ同じくらいの台数が在籍するまでになりました。
画像は12年導入のMPノンステップ車。導入当初は銀サッシを採用していましたが、12年導入車の途中から黒サッシ仕様に変更しました。
社番:A8-789.2PG-MP38FK(18年車)。2023年9月記録。
ヘッドライト周りをモデルチェンジしたMPノンステップ車。MPは18年の途中から20年の途中まで銀サッシ仕様に戻りました。
社番:A0-178.2PG-MP38FK(20年車)。2022年12月記録(再掲)。
現行塗装「S-tory」デザインから再び黒サッシを採用しました。
社番:A2-683.QKG-MP35FM(12年車)。2023年9月記録。
西武バスでは「
16年まで短尺ノンステップバスと中尺ワンステップバスを標準仕様とし、都区内では中扉4枚折戸も採用 」していました。画像は銀サッシで中扉4枚折戸仕様のMPワンステップ車。
社番:A3-580.QKG-MP35FM(13年車)。2023年9月記録。
黒色サッシとなった13年導入のMPワンステップ車。
社番:A6-897.QKG-MP35FM(16年車)。2023年9月記録。
ヘッドライト周りをモデルチェンジした中扉4枚折戸仕様のMPワンステップ車も少数ですが在籍しています。現行マスクのMPはワンステップ車とノンステップ車で前面笹バスカラーの塗りわけが異なっています。
社番:A0-447.PKG-AP35UM(10年車)。2023年9月記録。
残り少なくなったUD車から、中扉4枚折戸仕様のAPワンステップ車。この日は教習車として吉祥寺駅へやってきました。
社番:A9-970.2SG-HL2ANBP(19年車)。2022年12月記録(再掲)。
西武バスでは「小型ノンステップバスやハイブリッドなど特殊仕様 」で導入が続いている日野車。現行モデルの大型ハイブリッド車は18年からまとまった台数をコンスタントに導入しています。「笹バス」カラーで登場した19年導入車。
社番:A1-236.2SG-HL2ANBP(21年車)。2023年9月記録。
現行塗装「S-tory」デザインのハイブリッド車。画像の車両は都区内配置の中扉ワイドドア仕様です。
社番:A6-893.SDG-HX9JLBE(16年車)。2023年7月記録。
コミュニティバス用途での導入がメインとなっている小型ノンステップ車の日野HX。画像の車両は川越市のコミュニティバス「川越シャトル」専用車です。
<西武観光バス>
社番:A7-432.PB-RM360GAN(07年車)。2023年11月記録。
西武観光バスは1989年に秩父エリアの地域分社「西武秩父バス」として誕生しました。1996年に埼玉県内のいわゆる貸切バス事業を西武バス本体から引き継いだことから、現在の社名に改称。その後も都内に貸切営業所開設、西武バスから一部の都市間高速バス路線の運行を引き継ぐなど業容を拡大していきました。2017年に軽井沢エリアの地域分社だった西武高原バスを吸収合併し、「
乗合・貸切バスを営業する分社会社は西武観光バス統合 」しました。
ここでは西武観光バス創業の地ともいえる秩父エリアで活躍する一般乗合車画像を何台か並べていきます。
画像は西武バスグループでも残り少なくなってきた西工ボディ架装のUD車で、日野エンジンを搭載したPB規制車のRMワンステップ車。本作掲載の「現有車両一覧表」では軽井沢配置の貸切車となっていましたが、最近秩父に転属し乗合車に復帰した模様。側面の社番標記がやたら小さいのが急な復帰のためなのかもしれません。秩父配置の西工ボディ架装車はこの1台だけというレア車です。
社番:A8-330.PDG-LR234J2(08年車)。2023年11月記録。
秩父は有名脚本家の出身地ということで、いくつかのアニメ作品の舞台となっています。人気作品とタイアップしたラッピング車が複数台在籍しており、画像の車両は「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」キャラクターをデザインしています。
社番:A0-523.PDG-LR234J2(10年車)。2023年11月記録。
「フリー乗降区間」運行時に屋根に取り付けられたスピーカーから音楽を流すことが出来る「メロディバス」の装備車も在籍しています。画像のいすゞLRノンステップ車は最近西武バス本体から秩父にグループ間転籍しました。
社番:A8-288.PDG-LR234J2(08年車)。2023年11月記録。
西武観光バスに在籍する一般乗合車の大部分は西武バス本体からの転籍車となっていますが、画像のいすゞLRノンステップ車は補助金などを活用して導入した生え抜き車両です。数年で入れ替わる転籍車に比べるとだいぶ長く秩父で動いているので、ボディはタイヤハウス周りを中心に冬季の融雪剤が原因の腐食が見られます。塗装は白色ベースに秩父の昔話のイラストをデザインしています。
社番:A0-471.BDG-RX6JFBA(10年車)。2023年11月記録。
7mサイズの車両は閑散時間帯や閑散路線を中心に活躍中。画像の日野RXはもともと西武バス本体でコミュニティバス専用車で、秩父転籍時に「メロディバス」対応車へ改造されました。
かつては貸切バス塗装デザインのレオカラーに塗り替えられた一般乗合車も在籍していましたが、今は西武バス「笹バス」カラーはそのまま、コミュニティバスなど専用塗装車は白一色に塗り替える程度となっています。
社番:A0-502.PKG-LV234N2(10年車)。2023年11月記録。
大型車は「三峯神社線」など多くの観光客が集中する路線中心の運用となっています。2人掛けシートの多い「用途外車」だけでなく、画像のいすゞLVワンステップ車のようにごく普通の座席配置の車両も配置しています。つめこみは効きますが、立客満員で三峯神社から西武秩父駅までというのはなかなか・・・。
<西武総合企画>
社番:S309.PJ-LV234N1(07年車)。2023年7月記録。
西武総合企画は学校送迎バスや企業送迎バスなど特定バス運行事業をメインとする事業者です。在籍車両は契約先の用途に合わせた仕様となっており、西武バスで一般乗合車だった車両のグループ間転籍車もあれば、「
路線車にはない長尺やトップドア 」、さらに「
トイレつきのガーラからマイクロバス、ワンボックスタイプまで多様な顔ぶれ 」となっています。
ここでは本川越駅前で記録した「星野学園」向け専用車の画像を並べていきます。古参格となるPJ規制車のいすゞLVトップドア車。塗装は西武バスの「笹バスカラー」色をアレンジしたようなデザインで登場しましたが、学校オリジナルのデザイン制定により一部をラッピング対応しています。
社番:S030.QPG-LV234N3(13年車)。2023年7月記録。
学校オリジナルの青色ベースのデザインとなったいすゞLVトップドア車。
社番:S099.2KG-LV290N3(21年車)。2023年7月記録。
いすゞLV/日野KVはモデルチェンジでノンステップ車のみの製造となったことから、ノンステップ車ベースのトップドア車が誕生。正直使い勝手はどうなんだという感じですが、選べる選択肢が限られるから仕方ありません。
社番:S077.2PG-LV290Q3(19年車)。2023年7月記録。
車両が前後しますが、いすゞLVノンステトップドア車の後面はこんな感じ。画像の車両は長尺車です。
次回刊行は「しずてつジャストライン」。西武バスとうってかわり、前作から相当な年数が経過しています。編集時点でエアロスターKがギリギリ残っているかどうかが気になるところ。手持ち画像確保のため静岡駅、掛川駅あたりに行かねばなりません。
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